さらに豊かなコーヒー体験を。ストーリーを吹き込むアートワーク


<こちらの文書は、2022年8月29日に米国スターバックスより発信された英語の原文より翻訳し、編集しました。>

スターバックスの1号店が開店した1971年当時、焙煎したてのコーヒー豆や茶葉はスクープですくって、ろうでコーティングされた袋に入れて販売していました。袋にはスマトラやハウス ブレンド、イタリアン ローストなど名称が黒のゴム印で押されていました。

Bag of Starbucks Silver Tip Formosa Oolong from 1987

しかし、スターバックスがコーヒー豆販売専門店からイタリアンスタイルのコーヒーハウスに姿を変えた1987年ころには、コーヒーのパッケージはその個性的なストーリーを絵や言葉で語るためのツールへと進化しました。まず、小さなアート作品ともいえるような美しいイラストが描かれたステッカー、コーヒースタンプの誕生です。デザインはまるでコーヒーの風味のように、遊び心あふれたものから、ロマンティックなもの、大胆なものまでと様々です。

コア(定番)コーヒーのパッケージを新たにデザインすることはとてつもなく大変な作業です。スターバックス® クリスマスブレンドなどの季節限定のコーヒーとは異なり、コアコーヒーのパッケージは毎年変わるわけではありません。実際、今回のパッケージリニューアルも日本では9年ぶりのリニューアルとなります。では、パッケージは中に入っているコーヒー豆のストーリーをどのように語りかけてくれるのでしょうか?

はじまりはいつもコーヒーから

スターバックスコーヒーチームのコーヒーとティーの開発をリードするセルジオ アルバレスさんは、コーヒー豆のストーリーを語るべくスターバックス クリエイティブ スタジオと協業しながらこのパッケージ制作が始まりました。まずは、個性的なブレンド一つ一つの風味をハイライトするために、テイスティングのヒントや味わいのキーワードを紐解くところからスタートしています。

「スターバックスでは独自の方法で、心を込めてコーヒーのブレンドを開発しています。そしてわたしたちがストーリーを語るその語り口からそれが伝わるようにしたいと考えました。ブレンドや焙煎、生産地によって、これらの特別な一つひとつのコーヒーから連想される風味は異なります。」と、セルジオさんは言います。

風味の特徴はこれまでと変わらず、お客様にとってなじみ深く愛されるコーヒーに変わりありませんが、新しいパッケージは、例えばスターバックス ライトノート ブレンド®であれば「MELLOW(やわらかな)&SOFT(穏やかな)」から「軽めのコクとミルクチョコレートのような風味」へ、ハウスブレンドであれば「RICH(豊かな)&LIVELY(いきいきとした)」から「ナッツやココアを思わせるバランスのとれた味わい」へというように、よりわかりやすくイメージしやすい言葉で表現します。

ートを通じてストーリーを語る

「わたしたちのコーヒーは人や様々な瞬間、体験を思い起こさせてくれます。コーヒーパッケージの制作を通じてそれをさらに深めることができました。」と、セルジオさんは言います。

コーヒー豆のストーリーをアートで表現することは、過去と現在、未来を紡ぐという、クリエイティブスタジオのデザイナーやイラストレーターにとって楽しい挑戦となりました。

「手描きのイラストで温かみとブランドとのつながりを表現するのが、私たちの伝統です。新しいパッケージにもこれをつなげていきたいと考えました。また、ブランドの未来に思いをはせながらも、現代に合った雰囲気をしっかりと出せるようにしました。」と、クリエイティブスタジオのアソシエイト クリエイティブディレクターのデレク シミズさんは言います。

戦略的に色を選択することは、デザインで最も大切な要素の一つです。2013年(日本では2014年)のパッケージの刷新以来、ブランドのクリエイティブ表現の一つ一つにおいて、デザイナーはゴールドやカッパー(銅)、紫のパレットを用いて焙煎の度合いを表現してきました。新しいデザインでも視覚的にわかりやすいこの色づかいでブロンド(ゴールド)、ミディアム(カッパー)およびダーク(紫)ローストを表現しています。

さて、何を描くか?イラストレーターは過去のデザインを思い起こさせるようなアイコンやモチーフからデザインを始めることが多いようです。イタリアン ローストはイタリアのスクーターが、そしてカフェ べロナ®はバラの花がそれぞれ再びパッケージを飾りました。コーヒーの生産地をハイライトするために、コーヒーチェリーやコーヒーの木や葉もデザインに取り入れました。

機能美にもこだわるデザイン

デザイナーはまた、スターバックスの店舗やスーパーの棚でコーヒーが選択しやすくなるよう、いわゆる「コーヒーに関する情報」も考えてデザインしています。ブロンド、ミディアム、ダークといったローストカテゴリーを色で表現し、さらに細かいスペクトラムを追記することで焙煎と味わいをすぐに識別できるようになりました。また、エシカルソーシングスタンプを前面に出すことによって、責任をもってコーヒーを栽培し、コーヒー生産者とそのコミュニティの生活と暮らしに前向きな影響を与えるというスターバックスのコミットメントを示しています。スターバックスの店舗で販売されるパッケージの裏面にはこのStarbucks Stories Japanの「Ethical Sourcing」へリンクするQRコード表示がされており、お客様はスターバックスのエシカルな調達やコーヒーについてより深い情報を知ることができます(日本国内のみ)。

