スターバックスのコーヒーかすがつなぐ、高校生、農家さんと育てる野菜がつくる地域の未来


「おっきいのとれた!」「どうやって食べようかな」―。6月初旬の神奈川県・藤沢市の畑に、楽しそうに野菜を収穫する声が響きます。そこには、スターバックスのパートナー(従業員)や高校生、農家さんたちの姿が。4月に種や苗を植え、立派に育ったダイコンや大小交じり合ったジャガイモを次々と収穫していきます。この畑の土には、近隣のスターバックスの店舗から出たコーヒー抽出後の豆かすをリサイクルした、たい肥が含まれています。豆かすの活用は、店舗から出る廃棄物を削減し、コーヒーを育む地球に対してできる環境負荷低減につながるアクションの一つです。豆かすの資源循環をきっかけに、世代や立場を超えて、10年、20年先の地域のこれからを考えるポジティブな輪が、どんどん広がっています。

高校生、農家さん、パートナーが交わる。地域のために、できること。

豆かすを活用した資源循環に関わるのは、藤沢市内のスターバックスの店舗を中心としたパートナー、慶應義塾湘南藤沢高等部 環境プロジェクトの生徒(以下、慶応高環プロ)、地元の農家「やさいの秋葉」代表の秋葉豊さんです。環境問題をテーマに班に分かれて活動を展開する慶応高環プロと近隣店舗とで交流が始まったのは、2021年から。地域や地球環境に対して何ができるか、オンラインミーティングを重ね、スターバックスが2023年から推進している、タンブラーをもっと「楽しく」、「気軽に」ご利用いただくことを目指して、楽しみながらマイタンブラーを使う参加型プロジェクト「タンブラー部」の活動を、高校生の視点で「環プロ新聞」に取り上げて店内のお客様に向けて発信したり、生徒が考案したマイタンブラーワークショップを開催したり、店舗を軸にパートナーと生徒が一緒にリユースの促進をお客様に提案してきました。

さらに、地域の魅力を発信しながら、環境問題を考えるために、新たな活動として豆かすの活用にたどり着きました。そこで、出会ったのが、環境、食育、福祉、地域活性化など様々な分野の課題を仲間の生産者とともに農業の力で解決し、地域社会にとって欠かせない都市型農園を目指す取り組みを行ってきた秋葉さん。秋葉さんはこれまで、小学校への出張授業、新規就農者サポート、コンポストへの生ごみ受け入れなど幅広く活動を展開してきました。

重なり合う思い。仲間を増やし、心豊かな地域・社会を日本中に。

「つながりを通じて、多様性あふれる心豊かな地域・社会を日本中に創造する唯一無二のブランドとなる」。スターバックスが、目指す将来のビジョンです。「仲間がどんどん増えていって、ビジョンに近づいていると感じる」「農業に光を当て、地域の魅力を伝えたい」「豆かすを通じて、思いの輪が広がっている」と、参加したパートナーは、活動の意義を語ります。

コーヒー豆かすを定期的に受け取りに店舗を訪れる秋葉さんは、「資源の有効活用はもちろん、地域を創っていく若者とともに、農業を通じて食育、地域活性化につなげることが目的にある」と思いを口にします。慶応高環プロは、企業連携班や教育デザイン班、たべもの班など、さまざまな班があり、リーダーの秦さん(3年)を中心に、スターバックスとの連携を進めています。この活動を軸に、収穫した野菜の魅力を伝えるレシピを考案して地域に発信したり、出張授業を計画して食育を進めたりと各班が一体となって進めていて、「高校生という立場を超え、仲間、コミュニティという意識の高まりを感じる。日々、成長も実感できる」とやりがいを話します。

高校生から、スターバックスのパートナーに。立場が変わっても、地域社会に貢献。

収穫しながら高校生にやさしく声をかけるのは、大学1年の谷さん。つい1年前までは、慶応高環プロのリーダーだった谷さんは、この2月から神奈川県内のスターバックスでパートナーに。「環境に対して真摯に向き合うスターバックスの姿勢に共感して、アルバイトを始めました」。これまで環プロ新聞や作成したポスターを店舗に掲示してリユースをお客様に発信していた経験もあり、今はグリーンのエプロンを身に着け、マグカップや樹脂製グラスのリユース提案、またリッド(蓋)なしでの提供を積極的に進めるなど、スターバックスが目指す廃棄物削減に貢献しています。

「高校生のころ、コロナ禍でどうしてもオンラインでの打ち合わせが多かったのですが、こうして顔を向き合わせて活動できるのが嬉しい。立場は変わっても意義ある取り組みに関わり続けたい。今後は私が感じたように、スターバックスのブランド、環境への姿勢を示すロールモデルになっていきたいです」。


豆かすが育む地域とのつながり。店舗をハブに、未来をつくる仲間を増やす。

スターバックスは、店舗から出る廃棄物の多くを占めるコーヒー豆かすを活用する方法を模索し、リサイクル実施店舗は全国の約800店舗へ広がっています。たい肥化や飼料化し、フードやミルクとして店舗に循環する仕組み、また、店舗が入居する施設でのリサイクル、そして、今回のように店舗独自の取り組みと様々な方法を組み合わせて、2030年までに全店でのリサイクルを目指しています。つながりを通じて、多様性あふれる心豊かな地域社会を実現するため、地域コミュニティと一緒に、これからも未来をつくる仲間を増やしていきます。全国に広がる約1,900店舗をハブに。


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[What is…?] 日本のごみの現状と課題:ごみを考える、ということ。