多様性に触れ広がった世界。パートナーが語るサイニングストア1周年


目の前の相手を尊重し、向き合うことの大切さを実感した1年

「教えることの難しさに悩みながらも、自分自身の成長につながった1年でした」

そう語るのは、2021年6月27日に開店から1周年を迎えた「nonowa国立店」のパートナー、吉澤さんです。

手話を使い、聴覚に障がいのあるパートナーとそうでないパートナーがともに働く同店。すばやく手話を交わしながらにこやかに働くパートナーたちからは、仕事に誇りを持ち、心から楽しんでいることがうかがえます。

聴覚に障がいのある吉澤さんは、2007年からスターバックスで働いていますが、「nonowa国立店」に異動したことで初めて、ほかのパートナーを指導する立場になりました。

当初は教えたいことがうまく伝わらず悩むことが多かったと言う吉澤さん。ある時、今まで自分が教えてもらった時のことを思い返し、「相手の立場に立つ」という視点が欠けていたことに気がついたと語ります。

「一方的に教えるのではなく、相手を尊重しながら意見を引き出し、受け止めてアドバイスをするように心がけるようになりました」(吉澤さん)

相手の良いところを積極的に褒めることも心がけ、少しずつコミュニケーションがうまくいくようになりました。

「障がいのある者同士であっても、わからないことはたくさんあります。目の前の相手に向き合うことの大切さを実感しました」(吉澤さん)

インタビューは筆談で。身振り手振りを加えながら、丁寧に語ってくれた

「自分の世界が広がり、将来に影響を受けたと感じています」

nonowa国立店での経験は、パートナーたちが新しい価値観に気づくきっかけにもなっています。聴覚に障がいのある岸野さんは、現在大学院2年生。オープン時から働くパートナーのひとりです。初めてのアルバイトで、自分の世界が広がったと話します。

「手話や口話※を使ってもお客様にうまく伝えられないことがありました。自分なりに考えて、ジェスチャーを大きくしたり、指差しメニューを用いたり工夫を続けています。自分自身のコミュニケーションの幅が少しずつ広がっていると感じています」(岸野さん)

※聴覚障がいのある方が、相手の口の動きを読み取り、自身の発声と口の動きでコミュニケーションを図る技術のこと。

店内に用意された指差しメニュー

岸野さんには、接客するなかで交流を深め、影響を受けているお客様もいます。その方とは、来店のたびに手話を覚えてきてくださる年配のお客様です。新しいことを学び続ける姿勢に感銘を受け、自分もこうありたいと強く思うようになったと話します。

就職活動中の岸野さん。スターバックスでの経験は、自身の仕事観にも影響したそうです。

「nonowa国立店で働く以前は、『自分のために』生活をすることばかり考えていました。自分のチャレンジをスターバックスが受け入れてくれて『お客様や一緒に働く人の立場で考える』ことの大切さを知りました」

今度は自分が困難なことにチャレンジしている人を応援する仕事をしてみたい、と笑顔で話してくれました。

ほかの店舗からも反響が

聴者であり、同店でシフトスーパーバイザー(時間帯責任者、以下、SSV)として働く梅田さんは、パートナー同士が得意なことを教え合う環境がお店の成長につながってきたと語ります。

SSVの梅田さんにはオンラインでインタビューを行った

ある時、耳に障がいのあるパートナーに教えたいことが伝わらず困った梅田さんは、障がいのある別のパートナーにフォローをお願いしました。近い立場から理解しにくい部分を察して、細かく意図を伝えてくれたと話します。

「一人ひとり、できること得意なことは違います。だからこそ、教え合う雰囲気やマインドを持つ職場であることが大事だと気づいた出来事でした」(梅田さん)

nonowa国立店の存在は、スターバックスのほかの店舗にも影響を与えています。聴覚に障がいのあるパートナーが働く店舗からは、みんながいきいきと働く秘訣を教えてほしいと相談が寄せられます。さらに、「うちでも聴覚に障がいのあるパートナーを採用したい」という相談もありました。

「私たちが楽しそうに働いている姿を見て採用したいと。ほかの店舗に勇気を与えたと知り、嬉しかったです」と梅田さんは誇らしげに話してくれました。

対話で違いを超えていく。多様性はパートナーを成長させる鍵

オープン時から同店に携わる向後 亜紀ディストリクトマネージャー(地区担当マネージャー、以下、DM)は「障がいの有無による特別な線引きは必要ない、と改めて感じた1年でした」と感慨深く話します。

同店が直面した課題は他店舗と変わらないものばかりでした。「人はそもそも、一人ひとりが違うもの。耳が聞こえるか聞こえないか、それは違いのひとつでしかない」と向後DM。

「違うからこそパートナー同士意見が衝突することもありますが、全員が意見を出し合い、考えるというプロセスを経れば理解できる部分が見つかります。そうして多様な考えに触れることが、パートナーと店の成長につながってきたと感じています」(向後DM)

オープンから1年、パートナーに多くの気づきと学びを与えてきたnonowa国立店。同店の表現する「すべての人が輝く職場」があたりまえになる日をめざし、スターバックスはチャレンジを続けます。

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「目に見えにくい特徴も大切に」スターバックスが考える『NO FILTER』な社会とは?