コスタリカのスターバックス自社農園「ハシエンダ アルサシア」10年のあゆみ
スターバックスは2013年、コスタリカに自社農園「ハシエンダ アルサシア」を購入。生産者の持続的なコーヒー栽培の支援、より強い高品質な品種やハイブリッド種の開発、そして、世界中の生産者にオープンソースとして情報を提供すること、をミッションに10年間歩んできました。
10年の歴史の中で、2014年に始まったオリジンエクスペリエンスは、この農園を舞台に、コーヒーの"最初の10フィート"に触れることができるプログラムです。2022年、日本から4人のバリスタが訪問し、コーヒーをお客さまに届ける"最後の10フィート"を担う立場として未来につながる現場を見学してきました。
コーヒーへの愛を感じ、バリスタの原点を思い出したエクスペリエンス。4人のアンバサダーが感じ取った現地の空気や生産者の思い、そして、斉藤さん、緒方さんの視点で語ったストーリーを下記で紹介しています。
<以下の文書は、英語の原文より翻訳しました。>
10年のインパクト
コスタリカにあるハシエンダ アルサシアは、ポアス火山のふもとの240ヘクタールの畑で80万本以上のコーヒーの木が栽培されているスターバックスにとって初めてで唯一の自社農園です。2013年にスターバックスが購入したこの農園は現在、スターバックス・コスタリカ・ファーマーサポートセンター(2004年からこれまでに開設された世界中に10あるファーマーサポートセンターの1つ)とスターバックス・グローバル研究開発チームの本部となっています。
農園の目標は、気候変動や農家の高齢化、コーヒーのさび病など世界中のコーヒー生産者のコミュニティに影響を与えているたくさんの課題の解決の手助けをすることです。そのために、病気や気候変動に強いコーヒーの品種の開発や、他のファーマーサポートセンターにも共有できるような最も効果的な栽培法のシミュレーションや開発、生産したコーヒーの味や品質を評価する方法に関する生産者の理解を促進する、そしてコーヒーの専門家やスターバックスのパートナー(従業員)の集いの場所となる、などの取り組みを行っています。
ここには、従来のコーヒーの加工法よりも使用する水やエネルギーが少なくて済む最新の加工設備や農園の作業員向けの宿泊施設があり、併設されるビジターセンターではこれまで10万人を超える人々がツアーに参加しました。1,700人以上のパートナーがスターバックス・オリジンエクスペリエンスでこの農園に訪れ、コーヒーの原点でコーヒーのストーリーに浸りました。世界中の28万人以上の生産者が、ハシエンダアルサシアで蓄積された情報を活用し、サステナビリティや倫理的調達に関するトレーニングを受けました。
ハシエンダ アルサシアの旅
2023年
スターバックスは、ハシエンダ アルサシアに、スターバックスのパートナー、生産者、学生、研究者や業界のリーダーらが、世界で最も解決の難しい社会・環境問題に対する持続可能で革新的な解決法を研究したり、応用したりするのに役立つ、実践的かつバーチャルな学習の機会を提供する、持続可能性の学習とイノベーションのためのラボを開設する計画を発表しました。
2023年
スターバックスは、2004年に運用を開始したコーヒー業界初の倫理的調達基準の一つであるC.A.F.E. (Coffee and Farmer Equity) プラクティスに参加するコスタリカの生産者に対し、ハシエンダアルサシアで開発された気候変動と病気に強い品種の苗木を200万本無償で提供しました。スターバックスのコーヒーの98%以上が第三者監査機関よりC.A.F.E.プラクティスの認証を受けています。スターバックスはこれまで、コロンビアやエルサルバドル、グアテマラ、メキシコの生産者に9,000万本の苗木を寄付してきました。
2022年
ハシエンダ アルサシアはオープンソースなアグロノミーの取り組みを通じ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、インドネシア、メキシコ、パナマ、ペルー、ルワンダ、タンザニアの生産者に対して1,000キロ以上のコーヒーの種を無償で提供しています。2016年に始まったこのプログラムによって、生産者はスターバックスとの取引の有無を問わず、必要に応じてリクエストすればコーヒーの種がもらえるようになりました。
2022年
