社会の課題と誠実に向き合う。フードロス削減への挑戦


フードロス削減のためのプログラムをスタート

この夏、スターバックスでは、多くのパートナー(従業員)たちが待ち望んだプログラムがスタートします。それは、店舗が閉店した後、賞味期限を迎えるフード商品の廃棄量を減らす取り組みです。

静岡県の店舗に勤務する伊藤さんもそのひとり。伊藤さんは、大学生のときにスターバックスでアルバイトをはじめました。常連のお客様とのつながりを通して「スターバックスはコーヒーを売るだけではなく、お客様の人生を豊かにするお手伝いをしている」ことを実感。その後、社員となる道を選びました。

そうしてパートナーとして働く中、ずっと気にかかっていたのが、閉店後に賞味期限を過ぎたフードを廃棄する作業だったと言います。

「例えば、フードをケースに並べるのは、どうしたらお客様が見やすいかなど考える思いやりのある仕事です。でも、廃棄する行為には常に違和感がありました」(伊藤さん)

とはいえ、フードの発注を減らすことは、お客様の選ぶ楽しさや購入機会を奪ってしまうことになるため、最善策とはいえません。誰にとっても幸せなフードロス削減をかなえるにはどうすればいいか……自ら考えて提案したいと伊藤さんが参加したのが、2019年に実施された「ユースアントレプレナーアクション」でした。

勇気を持って行動し、新しい方法を追求すること

ユースアントレプレナーアクションは、30歳未満の若手パートナーを対象に、社会を変えるアイデアを発掘し、起業家精神を養うプログラム。伊藤さんは、スターバックスらしいフードロス削減案を模索し、他企業と提携してフードを廃棄せず活用するようなしくみを提案しました。

2019年、ユースアントレプレナーアクションに参加した伊藤さん。チームメンバーと。

パートナーの投票により、見事ファイナリストに選ばれた伊藤さん。最終セッションでは水口貴文CEOやボードメンバーにプレゼンテーションを行いました。伊藤さんや周りの多くのパートナーたちの思いが伝わり、スターバックスのフードロスへの取り組みは大きく動き出すことに。伊藤さんたちの案が直接採用されたわけではありませんが、今回スタートするプログラムの実施を後押しすることにつながりました。

2019年のユースアントレプレナーアクションファイナリストのパートナーたち

「フードロスについては、僕だけでなくパートナーの多くが改善したいと考えていたこと。ユースアントレプレナーアクションへの参加で、その声を代弁できたことを嬉しく思います」(伊藤さん)

また、きちんと声に出して言うこと、実際に行動することの大切さを実感し、自分自身を成長させることもできたと言い、そのきっかけを与えてくれたスターバックスで働いていることを誇らしく思うと語りました。

スターバックスが目指すリソースポジティブなあり方

2020年1月、スターバックスは地球から得るよりも多くを返す「リソースポジティブカンパニー」を目指すと発表しました。

2030年までに廃棄物を50%削減することも目標のひとつ。フードロスの削減はこの目標を達成するための大切なアクションです。

そして8月23日から、フードロスを減らすためのプログラムがスタートします。毎日、閉店が近づいて廃棄が見込まれる商品があるなど在庫状況に応じて、20%OFFで販売することで廃棄量を減らす取り組みです。売上の一部は、こども食堂の普及に取り組む認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付し、子どもたちの食と未来を支援していきます。

プログラムの実施は、フードケース内でお知らせ

このプログラムは、パートナーたちに裁量があることも大きな特長。割引を行うかどうかは、各店舗で、毎日、在庫の状況を見てパートナーたちが判断するのです。

「単なる割引ではなく、お客様にフードロスを減らす取り組みだということを丁寧に伝えていきたい。今までは会社に声を上げるだけだったけれど、ここからは自分たちが行動する番です」と、伊藤さんは意気込みを語ります。

取り組みを行う店舗のパートナーが、取り組みへの思いをカードに記入

「お客様と一緒に取り組めるところが、スターバックスらしいと思うんです。たくさんコミュニケーションをして、割引されたフードを購入することが、フードロスを減らす『かっこいいアクション』だという認識を広めていきたいです」(伊藤さん)

社会課題に対して、「やらなければならない義務」と捉えるか「自分がやってみたい挑戦」と捉えるかで、広がり方は大きく異なります。パートナーが自信を持ってすすめられるからこそ、お客様へも熱意が伝わります。

一人ひとりの小さな一歩の積み重ねが、社会を変える大きなアクションにつながると信じて。スターバックスはフードロス削減の挑戦を続けていきます。