スターバックス全国6万人のバリスタが競う「コーヒー アンバサダー カップ2023」栄冠は誰に?


コーヒーの知識や情熱を競う、スターバックス コーヒー ジャパンの社内競技会「コーヒー アンバサダー カップ2023」で、北海道札幌市内の店舗で働く下出さんが、第18代コーヒー アンバサダーに決まりました。バリスタとして店舗に立ちながら、任期の2年間では、社内外へのコーヒーの啓発活動に加えて、スターバックスのアジア大会への参加や生産地訪問などを予定しています。「大変さよりも、ワクワクが大きい。コーヒーの魅力を伝えるため、仲間を増やすためにできることは全てやりたい」といきいきと語る下出さん。全国約6万人のバリスタと技術を高め合い、各地の予選を勝ち抜いた4人のファイナリストが競った1日を振り返ります。


今回の競技会は、「Let’s Enjoy “Connection over Coffee” ~一歩ふみだそう!」をテーマに、全国3リージョン(地域)から、東日本は下出さん、中日本は西井さん、西日本は大貝さん、そして、スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京(ロースタリー 東京)から、菅原さんが出場。コーヒーを通じていかにつながりをつくることができるかを見るために以下の競技を実施しました。構成は、接客スキル(実店舗を想定したコーヒーの提案)を披露する1st ステージと、ビバレッジの創作性や完成度(ストーリーを込めた創作ビバレッジや2種のラテアートを作成)を15分間のプレゼンテーションで見極める2ndステージです。

場の雰囲気を作り、お客様を歓迎するテイスティングや思いを注ぐラテアート、自身の価値観や決意を詰め込んだ創作ビバレッジを披露した15分間の2ndステージ。それぞれ、どんな“コーヒージャーニー”を紡いだのでしょうか。


品質を追い求め、見つけた、おいしいコーヒーの要素。
思いやり込めた「一杯」

下出さんがコーヒーを好きになるきっかけになったというラテアートからスタート。チューリップのアートに込めたのは、コーヒーが生産地からお客様への一杯のカップとして届けられるまで、全てはひとつにつながっているという思い。続くテイスティングでは、審査員に対して、2度、同じコーヒーを提供していきます。1度の提供だった3人に対し、下出さんは2巡目を、最高の笑顔で、「ナッツを思わせる風味をお楽しみください」「疲れていませんか?ゆっくりした気持ちで飲んでください」と、コーヒーの話を添えて、相手を気遣い、やわらかく自然体でテイスティング。会場をあたたかな空気で包み込み、こうすることで、一杯のカップがよりおいしく感じられることを表現していました。

スターバックスに入社した当初は、誰よりもおいしいコーヒーをお客様に、とストイックに品質を追い求めてきました。が、自信をもって提供したつもりの一杯のコーヒーをお客様が半分残して帰ってしまわれたり、先輩パートナーがいれたコーヒーを受け取ったお客様は笑顔で店内を過ごされたり、自分と先輩との間にある“足りないもの”に気づいていきます。それは、「愛情」と「つながり」でした。そこでよみがえったのは、学生時代、徹夜明けの試験の日の朝に、「ここまでよく頑張ったね」と母がいれてくれた、思いやりの込もった一杯のコーヒー。そのコーヒーの味わいは格別で、何よりもおいしく感じたと言います。そして、創作ビバレッジでは、東京から出て北の大地で過ごす中で気づいたコーヒーのあたたかみをラムレーズンのムースやジャムを使って風味に込め、一番深煎りのフレンチ ローストを使用することで奥深さを表現し、心あたたまる一杯を提供しました。

最後に、この一杯を通じて、コーヒーは品質が高いだけでは完成しないこと、そこに、愛情やつながりが加わることで、よりおいしくなることを伝えました。「スターバックスは日本中に本当においしいコーヒーを届けられるコーヒーカンパニーで、それは私たちにバリスタの心がけで日々実践できること」と全国のバリスタを鼓舞し、一緒に一歩踏み出すことを呼び掛けました。


「つながりと勇気を軸に楽しむコーヒータイム」
中日本リージョナル コーヒー アンバサダー西井さん

埼玉県三郷市内で働く西井さんは、「コモド ドラゴン ブレンド®」のテイスティングでスタート。刷新されたパッケージのデザインに触れながら伝えたのは、コーヒーの持つ可能性です。「つながり」と「勇気」を軸に、コーヒータイムを演出。コーヒーは自然と人をつなぎ、また、人と人をつないでくれます。コーヒーを育む自然、環境への敬意を込めて、マグカップにリーフの模様を描きました。

