若者・子どもたちの人生に選択肢を。ハミングバード プログラムが今年もはじまります


もしも子どもが「塾に行きたい」と言ったら。それは贅沢でしょうか?豊かに思える日本には、経済的な理由で望む教育を受けられない若者・子どもたちが多くいます。そんな若者たちを一杯のコーヒーから寄付支援できるハミングバード プログラムが、2022年もはじまります。

スタディクーポンで子どもの学びたい気持ちを支援

“高校受験に向けた塾代にあてさせてもらいました。気持ちの面も落ちついてきて、勉強もはかどり、無事高校にも合格出来ました”

これは公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(以下、CFC)に寄せられた声。

CFCは経済的な理由で塾、予備校、スポーツや音楽のような習い事など、学校外教育を受けることのできない子どもたちを支援するために設立された団体です。対象の子どもたちにスタディクーポンを渡すことで、子どもたちは自分の通いたい塾や習い事を選択することができます。

CFCにはスターバックスの寄付プログラム「ハミングバード プログラム」にもご協力いただき、全国のお客様の気持ちを若者たちに届ける役割を担っていただいています。 「本当にいろいろな事情の子どもがいる」と話してくれたのはCFC職員の入安にろさん。

CFCのプロジェクトを管理する入安にろさん

「経済的に困っているというだけではない場合が多いですね。最近ヤングケアラー※が話題になっていますが、ご家族の面倒を子どもが見なくてはいけない状況だったり、コロナ禍がきっかけで不登校になっていたり」(入安さん)

※ヤングケアラー…本来大人が担うと想定されているような家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものこと。

困っている子どもたちが自分でCFCに連絡してくることは稀です。子どもたちの“声なき声”に耳を傾けるため、CFCでは地域の自治体や学校等と連携して、支援を必要とする子どもを探し出しているそうです。

でも、なぜ給付金ではなく“スタディクーポン”なのでしょうか?

「確実に子どもたちの学びの機会を保障するためです。子どもたちの中には、厳しい家計状況の中でやりくりする親御さんに遠慮して、勉強したいと言い出せない子もいます。スタディクーポンであれば用途が子どもの教育に限定されているので、子どもたちが遠慮なく学びたいことを言えますよね」(入安さん)

今では日本全国の若者たちへの支援を目指していますが、もともとは東日本大震災で被災した子どもたちへの教育支援のために法人設立されたCFCは今年で11年目。現在では震災被害者に限らず、全国各地へ活動の裾野を広げ、これまでのクーポン利用者数は4,678人。クーポン提供額の総額は9.2億円にのぼります。

設立10年を機に発行されたレポートには、これまでの卒業生のさまざまな物語が綴られています。

母子家庭に育ち、高校3年生の頃に母から「予備校の費用は出してあげられない」と告げられた男性はクーポンを使って予備校に通い、見事大学に合格。今では転職支援の会社でチームでも中堅の立場になったそうです。

その男性は「10年前、CFCを通じて進学を支えてもらった。僕も誰かの人生の岐路を支えたくて、この仕事を選びました」とレポートの中で語っています。

社会全体で、子どもの学びや体験の機会をつくる

CFC代表の今井悠介さんはこの活動をはじめる以前、学習塾に勤めていました。自分たちが運営している教室の近所にひとり親家庭の子どもが住んでいたそうです。教室の無料体験には来てくれるのだけど、経済的な理由で継続的には通うことができない。その状況に悶々とした感情を抱いたことが現在の活動につながっていると言います。

「CFCで活動していると、機会格差はすごく大きいと感じます。シビアな言い方をすれば、子どもたちの人生の選択が生まれた地域や家庭に紐付いてしまっている。自分ではどうしようもない環境によって子どもの機会が左右されてしまうのは、大きな課題です」(今井さん)

日本のGDP(国内総生産)は世界第3位。経済的に豊かな国であるように思えますが、厚労省の2020年の報告では、日本の子どもの約7人に1人は相対的貧困状態にあるそうです。 相対的貧困とは、その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態のこと。貧困と言われると食べる物に困っていたり、住む場所に困っているような状況をイメージするかもしれません。しかし、もうひとつの貧困が確かに存在するのです。

クーポンを利用して学習する利用者 ©Natsuki Yasuda / Dialogue for People

「貧困といわれる状態にはグラデーションがあります。衣食住がままならないという状態だけではなく、経済的理由で学びたいことや将来の進路を諦めてしまっている子どもたちたちがいます。私たちが活動していると子どもたちが塾に通うことやスポーツ、文化活動など、様々な体験の機会を保障することが贅沢であるかのように言われることがあります。でも、子どもたち一人ひとりの多様な背景に応じた学びや体験の機会を保障し、子どもたちが自分の生き方を選択できるようにすることはすごく大事なことですよね。私は、社会が子どもに保障するベーシックなラインを上げるべきだと思うんです」(今井さん)

日本の中等教育までの就学率はほぼ100%。義務教育が浸透している日本ですが、一方で子どもたちの学びへの多様なニーズを受け止める役割を、放課後の学校外教育が担っている現状があります。今井さんは「放課後の格差が教育格差を生み出している」と言います。

「放課後は完全に私的な領域でした。国や自治体が取り組むのはまず学校で、後は各家庭に委ねられていたんです。でも結局、放課後の過ごし方で子どもたちに大きな差が生まれてしまっている。この格差に私たちはずっと取り組んできました。ようやく自治体の制度になったりと少しずつですが広まってきているように感じます」(今井さん)

CFCの事務所でインタビューに応じてくれた代表の今井悠介さん

2022年もハミングバード プログラムがはじまります

2011年の東日本大震災をきっかけにはじまったスターバックスの寄付プログラム「ハミングバード プログラム」。震災遺児の支援という役割を経て、2020年より寄付先にCFCが加わり、広く経済的な困難を抱える若者たちの支援ができるようになりました。

これまでにのべ78万人のお客様に賛同いただき、累計金額1億7千万円を寄付しています。CFCの今井さんからも嬉しいお言葉をいただきました。

「通常、私たちに寄付をいただくのは、そもそも寄付への関心が高い人たちなんです。でもハミングバード プログラムはスターバックスでコーヒーを頼むことが寄付につながる。寄付のハードルを下げていただいていると感じます。また、全国の店舗でパートナー(従業員)の皆さんが私たちの取り組みを知っていただく機会を作ってくださっています。CFCにとってはエヴァンジェリストのような存在ですよね」(今井さん)

※エヴァンジェリスト…語源はキリスト教の「伝道者」で、複雑なことをわかりやすく伝えていく人の意。

「最初はもぐれもできなかったプールがおよげるようになりました。(中略)将来の夢はダンサーになることです。」

「(中学3年になり)CFCからの支援を受けれると知った時、これで塾に使える!少しでもお母さんの負担を減らせる!とすごく嬉しかったのを今でも覚えています。」

そんな若者たち・子どもたちからの声が全国からたくさん届いています。たった一杯のコーヒーとCFCの活動がつながることで、若者たちの人生を芽吹かせ、夢や新たな選択肢を抱いてもらえるよう、今年も3月7日より全国のスターバックス店舗でハミングバード プログラムがはじまります。