スターバックスが掲げる、コーヒーに関する環境目標


2021年3月22日

<こちらの文書は、英語の原文より翻訳しました。>

2020年、スターバックスは、CO2(二酸化炭素)、水、廃棄物のフットプリントを半減させる環境目標を正式に決定し、「リソースポジティブ」を実現すると宣言

目標を達成するために、スターバックスは2030年までに、カーボンニュートラルなグリーンコーヒー(生豆)の実現と、その加工過程で使用する水の量を50%削減することを発表

地球から得る以上に還元量を増やすー「リソースポジティブ」の考え

世界30カ国、40万人以上の生産者からコーヒーを購入しているスターバックス。コーヒーのサステナブルな未来をつくる責任を担っています。

2020年、スターバックスは、CO2、水、廃棄物のフットプリントを半減させる環境目標を正式に決定。「リソースポジティブ」を実現することを宣言しました。リソースポジティブとは、コーヒーを含む、すべての事業活動で、地球から得るよりも還元する量を増やしていくということです。

地球のレジリエンス(回復力)を守るため、私たちは2030年までにカーボンニュートラルなグリーンコーヒー(生豆)を実現し、その加工過程で使用される水の量を50%削減していきます。

「スターバックス創立50周年に際し、私たちは未来を見据え、人々の心を豊かで活力あるものにし続けるにはどうすればよいか、改めて考えています」とミシェル・バーンズさん(スターバックスグローバルコーヒー、ティー、およびココアの上席副社長)は語ります。

「気候変動の影響で、良質なコーヒーを生産することがどんどん難しくなっています。私たちは、生産者とともに、この課題に取り組むことがどれほど大切なことかよくわかっています。

CO2排出量や水の利用量の削減は、生産者が良質なコーヒーを育てることを助け、同時に地球がより良くなることに貢献します。お客様にサステナブルなコーヒーを届けることができるのです」(ミシェル・バーンズさん)

サステナブルなコーヒーへ。

加速する取り組み

スターバックスは、創業当初から、責任あるコーヒーの調達に先進的に取り組んできました。

今回宣言した環境目標は、2004年から全世界で取り組んできた「C.A.F.E. (coffee and farmer equity)プラクティス」プログラムの延長線上にあるものです。このプログラムに参加している生産者は、その国の平均よりも生産性が高いことが明らかになっています。高品質のコーヒーを長期的に供給でき、同時に生産者の生活と彼らのコニュニティ良い影響を及ぼすことに努めています。

プラネットポジティブな未来に向けた最初のステップとして、スターバックスは、生産地、つまり、コーヒーの旅の最初の10フィート(農園から港まで)における炭素と水のフットプリントに焦点を当てています。

温室効果ガスの輸送以前の最大の発生源である農地と土地利用の変化に焦点をあてて取り組んでいます。

スターバックスが「C.A.F.E.プラクティス」プログラムをつくるのに協力した国際環境NGO「コンサベーション・インターナショナル」CEO、ドクター M.サンジャンさんは「農園から顧客にわたる、サステナビリティに重きをおいた明確で大きな目標を策定したスターバックスは、民間企業において気候変動分野でリーダーシップをとる顕著な存在だ」と評価します。

「スターバックスは、フットプリントを減らし、自然に投資するという直接的な行動をしています。コミットメントをきちんと実行していることはとても意義深いことです。他の企業も同様の道をたどることを、望みます。ビジネスにとっても人々にもとっても良いことで、気候変動を解決していくために絶対に不可欠なことです」(ドクター・M.サンジャンさん)

カーボンニュートラルなグリーンコーヒーとは

スターバックスは2030年までにカーボンニュートラルなグリーンコーヒー(生豆)を実現するという目標を掲げています。

それを達成するために実行するのが、次の3つの基本的な戦略です。

【1】生産者とともに精密な農業ツールを使用してCO2排出量を削減

スターバックスのファーマーサポートセンターは、生産者とモバイルアプリを通じて土壌の状態を共有して分析。生産性を高めるために、どんな栄養素と肥料が必要なのか調べ、生産者をサポートしています。

今日までに11,500以上の土壌と葉のサンプルが集められています。各農園に合わせた解決策により、生産者は必要な農薬だけを、量を減らしながら使用することができます。このことは農場でのCO2排出量を減らすことに役立ち、また、作物の生産性も高めます。

【2】気候変動に耐性のある品種の推奨と配布

スターバックスは、種子や苗を調査結果とともに世界中の生産者にシェアし、彼らの気候変動対策をサポートしています。気候変動に抵抗力のある品種は、さび病にも耐性があり、同じ土地面積でより多くのコーヒーを栽培することができます。それにより全体的なCO2排出量を減らすことに役立ちます。

【3】主要なコーヒー栽培地で危機に瀕している森林の保全と復元

コーヒー産業が直面する気候変動の要因となる最大の課題は、土地利用の変化と森林破壊です。スターバックスは、コンサベーション・インターナショナルとパートナーシップを組み、コーヒー生産国における森林と景観の保全及び復元プログラムに投資します。まずは、コロンビアとペルーの2カ国から開始します。このようなアグロフォレストリー(混農林業、森林農業)の取り組みは、炭素を吸収し、カーボンニュートラルへの道をサポートするだけでなく、水の生態系およびコーヒー生産地のコミュニティへの貢献に広げています。