スターバックスの持続可能な未来に対するコミットメントの一環として、ハシエンダ アルサシアに電気自動車用の充電ステーションが設置されました。
2021年
スターバックスはハシエンダ アルサシア・バーチャルツアーを開始しました。これまでに30万人以上が参加し、より多くのパートナーや学生、来訪者に農園の研究の成果や経験を共有することができました。
2018年
ハシエンダ アルサシア・ビジターセンターが一般公開されました。これまでおよそ10万人が対面のツアーに参加しました。
2016年
ウェットミルの改良が完了しました。ハシエンダ アルサシアに設置された新しい施設や機器、研究により、従来のコーヒーの加工法よりも水の使用量を80%、電力の使用量を50%少なくすることができる可能性が開けました。
2016年
スターバックスの研究開発部門ディレクターのカルロス・マリオ・ロドリゲスさんは、雑誌Fast Companyの「ビジネス界で最もクリエイティブな人」の一人に選ばれました。ロドリゲスさんはこれまで600を超えるコーヒーの品種やハイブリッド種を含むスターバックスのコアのコーヒーライナップの生産・収穫を支えてきました。ロドリゲスさんのチームは、味わいと高い生産性、病気や気候変動への耐性などの条件の組み合わせが最も良い品種を常に探求しています。
2015 年
スターバックスは、コーヒーのサプライヤー、生産者、世界中のファーマーサポートセンターのパートナーを集めた初のグローバルアグロノミーサミットを主催し、新しい品種の研究や、土壌分析、害虫・病気のコントロール、機器の革新などについて議論しました。
2014年
スターバックスは、コーヒーの原点でパートナーがそのストーリーを感じることを目的としたハシエンダ アルサシア・オリジンエクスペリエンスを始めました。2023年の800人を含め、1,700人以上のパートナーがコスタリカの産地を訪れました。さらに1,600人以上のパートナーが、ルワンダやインドネシアの同様のオリジンプログラムに参加しました。
2013年
スターバックスは、コスタリカの首都サン・ホセから1時間足らずのところにあるポアス火山の斜面に広がる、コーヒーと装飾用のシダを栽培していたハシエンダ アルサシア農園を購入しました。ハシエンダ アルサシアのミッションは、生産者がより多くのコーヒーをより持続的に栽培ができるよう支援し、より強く高品質な品種やハイブリッド種を開発し、世界中の生産者に無償で情報を提供することです。
コーヒーを支える人たち
イヴァン・アルピッツァーさん
ハシエンダ アルサシアで多くのトレーニングを受講したコーヒー生産者
「ハシエンダ アルサシアに出会ってから、私の知識の量、理解度は大きく向上しました。」
サラ・ボガンテスさん
スターバックスのアグロノミスト
「私は4代目のコーヒー農家ですから、コーヒーは私の血です。生産者とのつながりはもちろん、同時に新しいツールや品種、新たなソリューションを通じてつながりをつくることも大好きです。」
ビクトル・トレホスさん
ハシエンダアルサシア、ゼネラルマネージャー
「ハシエンダ アルサシアにはとてもユニークなコーヒーの木の区画があります。未来をどのように変えることができるかを示すために、2018年にここにハイブリッド種を植えました。私たちが「パラダイス」と呼ぶこの区画のコーヒーの木々の枝にはコスタリカの農園の平均の5倍以上のものコーヒーチェリーがぎっしりと実っています。ここのコーヒーチェリーはコーヒーというよりもトウモロコシのようです。私たちは集めた情報を生産者に無償で提供しています。」
カルロス・マリオ・ロドリゲスさん
スターバックス、グローバル研究開発ディレクター
「一人の生産者と付き合いをはじめて、彼らの暮らしがどんどん良くなり、収入源としてコーヒーを安定して栽培できるようになっていく姿を見るときほどうれしいときはありません。最高ですね。それが私たちの原動力です。」
ベジャ・ラデスマさん
オリジンエクスペリエンス2023参加
テキサス州サンアントニオの店舗パートナー
「コーヒー農園でのコーヒーチェリー摘みを体験して、いかに大変な仕事かが分かりました。バスケットの4分の1のところまで摘むのでさえ長い時間がかかるのです。つらい仕事でしたし、外はとても暑かったです。とても骨の折れる仕事です。私たちが作る1杯に使われる1ショットのコーヒーの裏にこんなにたくさんの努力があることに気づきました。」