「これまでのパッケージも芸術的で表現力にあふれていますが、それぞれに用いられているタイポグラフィー、アイコンの配置は異なっていますので焙煎の度合いなどがややわかりにくくなっていました。今回、このような要素をお客様にとってよりわかりやすく、選びやすくしました。」と、シミズさんは言います。

5種類の新しいコーヒーパッケージのデザインはこちら。うち3つについては下記へ読み進めてください。

スターバックスライトノートブレンド®

左から2011年(北米発売のもの)、2014年、新しいパッケージ

スターバックス ライトノート ブレンド®は、なめらかでまろやかなスターバックスブロンド ロースト®で焙煎されたラテンアメリカ産コーヒーで、青々と緑が茂る庭でコーヒーを飲んでいるような気持にさせてくれるパッケージです。ゴールドの色合いをベースとしたパッケージに描かれた、美しいハチドリが前へ後へと羽ばたく様子はこの軽めにローストされたコーヒーへの歓迎の気持ちを表現しています。濃い色合いのスターバックス「ハウスグリーン」と、コーヒーチェリーの紫がかった淡い青、そしてコーヒーの葉のアクセントでこのコーヒーのストーリーが際立ちます。「イラストを通じて、ラテンアメリカの明るいベランダで過ごしているような感覚をお客様に感じてほしいと思いました。そこで生産者が栽培したすばらしいコーヒーを飲んでいるような、このすばらしいコーヒーの生産地であるラテンアメリカにいるかのような感覚を味わってほしいと思います。」と、デザイナー兼イラストレーターのユミ リードさんは言います。

パイクプレイス®ロースト

パイクプレイス® ローストは、スターバックスの1号店があるシアトルのパイクプレイス マーケットにちなんで名づけられたコーヒーです。ラテンアメリカ産のコーヒー豆をブレンドした、なめらかでふくよかなミディアム ローストのこのコーヒーはココアやプラリネのほのかで豊かな風味が特徴で、ドリップ コーヒーに最適です。

パイクプレイス® ローストのイラストレーター兼デザイナーのブリジェット シリングさんは、夫がこのマーケットで数年働いていたことがあり、特別なつながりを感じているといいます。

「パイクプレイスの担当になったことは、私にとって特別な瞬間でした。パイクプレイスの店舗に行って、ブランドとしての私たちの歴史を祝福することができるなんて、魔法にでもかかったような気持でした。」と、シリングさんは言います。

贅沢な銅の背景に、昔ながらのラゲージステッカーをモチーフにしたデザインと、初期のブラウンのロゴ、コーヒースタンプ、そしてパイクプレイスの象徴でもあるパブリックマーケットセンターのサインを描いてこの店舗の伝統を表現しました。しかし彼女のお気に入りは、1986年からこのマーケットのマスコットである実物大の銅像、貯金箱の豚のレイチェルを称えたデザインです(スターバックス1号店では、コーヒー豆をあしらったレイチェルのレプリカが、店舗を見守るように入り口ドア上に置かれています。)。

スマトラ

スマトラ産のコーヒーは1971年からスターバックスのメニューに載っていますが、最初のコーヒースタンプを飾って以来、この島に住むスマトラトラはこのコーヒーのシンボルです。このコーヒーの力強い、フルボディの風味を伝えるために、デザイナー兼イラストレーターのアビー マッカーティンさんは濃い紫を使ってスマトラの深煎りの味わいを強調するとともに、緑と青のポップな色とフォイルでトラの縞模様と植物を描きました。

「ヤシの木やジャングルの風景に対するトラの大きさを調整することによって、見る人の興味を引くようにデザインしただけでなく、トラとヤシの葉の形状の共通点を意識して描きました。それらを重ねることによって遊び心と謎めいた雰囲気が出てきます。一見するとトラの縞模様がまず目につきますが、よく見るともっとたくさんの要素が見えてきます。」と、マッカーティンさんは言います。

コーヒーをまだ量り売りしていた30年前にバリスタとしてスターバックスに入社したレズリー ウォルフォードさんは、この新しくなったコーヒー豆のパッケージを誇りに思う、店頭に並ぶのが楽しみだと言います。

「みんながアイデアや表現、要素を持ち寄って、新たな形で私たちのコーヒーに命を吹き込みました。これは会社にいる人々や協調関係の進化そして会社の成長であり、また私たちのストーリーの伝え方、会社としてのあり方やスターバックスのこれからの姿につなげていくことです。」と、現在コーヒーチームでコーヒーとティーの開発をリードするウォルフォードさんは言います。

スターバックスの店舗で新しいパッケージを目にしたら、ぜひ手に取って眺めてみてください。新しいデザインのパッケージ、そしてその中に詰められた私たちのコーヒーで、みなさんを新しいコーヒーの旅へとお連れします。

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