物語を紡ぐ、一員として。コミュニティに思いをよせた店づくり


地域に流れる文化や文脈を受け継いでいく

日本中どの地域にも、そこに住まう人たちが大切に育んできた文化とコミュニティ、脈々と流れている物語があります。

私たちスターバックスは、お店を構える時、そうした土地の歴史や住民のみなさんの思いをよく知って尊重し、受け継いでいきたいと考えています。地域なくして、私たちのお店は存在できないと考えているからです。私たちはこれまで、店舗づくりや、地域活動、そして日々のサービスなど、さまざまな形でその思いを表現してきました。

そんな取り組みのひとつが、「リージョナル ランドマーク ストア」です。各地域の象徴的な場所で、地域の文化を世界に発信していくこと、訪れた方が地域の魅力を再発見できる場所であることを目指しています。

住民憩いの場を、もっと心地よく。森に包まれた浜松城公園店

静岡県浜松市の中心部、市民憩いの場として親しまれている浜松城公園。この公園の一角に、スターバックスのリージョナル ランドマーク ストア「浜松城公園店」はたっています。

入り口に向かうと、凛とした佇まいの立派な木の枝が目に止まります。同店は、もともと立っていた公園の木々をできるだけ伐採せずに生かし、森に包まれるような店舗になるよう設計されました。

この公園で長年くつろいできた住民のみなさんに思いを馳せ、木々からの癒しはそのままに、コーヒーを片手にもっと心地よい時間を過ごしてほしい。そんな思いを込め、同店はガラス面の多い店舗になっています。店内にいても緑に囲まれている気分が味わえ、木々の隙間からは浜松城の天守閣を垣間見ることともできます。

公園の木々を、できる限りそのまま生かそうと配慮した同店ですが、最小限ながらもやむを得ず伐採した木々もありました。それらは、入り口の取手や、店内のアートなどに活用。店舗とともに、今も生き続けています。

天井部分には、「天竜材」を使用。天竜材とは、急斜面の山林地・浜松市天竜地区で育った木材のことで、まっすぐで節が少なく、目の詰まった優れた材として知られています。また、クッションには、伝統工芸「遠州織物」を取り入れました。ふっくらとしてあたたかみのある織物の魅力を、触って実感していただけます。

群馬のシンボルとなる山々を、地元アーティストが描いた敷島公園店

地域文化を大切にした店づくりを行っているのは、リージョナル ランドマーク ストアだけではありません。店内に掲げるアート作品によって、地域の魅力を伝えている店舗が、全国にはたくさんあります。

群馬県前橋市にある敷島公園店。陽の光が燦々と差し込む、広々とした空間です。店を見渡すと、ソファ席の背面にかけられた3枚の鮮やかな絵画が目に入ります。

「上毛讃頌(じょうもうさんしょう)」と名付けられたこの作品は、群馬県出身・在住のアーティスト、上原 菜摘さんが描いたものです。上原さんが幼い頃からずっと見てきたという上毛三山(赤城山、榛名山、妙義山)とコーヒーの木をモチーフに、上毛三山の麓に根を下ろし実った敷島公園店が表現されています。

同店以外にも、地域の伝統工芸品の和紙を使用したアートや、地元の海に漂着したプラスチックゴミを素材にしたアートなど、店舗ごとに地域とのつながりを感じるアート作品を展示しています。

淀川テクニック監修の元、地域の皆さんも参加した「沖縄本部町店」のコミュニティアート。
©淀川テクニック

地域のみなさんに愛され、日常に溶け込み年を重ねる店舗

パートナーたちが、毎日のサービスの積み重ねによって地域住民のみなさんとつながり、ともに歴史を刻んでいる店舗もあります。

2009年、福井県2号店としてオープンした、北陸自動車道の「南条サービスエリア(上り線)店」。小さなサービスエリア店舗ながら、パートナーたちによる、笑顔あふれる気持ちのよい接客で、地元ファンの多い店舗です。一般道入り口から、気兼ねなく訪れる常連客のみなさんが、リラックスした様子でひと時を過ごしています。

大阪府北部、吹田市に1970年に完成した千里ニュータウン。日本で最初にできたこのニュータウン内に「イオン北千里店」はあります。開店から18年となる同店を愛用いただいているのは、アクティブシニアのみなさんです。習い事や寄合の前後、毎日のようにご利用いただいています。中には10年以上も通い続けてくださる方も多く、パートナーたちとの関係性も深く、楽しそうに言葉を交わす姿が見られます。お客様の日常に寄り添い、ともに年齢を重ねている店舗です。

香川県の「丸亀新田店」は、2020年3月にオープンした店舗ながら、すでにたくさんの地元の方々に愛用いただいています。この店舗のパートナーたちは、「お客様にドリンクを渡す」という日常の仕事を、いきいきと、楽しそうに行っています。どんなに忙しい時間帯も、少しの会話を添えてお渡しし、お客様も喜んで受け取ってくださっている様子。「地域のみなさんのリビング」として、住民のみなさんの日常に溶け込んだ場所になっています。

丸亀新田店

全国各地、どの店舗でも、パートナーたちの胸にあるのは、地域への思いです。私たちは、人が集い、リラックスして言葉を交わせるカフェだからこそ、地域コミュニティに対してできることがあると考えています。

その土地で育まれてきた文化や、人々のつながりを受け継ぐ一員として。地域の物語を未来へとつないでいきます。