Back to Starbucks ~原点回帰~
<こちらの文書は、9月10日に米国スターバックスより発信された英語の原文より翻訳しました。>
全パートナー、お客様および株主の皆さまへのメッセージ
CEOとしての最初の1週間は、一人のリーダーとしてだけではなく、長年のスターバックスの一人の顧客として過ごす時間でもあります。これまでの数週間、店舗でパートナーやお客様と話をし、オペレーションや店舗設計、マーケティング、商品開発チームとも語り合うことができました。
その対話の一つひとつから、2つの真実が見えてきました。まず、スターバックスはすばらしい人のいる、愛されるブランドであるということです。私たちは、人々の日常、そして私たちがサービスを提供するコミュニティーに溶け込んでいます。2つ目は、スターバックスのコアから私たちが逸脱してしまったと皆が思っていることです。私たちには、店舗のエクスペリエンスをパートナーにとってより良いものにしていく機会がありますし、それがひいてはお客様のエクスペリエンス向上にもつながります。
スターバックスは、グリーンエプロンを身に着けたすばらしいパートナーが心を込めて手作りし、心から楽しんでもらう高品質なコーヒーへの愛情の上に築かれました。コーヒーはスターバックスの中心です。コスタリカのポアス火山のふもとに位置し、私たちの研究・革新への取り組みの中心でもあるハシエンダ・アルサシア農園を私たちは所有・運営しています。ファーマーサポートセンターのネットワークを通じ、スターバックスのアグロノミストは地元の生産者に研究成果やベストプラクティスを共有し、教育を行っています。最高品質のコーヒー豆に対する投資も行っています。これらの豆は、全米5か所、EMEAマーケット向けのアムステルダム、中国向けの崑山、そして新興マーケット向けのインドのカルナタカの焙煎工場で、高い技術を持ったスターバックスのロースターのチームによって丁寧に焙煎されています。また、小ロットのリザーブコーヒーを焙煎するスターバックスリザーブ・ロースタリーを、ミラノ、上海、東京、ニューヨーク、シカゴおよびシアトルで運営しています。私たちのコミットメントを反映した最高の1杯を提供するために、最高の店舗機器を設計し、バリスタのトレーニングにも投資を行っています。私たちが提供する1杯は単なるドリンクではありません。それは、人の手でしか生み出せない、心のこもった瞬間なのです。
スターバックスの店舗はこれまでずっと、1杯のコーヒーを提供する場所にとどまらない存在でした。人々が集い、会話が弾み、友情が育まれ、すべての人がバリスタから温かく歓迎される、コミュニティーの中心でした。スターバックスに行くことは、おいしいコーヒーはもとより、つながり、喜びと同義語です。
今でも、お客様の多くはこのようなスターバックスの魔法を毎日楽しんでいますが、特に米国などの一部の地域では、そのようなことがいつもできているとは限りません。接客が事務的だ、メニューに圧倒される、商品の一貫性がない、長い時間待たされる、ハンドオフが混沌としているなど、これらはすべて私たちにとって改善の良いチャンスです。
本日、私はコミットメントを発表したいと思います。私たちは本来のスターバックスに立ち返ります。スターバックスをこれまでずっと他社と異なる存在たらしめた要素― 人々が集い、スキルの高いバリスタが心を込めて手作りした最高品質のコーヒーを提供する、温かく迎え入れてくれるようなコーヒーハウスであること― に再びフォーカスします。これこそスターバックスの不変のアイデンティティです。私たちはここから変革を遂げます。
そこでまず、最もインパクトの大きい4つのキーエリアにフォーカスしていきます。
1.バリスタがお客様を大切にできるようにする:
バリスタにツールを提供し、時間的な余力をもっておいしいドリンクを心を込めて作成し、一人ひとりのお客様に向き合って提供できるようにします。スターバックスを、キャリアアップの機会に溢れ、成長への道筋が明確な最高の職場にすることによって、店舗パートナーがリーダーシップをもって行動するという、スターバックスの伝統を、パートナーのために強化していきます。
2.毎日、最高の朝のエクスペリエンスをお届けする:
人々はスターバックスから1日を始めますから、その期待に応えていかなければなりません。つまり、最高の1杯やフードを時間通りに、いつでも提供していかなければなりません。
3.コミュニティーが集うコーヒーハウスとしてのスターバックスを取り戻す:
店内のエクスペリエンスを向上させることにコミットします― スターバックスらしさを形成するビジュアル、香り、そしてサウンドを反映した空間を作り上げます。スターバックスの店舗は、快適な客席と気の利いたデザイン、そして「お持ち帰り」と「店内利用」のサービスが明確に区別された、ゆっくり過ごすことのできる快適な環境となります。
4.スターバックスのストーリーを語る:
今こそ、私たちのストーリーを再び語るときです― 比類なきスターバックスのコーヒーの専門性、地域における私たちの役割、そしてスターバックスだけが提供できる特別な体験を人々に思い出してもらいます。スターバックスがどんな存在であるかを、人に決めさせてはなりません。
米国ビジネスにおいてこのビジョンを実現していくために、パートナーとお客様のエクスペリエンス向上、サプライチェーンの改善、そしてアプリおよびモバイルオーダーの進化につながるテクノロジーへの投資を行います。
これが米国のプランであり、私はまずここに時間を使っていく必要があると考えています。しかし、スターバックスはグローバルな会社です。私たちが展開する世界の87のマーケットでは、何千人ものグリーンエプロンを身に着けた有能なパートナーたちが毎日、コーヒーへの愛情をお客様に共有しています。そのような素晴らしいチームから学ぶこともたくさんあると思いますので、各マーケットを訪れてお会いできることを楽しみにしています。中国においては、この激動のマーケットにおける成長のチャンスと私たちの強みを活かす道筋を見定めていかなければなりません。インターナショナルビジネスにおいては、成長の可能性は多大にありますが、特に中東のような地域では、スターバックスブランドに対する誤解を解くための取り組みが必要です。そしてアジア・パシフィック、ヨーロッパ、そしてラテンアメリカでは、スターバックスに対する愛情は強いです。
最初の100日間に私がフォーカスすべきところは明確です。店舗やサポートセンターで、主要なパートナーやサプライヤーと対話をし、チームと共にこれらの大切な第一歩を踏み出していきます。スターバックスをスターバックスたらしめている要素を、共に取り戻しましょう。
これからも
会長兼CEO
ブライアン・ニコル