生産地の水保全

スターバックスは、2030年までに水使用量の50%削減を実現します。

従来コーヒーの加工には、たくさんの水を使います。スターバックスは、加工過程でより環境に配慮した機械を使えるよう保障することで、節水を可能にしています。これは、品質を標準化し、加工効率を高めることにもつながっています。具体的には次の3つの戦略があります。

【1】C.A.F.E. プラクティスの認定を受けている農園のために、新しいエコロジカルなウェットミル(エコミル)に直接投資して節水

スターバックスはここ1年で、600に近い数のエコミルを購入し、グアテマラ、メキシコ、ペルー、ケニア、ルワンダのコーヒー農園に配布しました。エコミルが導入された農園では、コーヒーの加工において最大80%の節水が実現しました。

【2】水処理技術や機械をさらに効率的にするために投資

スターバックス トライアーセンターを通して、サプライヤーとともに、水処理技術・機械を改善する可能性を探っています。同時にスターバックスのファーマーサポートセンターを通して、未来の機械のデザインや操作性について調査し、生産者の声を集めています。

【3】コーヒー生産地コミュニティにおける水補給プロジェクトの開発

長期的な水戦略の一環として、生産地で水を補給するプロジェクトをスタートします。このプロジェクトは、水に関するリスクの高いコミュニティや流域に焦点を当てて取り組みます。

進行中の取り組み

スターバックスはこれまで、グアテマラ、メキシコ、ペルー、ルワンダ、ケニアで、CO2と水に関する戦略をテストするプログラムを立ち上げました。この戦略は9万2,000人以上の生産者に影響を与えるものです。

新しいエコミルへの投資、11,500以上の土壌と葉の分析など初期のテストプロジェクトの成功に基づき、スターバックスは、コロンビア・ナリーニョ地域の100の小規模農家とともに包括的なサステナビリティプロジェクトを新たに立ち上げました。

このナリーニョプロジェクトは、環境再生型農業、精密農業と農業経済学について、これまでスターバックスが得てきた最高の知見と資源を統合し5年間に渡って実施していきます。

生産者は、農業とビジネスに関するカスタマイズされた実践的なサポートを受けます。加えて生産者は、水使用とCO2排出量を削減する設備や施設、そして気候変動に対応できるコーヒーの苗を受け取ります。

このプロジェクトは、生産者が生産性・品質・収益性を高め、同時にコーヒー生産と加工による環境負荷を減らすことに役立ちます。

取り組みの測定と拡大

スターバックスは、コーヒー生産に関する課題は、一企業では解決できないこと、生産者にとって真により良い未来に向かうためには、関わるすべての人たちが協力していく必要があると考えています。

スターバックスは、国際環境NGOコンサベーション・インターナショナルやほかの団体から協力と助言を得て、カーボンニュートラルなグリーンコーヒー実現のためのロードマップと測定法を発展させることに取り組んでいます。スターバックスは、業界全体に役立てるためにその学識を共有します。

スターバックスはまた、国連グローバル・コンパクト(※1)による、水資源問題のグローバルプラットフォーム「CEO Water Mandate」に参加しています。また、企業の水資源問題に関する認知を高め、世界の主要な流域での協同実践プロジェクトにおいて他の先進企業とパートナーを組むための水レジリエンス・イニシアチブ(Water Resilience Coalition」にも参加しています。

「CEO Water Mandate」の代表、ジェイソン・モリソンさんは「チームを代表して、Water Resilience Coalitionのリーダーシップ委員会へスターバックスを迎え、主要な流域における水管理をともに進められることを誇りに思います」と述べました。

「このプロジェクトへの参加は、スターバックスのリソースポジティブという大志と、長期にわたるサステナビリティへの取り組みに合致しています。とりわけ生産者とともに進めてきた気候変動と水問題に対応した農業ともつながるものです。

先進的企業の仲間にスターバックスが加わり、ともに流域の問題に取り組むことを楽しみにしています。この取り組みはサプライチェーンと世界中の生産地コミュニティをよりレジリエントにすることを可能にするはずです」(ジェイソン・モリソンさん)

スターバックスは、CO2と水のフットプリントを引き続き算出し、その進捗を毎年「Global Environmental Social Impact Report」で報告します。スターバックスはまた、Science Based Targets initiative (SBTi )(※2)とともに、カーボンニュートラルなグリーンコーヒーを含む、2030年までのサステナビリティの目標(2030 corporate sustainability goals)を検証していきます。

※1:国連グローバルコンパクト
各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組み

※2:SBTi
WWF、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトによる共同イニシアティブ。企業に対し、「気候変動による世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ、1.5度に抑える」という目標に向け、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進している

原文へのリンク(英語)

https://stories.starbucks.com/stories/2021/starbucks-announces-coffee-specific-environmental-goals/