スターバックスとPORTER。2つの情熱が生んだ、あたらしいカタチ。


2023年6月21日(水)、スターバックスとPORTERがコラボレーションした、初めてのバッグが発売されます。Made in Japanでカバンをつくり続けるPORTERと、アメリカ生まれのスターバックス。2つの情熱はなぜ出会い、なぜこのカタチにたどり着いたのか。スターバックスとPORTER、それぞれの立役者の2人に、舞台裏を聞きました。

「持ち運ばれない」を解決したい

スターバックスの柿本 篤史さんは、お店やオンラインストアで販売するタンブラーやボトルの開発担当者。使い捨てカップのごみを減らす活動の一環として、スターバックスでは長年、マイタンブラーの利用をおすすめしてきましたが、ある課題に直面していました。

スターバックス コーヒー ジャパン 柿本 篤史さん

「環境のことを意識する人は増えていますが、マイタンブラーやマイボトルを使う方は、まだ多数派とはいえません。理由を調べてみると、『どのように持ち運んでいいかわからない』『カバンの中でボトルが倒れてこぼれないか心配』という声が多く寄せられていたんです。ならば、マイボトルそのものを改良するのではなく、もっと自然に、安心してマイボトルを持ち運べる方法からつくれないか?という発想から、今回のプロジェクトが始まりました。 マイボトルを入れやすいバッグをつくる、と決まったまではよかった。でも一体どんなカタチがいいのか、とても悩みました。自分たちだけでアイデアを出すよりも、カバンのプロフェッショナルに相談できないかと思ったのです。」(柿本さん)

その連絡を受けたのが、吉田カバンで開発を担当する遠藤 亮さんでした。

株式会社吉田 遠藤 亮さん

「お声がけをいただいた時は嬉しかったです。PORTERでは “ものを大切にし、長く使う”という考えをあたりまえのこととしてとらえ、お客様のバッグのお直しなどを行なっています。スターバックスさんの『サステナビリティのためにマイボトルを推進する』という考えには大変共感しました。何より、おしゃれなイメージの強いスターバックスさんと組めるということで、張り切りましたね」(遠藤さん)

想像を超えた、2つの提案

打ち合わせの日、PORTERの提案に柿本さんは驚きました。
「私たちは当初、ボトル一本を運ぶためだけの用途に使う、いわゆる『ボトルバッグ』を思い描いていました。でも、PORTERさんはさらに2つ、全く異なるアイデアを持ってきたのです。しかもなんと、すでにサンプルもつくってきていました」(柿本さん)

「スターバックスさんの期待を、いい意味で裏切りたかったんです。普通は、ある程度決まるまで企画書の上だけで進めるのかもしれませんが、うちはプロとして、カタチにしたうえで提案する。カバンはひとつにいろいろな素材を使っていることもあり、触ってわかっていただくのが一番の近道なんです」(遠藤さん)

コラボレーションだからこそ生み出せる価値

遠藤さんたちが提案したのは、ボトルも持ち運べて普段使いもできる、大きさの違う2つのバッグでした。
「やっぱり自分たちはカバン屋なので、毎日使えるものにしたい。ボトルだけを持ち運ぶカタチも考えましたが、もっといろいろなシチュエーションで使える方がいいと思った。それで、ボトル以外の小物も持ち運べる収納性の高いデザイン、そして当初の想定にはなかった大きめのバッグもご提案したのです」(遠藤さん)

「それを聞いて、私たちもハッとしました。いくらカッコいいものをつくっても、実際に毎日使っていただけなければ、このプロジェクトは成功とはいえない。そこで企画を見直し、お客様が使いたいシーンに合わせて選べるよう、ご提案いただいた2種類のサイズをつくることに決めたんです。思いがけない方向に企画が進んでいくのもコラボレーションならではですね。 」(柿本さん)

ファッションの前に、道具である

それからデザインを進める中で、遠藤さんたちが一番悩んだのは、どうボトルを入れるかだったといいます。
「内側のデザインに圧倒的に時間をかけましたね。ボトルを入れる時、ポケットの口もとのわずかな引っかかりがどうしても気になり、一度は決まったデザインをひっくり返したこともありました。倒れにくいカタチにするために何度もつくり直し、たどり着いたのが今のデザインです」(遠藤さん)

「私たちの根本にあるのは、“道具をつくっている”という考え方。見かけがいくらよくても、機能しないものは決してつくらない。カバンはファッションアイテムでもあるけれど、その前に使いやすい道具であるべきなんです。

でも一方で、使う人にとことん楽しんでいただける遊び心も大事にしています。今回はスターバックスということで、バッグの底面の形状はコーヒー豆をイメージしたんです」(遠藤さん)

「このカタチ、面白いですよね。でもこれも、ただのデザインで終わっていない。この底面の中央のテープは内部のつくりそのものを示していて、バッグの中は仕切りでスペースが2分割されているんです。ちゃんと、機能とつながっているんですよね」(柿本さん)

さらに、今回はスターバックス リザーブ®︎ ロースタリー 東京 モデルの特別なデザインも登場します。

「カタチは同じですが、ロースタリー 東京ならではのカラーや素材を使用した特別なモデル。スターバックス コーヒー ジャパンが、ロースタリー 東京と共同でコラボレーションアイテムを出すのは、実は初の試みなんです。いつもはそれぞれの世界観に基づいてアイテムを展開しているのですが、今回はスターバックス全体として非常に重要なメッセージなので、一緒にやるべきだと考えました」(柿本さん

つくりたいのは、日常のひとコマ

今回のコラボレーションを振り返って、2人はこう語ります。

「スターバックスは、地球により多くを還元するリソースポジティブカンパニーを目指しています。ただ、大切なのはメッセージだけではなく、どうしたら実際に機能するかを考え抜くこと。使いやすさへの努力を惜しまない遠藤さんたちの姿勢を見て、そう胸に刻みました。
手に取るだけでなく、皆さんの日常のひとコマになって、初めて世界を変えられる。そのためにできることを続けていきたいと思っています」(柿本さん)

「弊社には、『一針入魂』という言葉があります。長く大事に使えるような高品質のものをつくるために、ひと針ひと針に魂をこめる。ひとつひとつ手縫いでバッグをつくっていた創業者から受け継ぐ、大切な教えです。
今回、そんな想いをスターバックスさんと共有してものづくりができたことで、私たちのインスピーションもより一層ふくらみました。実はまだまだたくさん、一緒につくりたいものが生まれてしまって…柿本さん、今度またお見せしに行きたいんですが(笑)」(遠藤さん)

「それはもう、ぜひ!いつでもお待ちしています(笑)」(柿本さん)

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思い出に残る1杯を。Group eGiftに込められたスターバックスの願いとは