店舗設計からサービスまで。居心地の良いお店を作るためにできること


「人々の心を豊かで活力あるものにするために― ひとりのお客さま、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」

スターバックスでは店舗設計においてもこのミッションを胸に、一つひとつの店舗でその地域に根差した店作りを行っています。

2023年8月9日に京都市内に誕生したドライブスルー付きの店舗・京都西大路店もそのひとつです。場所は京都・西大路五条の交差点から200m下がったところ。ここが出店地に選ばれたのには訳があります。

かつてこの近くに、京都リサーチパーク店という地元に愛されたドライブスルー付き店舗がありましたが、2019年に惜しまれながら閉店。市内の既存店は駅中心部の観光客が訪れるロケーションに多く、地元の方が集える店をつくることは、スターバックスとして念願でした。そこで店舗設計担当者とストアマネージャー(店長)に、そのストーリーを伺いました。

お客様にどのように過ごしてほしいか、丁寧に向き合う

スターバックスの店舗設計で大切にしているのは、「パーソナライゼーション」という考え方です。それは、お客様にどのように過ごしてほしいのかを丁寧に向き合うこと。そこに訪れる人や過ごし方を想定し、パーソナライズして設計に落とし込みます。

事前に現地を訪れ、どのような地域か、どのような人が訪れるか、どんな景色が見えるかなどを観察して、地元の人たちのニーズをイメージし、社内会議。京都西大路店では、①クイックな利用②店内でゆっくり利用という2つのニーズが導かれました。

地域の方々にとって居心地の良い場所に

今回、設計を担当したのは、設計部の齋藤さん。店舗は、京都の町屋にインスピレーションを得て、1階は通り庭、2階は奥の間をイメージした空間構成になっています。

1階はバーを囲むように席を配し、クイック利用のために立ち上がりやすさを考慮したイスやテーブルを設置。ハンドオフ(ドリンクの受け取りカウンター)には「パートナー(従業員)とお客様がつながる大切な場所だから」(齋藤さん)と、大きなペンダント照明を吊るしました。

2階は、ゆっくり過ごす場所として居心地の良い空間を目指し、特に太陽の動きを意識しています。

「夏は日を遮り冬は日が入るよう、東西を壁にして南側の屋根の庇の長さを計算しました。こうすることでお客様が過ごしやすくなります。また、北側には広い窓を設け、景色が楽しめるようにしました」(齋藤さん)

部屋の中央から大きな窓へ向かってイスやテーブルの高さを低くし、どの席からも景色を望むよう配慮。時間や季節の移ろいを感じられるようになっています。


そしてアートワークにもメッセージが。「地元の方に、私たちがしていることを伝えさせていただけたら」(齋藤さん)と、コスタリカにある自社農園「ハシエンダ アルサシア」の写真や動植物の絵画を掲げています。

ちなみに2階フロアへは、エレベーターも設置しているため、お子さま連れの方やご年配のお客様など皆さまに安心してご利用いただけるように工夫しました。

屋根や窓の配置からテーブルやイスの高さ…すべてに「地域の人にとって居心地の良い場所にしたい」という想いが詰まっています。

空間やコーヒーを通して日常に、upliftな瞬間を

京都西大路店の開店直前、斎藤さんとストアマネージャー(店長)の松村さんが初めて顔を合わせました。完成したお店を見て喜びに満ちあふれたふたりに、設計に込めた想いやお店のこれからについて語ってもらいました。

「完成したお店を見て、どのように感じましたか?

松村さん: 太陽の動きや緑をありのまま生かす設計になっているところが、すごくいいですね。四季を感じながらコーヒーを楽しめる。自分たちの暮らす場所がすばらしいところなのだと、あらためてお客様に感じてもらえるのではと思います。

齋藤さん: 太陽の動きはすごく意識したので、そこがヒットしたならすごくうれしいです。いかに自然を生かし、光を制御しつつうまく取り込むか、内部の居心地を上げるために建築で出来ることをやりました。西に窓を作ると夏は暑くて空調も大変。最初にそこをちゃんと考えておくと省エネにもなるし、なにより居心地が良いですよね。

松村さん: ハシエンダ アルサシアのアートもそうですよね。掛け軸になっていて、外して付け替えられる。廃棄を減らすことにつながるので、サステナブルな考え方がスターバックスらしいです。

「お店の中で特に印象に残っているところは? 」

松村さん: 1階のドライブスルーレーンがガラス張りになっていますね。お客様にアイコンタクトをしながら待っていただくことができますし、私たちも気持ちを込めてコーヒーを作ることができると思いました。

齋藤さん: まさに、そうなんです。パートナーさんが作っている様子が見えると、お客様に少しでも安心してお待ちいただけるのではと思ってガラス張りにしています。ガラス張り、ちょっと暑いかもしれないけど(笑)。

松村さん: いえいえ。朝、とても清々しいですよ!

「お客様にはどのように過ごしてもらいたいですか?

齋藤さん: クイックの時、ゆったりしたい時、お客様のその日の気分に合わせて、気軽に日常使いしていただけるといいなと思います。

松村さん: 一日のなかで、日々の中で、光の差し方や緑や花の変化など、自然の移ろいを感じていただきたいと思っています。京都西大路店のストアビジョンは「uplift the everyday」。少し胸が高まる体験を一日一日積み重ねて、この店ができてよかったなと思っていただけるように、地元のお客様の日常にしっかり関心を持ち、知り、どう寄り添えるのか。パートナーひとり一人が出来ることを考えてオーナーシップをもって行動できるようにしていきたいです。

齋藤さん: ここでは、コーヒーセミナーもされるんですよね? 「京都で深くコーヒーの事を知りたければこの店に」という店にしていきたいと聞き、壁面の写真はそのままコーヒーセミナーに使っていくこともイメージしています。しっかりしたコーヒーの知識を持っている人がストアマネージャーとしてアサインされるよと聞いていました。それが、ブラックエプロンの試験に12回も合格している松村さん!

松村さん: 任せてください!(笑) 実は自分が最初に働いたお店が、京都リサーチパーク店でした。地元のお客様がたくさんいらしてくださるお店だったので、この地域には愛着があります。だからこの店ができることを知って、当時の記憶、パートナーやお客様の顔が浮かんできて、「ストアマネージャーやりたいです!」ってすごくアピールしました(笑)。そこから自分が始まっているからこそ、ここ京都西大路店でそのご縁に恩返しがしたいと思っています。

全国に約1800の店舗があり、1800通りの想いで作られサービスを届けています。あなたの近くにあるスターバックスも、そのひとつです。


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現代アートに出合う“共同アトリエ” のような京都BAL店