また、コーヒーから勇気をもらったのは、スターバックスのファンだった父の存在。朝の食卓は昔からコーヒーの香りに包まれていました。父のおかげで、コーヒーを身近に感じ、スターバックスで働こうと勇気を持てなかったそんな時、父がスターバックスで働くことに、背中を押してくれたエピソードを語りました。コーヒーはいつもそばにあり、人生の中で直接的でなくても、勇気を与えてくれた存在になっていきました。これまでの体験をもとにして、「つながり」と「勇気」を込めた創作ビバレッジを仕上げ、「新しいことにチャレンジして、一歩を踏み出して」とはつらつとした表情で、15分間を終えました。


「多様性あふれる、みんなの居場所を未来に」
西日本リージョナル コーヒー アンバサダー大貝さん

熊本市内で働く大貝さん。「つながりの瞬間」「絆を深める冒険」「未来」の3部で構成し、テイスティング、ラテアート、そして、創作ビバレッジと移っていきます。「1冊の物語を読むように」。審査員と会場を自身のストーリーに引き込みます。歓迎の一杯は、ケニアのコーヒーで。2016年、アルバイト入社時に初めて先輩がいれてくれたケニアがジャーニーの原点であり、そこでつながりの瞬間を感じ、コーヒーを中心に仲間が増えていった実感があったからです。その後、正社員として働き始め、お客様と深めていった絆をチューリップのラテアートで表現。バリスタ同士で衝突した経験から、相手を大切に思う気持ち、違いを認めるとき、そばにコーヒーが必要だと実感したと言います。多様さを受け入れ、互いを認める気持ちは増していき、創作ビバレッジに未来を見据え、多様性あるれる居場所を作るという思いを込めました。混ざり合う素材を調和する人々に見立て、生産者、お客様、バリスタが乗り込むボートをイメージしたオレンジを乗せ、完成させました。


「仲間を作り、変化をもたらし、誰かの1日に幸せを」
ロースタリー 東京 コーヒー アンバサダー 菅原さん

現在、生産地から届く生豆をロースタリー 東京(中目黒)で扱う菅原さんは、これまで北海道のスターバックスの店舗で長く勤務していました。「仲間を作り、変化をもたらし、誰かの1日に幸せをもたす」という思いを、15分間で表現していきます。コーヒージャーニーのスタートは大学2年、記憶に残るフードペアリングからでした。そこで、コーヒーの奥深さに魅了され、ブラックエプロンを目指すきっかけにもなりました。これまで、何をやっても長続きしない性格で、自己肯定感も低かったという菅原さんですが、コーヒーを通じて、称賛され、成長を支えられ、仲間が増えたことで、スターバックスで居場所を見つけていきます。そして、自分が感じたポジティブな気持ちや居場所を作っていきたいという思いを強めます。そして、コーヒーを通じてつながりを届ける立場から、全国の店舗にコーヒーを届ける立場へと活躍の場所を移します。働くロースタリー 東京のキャスクをイメージして仕上げた創作ビバレッジは、4層からなるフロアで働く仲間たちが奏でるハーモニーを表現しました。


この数年間、コロナ禍による行動制限から、スターバックスの店舗では、コーヒーテイスティングやコーヒーセミナーを実施できていませんでしたが、今、お客様とのつながりの場はどんどん増えてきています。4人のアンバサダーがそれぞれの立場で、想いや体験をもとにストーリーを語りましたが、どんなに時代が変化しても、コーヒーの持つ力、可能性は無限であることを伝えてくれました。一人ひとりの個性が輝く方法で、コーヒーを通して未来への一歩を踏み出す熱い想いを伝え、そうした4人の情熱は、全国へと広がっていきます。

「Let’s Enjoy “Connection over Coffee” ~一歩ふみだそう!」。今日も全国の店舗では、バリスタが、コーヒーを手に一歩を踏み出し、お客様とつながっています。

4人の競技が終わり、アンバサダー発表の瞬間は、両手をぐっと握り、小さく喜びを表現した下出さんは、コーヒー染めの茶色をエプロンに首を通し、「母に、日本一のコーヒーをいれてあげたいです」とはにかんで見せました。おいしいコーヒーに一番大切なことを気づかせてくれた母への感謝で、締めくくりました。

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「借りるカップ」どう広げる?店長が考えるリユースの未来