JIMOTO made +の新商品に込められた、ガラス職人たちの想い


スターバックスが2015年より始めた地元愛を醸成しながら日本各地の文化や産業を大切にしたいという想いを届ける「JIMOTO made Series」の取り組みを、さらに発展させて誕生した「JIMOTO made +」シリーズ。商品の背景にあるストーリーを、ロースタリー 東京から広く伝え、また本シリーズを通して日本各地の魅力を多くの皆様に感じていただき、その地域や人、文化を知り、応援する気持ちを未来へと育んでいきたいという思いが込められています。

「JIMOTO made +」第2弾の新商品として登場するのは、全国的に知られるガラス工芸品、津軽びいどろ。青森県にある北洋硝子で作られた、100色以上にわたる多彩な色合いをまとわせることができ、高い職人の技術により作られる商品の数々。「JIMOTO made +」第1弾に続き、さらにラインナップを増やして登場する商品に込められたストーリーを紐解きます。

青森西バイパス店のワークショップからガラス職人に

北洋硝子では女性のガラス職人も活躍しており、2022年6月現在、4名が社員として在籍しています。その一人が小笠原若菜さんです。高校生のころ、ものづくりへの興味から、スターバックス コーヒー 青森西バイパス店の『コーヒーの知識と北洋硝子の工場見学をする』というワークショップに参加し、この経験がきっかけとなり、北洋硝子への入社を熱望したそうです。

小笠原若菜さん

「職人さんが働く姿を見て、『ここで働きたい!』と強く思いました。青森市で生まれ育ったので、津軽びいどろのことは知っていましたが、どうやって作られているのか知識はまったくありませんでした。工場見学を通して、より身近に感じるようになり、ガラス製品を見る視点も変わりました」と小笠原さんは当時を振り返ります。

JIMOTO made+のスプーンレストを作る小笠原さん

現在、小笠原さんは箸置きの製作をメインに担当し、今回JIMOTO made+の商品に加わる、津軽びいどろのスプーンレストの一部を小笠原さんが手掛けています。

通常の箸置きの場合、直径35ミリが基本のサイズですが、JIMOTO made+のスプーンレストでは、それよりも5ミリ大きい40ミリが規格。サイズが違うため、吹き棹で巻き取るガラスの量から異なり、その差を目視で判断するのは想像以上に難しいもの。なにより、職人さんたちはいとも簡単に吹き棹で溶解したガラスを操っているように見えますが、自身が狙った量を巻き取り、それを理想の形に成形できるようになるには、日々練習を繰り返しながら3か月以上はかかるそうです。

透明なガラスに色とりどりのカレットを付けて、良い塩梅で溶解させるのはさらに難しく、スプーンレストのくぼみをどの製品もほぼ同じにようするのも神経を使う作業。スプーンレスト一つとっても、すべての工程において一切気を抜くことは許されないことがわかります。

伝統工芸士が語るチームワークの大切さ

入社25年の舘山美沙さんは、青森県認定の伝統工芸士です。舘山さんは伝統工芸士に認定されたことについて、「伝統工芸士に認定されることは、大きな目標の一つではありました。実際に昨年、自身が認定され、身が引き締まる思いです。ただ、ガラス職人としてはまったくゴールではないですし、おそらく一生、『これで納得』ということはないと思っています」と話します。

現在は単独班という、最初から最後まで一人でガラス製品を作る部隊に属し、さまざまな製品を手掛けています。単独で行うということは、一通りすべての技法をマスターしている熟練の職人だけが配属されるわけですが、舘山さんはこう話します。「単独班だから、一人で完結というわけではありません。津軽びいどろ作りにはチームワークが最も大切。それが全員の共通意識としてあるからこそ、すべての製品を通して高い品質を維持できています」。

色ガラスの配色や流れ方に工夫が光る

舘山美沙さん

舘山さんはJIMOTO made +の商品開発段階で、ピンブローで作り出す一輪挿しのデザインを主に担当。「今回、スターバックスさんと一緒に作り上げたJIMOTO made +の一輪挿しでは、色の配色、溶けたカレットの流れ方などを特に工夫しました。さまざまな色のカレットにより描かれる模様が途切れなく流れるように成形する。細かなことですが、そういった点にも注目していただけたらうれしいです」と舘山さんは話します。

約1500度もの高温の坩堝で溶かされたガラスに比例するような職人さんたちの熱量。長く使ってもらいたいという思いから一切の妥協を許さない高い強度の徹底は、職人さんたちの意志の強さ。さらに、日本の四季を表現する100色以上の多彩な色合いは、十人十色の職人さんたちの個性。

新たに発売されるJIMOTO made +津軽びいどろから、そんな職人さんたちと、津軽びいどろの不思議な繋がりを感じていただけたらうれしいです。

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スマトラ島で感じた、一杯のコーヒーの背景にあるもの。