被災地でのつながりから生まれたハミングバード プログラム。小さなしずくから広がった波紋は、9年間で大きな力に。


10年前の3月11日、東北エリアのスターバックスの店舗も大きな影響を受けました。14時46分、仙台エリアでは店長会が開かれており、地鳴りとともに大きな揺れを感じました。みんなで肩を寄せ合い、机の下に隠れました。「とにかく揺れが長かったことしか記憶に残ってない」と村上元子現・エスパル仙台東館店ストアマネージャー。店舗では什器が倒れ、床に散乱する商品。設備の故障や浸水などによって、239店舗が一時休業になりました。

それからわずか8日後の19日、仙台アエル店に明かりがともりました。「コーヒーなんて飲んでいる場合なのか、お客様にはどう映るのか」。当時のパートナー(従業員)は、お店を開けることへの戸惑いもありましたが、「こんな時だからこそ開けよう。私たちができること、するべきことがある」と前を向きました。営業再開初日は時短営業で、商品もすべては揃えられませんでしたが、お客様の笑顔、エプロンを付けられることの喜びをかみしめているパートナーの笑顔が、そこにはありました。

全国の店長1000人が訪れた東北。復興への思い強めるコーヒーサーブ

東北の各地域でお客様とともに自分たちにできることを進めてきました。震災から一年後の2012年3月、スターバックスでは、年一回開催される全店長が集まる会議を、仙台で開催。店長たちは会議の前日に被災地を訪れ、瓦礫の山に呆然としながらもコーヒーを振る舞い、現地の方々からお話を伺いました。「見たからには、聞いたからには、責任が発生しますよ」。ずっしりと重い言葉に心を突き動かされ、個人で、店舗の仲間と力になりたいと胸に誓う店長たち。現地で復興に向けて活動する方から受ける言葉に、「お客様と一緒に被災地を応援していきたい」という思いが高まるのを感じていました。そこから生み出された情熱が、ハミングバード プログラムをここまで続ける原動力になったのです。

コーヒーと思いで人と人をつないだ、9年間

被災地で活動する団体の視察を通して出会ったのが、公益財団法人みちのく未来基金です。震災の年に生まれた子が卒業するまで25年間活動を継続するという明確な目標や、奨学生たちと団体スタッフとがまるで家族のように支え合う関係性に共感し、9年間寄付先としてパートナーシップを組んでいます。毎年奨学生たちやサポーターが集まるイベントには、パートナーの代表が全国から駆け付け、奨学生と一緒に参加者の方々へコーヒーを提供しています。

参加したパートナーはその経験を持ち帰り、周囲のパートナーに共有し、そこから店内の黒板で活動の紹介をしたり、パートナー同士で勉強会をしたり、お客様とのコミュニケーションにつなげています。中には、広島の店舗から仙台のみちのく未来基金の事務所へ自主的に足を運んだパートナーも。その後、みちのく未来基金の代表長沼さんが今度は広島を訪問し、勉強会でお話してくださるなど交流が生まれました。

昨年からは新たに支援の輪を広げ、経済的困難を抱える若者に学ぶ機会を提供する公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンも寄付先に。支援の輪が広がっています。

 お客様と一緒に、実現するプログラム。震災10年、小さなしずくから大きな波紋に。

“森が火事になり、動物たちはわれさきにと逃げました。でもハチドリだけは、口ばしで水を一滴ずつ運んでは火の上に落し、何度も行ったり来たり。「そんなことをしてどうなるんだ?」と笑う周りの動物たちに対し、ハチドリは答えます。「私は、私にできることをしているだけ」。“

小さな力の大切さを教えてくれる南米アンデス地方の古くて新しいお話「ハチドリのひとしずく」。このストーリーに思いをのせた寄付プログラム「ハミングバード プログラム」が今年も始まりました。

「あなたの一杯で、東北、そして、日本の若者たちの夢を応援しませんか?」。

私たちのそんな呼びかけに、多くのお客様が賛同してくださり、全国にたくさんのハチドリが羽ばたいています。「プログラム期間中はメインカードをハミングバードに切り替えています」「このプログラムのためにReward eTicketを1年間集めています」。お客様のそんな言葉に励まされながら、活動を続けてきました。

「YOU & STARBUCKS」

スターバックス カード ハミングバードに記された、この言葉は、お客様(YOU)とスターバックスが一緒に取り組むことで実現されることを意味しています。あの日から10年。ハチドリの運ぶ小さな小さなしずくからできた波紋は、ゆっくりと広がり、大きな波紋に。スターバックスはこれからも、つながりの持つ力を信じ、お客様と一緒に若者たちの夢を応援していきます。

(広報部・外処 郷平/佐藤 瞳)

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