コーヒーストーリーvol.23「できることから1つずつ 姿をかえるコーヒーの果実」


あなたのその手にコーヒーが届き、カップから香ばしい香りが鼻を抜けた時やひと口ラテを飲んで舌に広がるまろやかなコクに包まれほっと一息ついた時。ふと、生産地の風景が頭に思い浮かんだ経験はありますか?日本の農家さんがこの猛暑のなかで心を込めて農作物を育ててくれているのと同じように、遥か遠いコーヒー農園から届いたこの1杯のコーヒーも情熱をこめて作られた農作物なのです。

みなさん、こんにちは!
西関東・甲信エリア エリアコーヒーマスターの金本美和子です。

今回私からはコーヒーチェリーについてお話をさせていただきます。コーヒーチェリーの種こそが皆さんがよく知る「コーヒー」ですが、その周りを包む「果肉」や「果皮」のお話です。

コーヒーチェリーの活用方法とは?

それでは早速、エシカルクイズに挑戦してみましょう! 「コーヒー豆を取り出した後の果皮や果肉は、どのように処理するでしょう?」

①川に捨てる ②焼却する ③肥料にする 

少し専門的なお話ですね。正解は、③肥料にする です!正解できましたでしょうか?

では、口の中にさくらんぼをイメージしてください。コーヒー豆はコーヒーチェリーの種子にあたるのでさくらんぼの種の様なものです。つまり、カップに注がれるコーヒーになるまでに、コーヒーチェリーから果皮や果肉を取り除く「加工」という工程が生産地で行われています。

そして種子を取り出した後の残りの果皮と果肉は通常、廃棄物となります。さくらんぼのように果肉をそのまま果物のようには食べません。果皮と果肉でコーヒーチェリー総重量の約80%以上を占めているので、たくさんの廃棄物がコーヒー豆を加工する工程で生み出されます。

そこで、生産地ではそのまま破棄せず役割を与えています。例えば果肉を乾燥・発酵させてコーヒー栽培の肥料として再利用しています。

生産者さんとの協業で地球環境への負荷を少しでも低減し持続可能なコーヒー栽培が実現しているのです。 

「カスカラ」ご存じですか?

活用方法は肥料だけではありません。「カスカラ」を知っていますか?カスカラは、コーヒーの果皮と果肉の総称です。以前スターバックスでもそのカスカラから作られたお砂糖(カスカラシュガー)がトッピングされたドリンクが発売されました。(※現在は販売を終了しています)

店内でお砂糖やマドラーなどを置いている、コンディメントバーにも並んでいたので使ったことがある方、いらっしゃるのではないでしょうか?ブラウンシュガーのような色味で1粒が粗く、自然な甘みが特徴的でした。存在感が抜群でいつものスターバックス ラテを美味しく彩ってくれるアクセントになりました。

現在はスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京でカスカラのシロップを使ったドリンクをお楽しみいただけますよ。

他にカスカラティーやカスカラジャムなども市場に出回っています。意識してみてみると見つかるかもしれませんね。

環境負荷低減のための工夫
「家庭での豆かすリサイクル」

では、最後に環境への負荷を低減するために私自身が実践していることを紹介します。 それは家庭でコーヒーを抽出した際に出る豆かすのリサイクルです。豆かすで脱臭剤を作り、すぐに捨ててしまうものを再利用しています。

豆かす脱臭剤の作り方 

①コーヒーの豆かすを新聞紙の上に広げてよく乾かす (カビを防ぐために十分に乾燥させてください)

②小さい紙袋に入れる ※効果を感じにくくなったら、交換してください。

焙煎されたコーヒー豆には表面に孔(あな)があいていてにおいを吸収することができるので脱臭効果が期待できます。 (抽出前のコーヒー豆を冷蔵庫で保管するのをおすすめできないのはにおいを吸ってしまうのも理由の1つです!)

我が家では冷蔵庫やシューズクローゼットなどにおいの気になるところに置いており、新たに脱臭剤を購入しなくて済んでいます。 とても簡単で手軽に始められるのでぜひ試してもらえると嬉しいです。

スターバックスの店舗のお手洗いにも設置されていますよ。

私たちができること

いかがだったでしょうか。 あなたのもとに届けられる前に、生産工程の1つとっても環境に配慮したコーヒー栽培が工夫されています。私たち一個人にできることは地球からしたら本当に小さなことで、この行動に意味があるのか葛藤を感じることがあるかもしれません。でも、それは何十年後かの答え合わせの時に、大きな違いを生み出すかもしれません。少しでもその時に良い点をもらえるよう、皆さんも一緒にアクションを起こしてみませんか?

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桜島を眺めながらコーヒーを。受け継がれるパートナーたちの想い(鹿児島県)前編