一枚のカードから始まる大きな物語


寄付を通じて、経済的に困難な状況にある若者・子どもたちに学びの機会をつくる「ハミングバード プログラム」。スターバックスは、未来をつくる若者や子どもたちが自分らしく夢や未来を描き挑戦し続けられるように、機会や活躍の場の提供を目指しています。このプログラムでお客様からの寄付をお預かりするスターバックス カード「ハミングバード」のクリエイティブをサポートした、ブランドデザイン&クリエイティブコミュニケーションチームの酒井秋子さんと、イラストを手がけたサタケシュンスケさんに今回お話を伺いました。

小さなハミングバード(ハチドリ)がやろうとしたこと 

プログラムの由来となったハチドリは、これまで登場したすべてのスターバックス カード「ハミングバード」に描かれています。ハチドリはとても小さな鳥ですが、カードの中で力強く羽ばたき、くちばしで水のしずくを運ぶ様子が描かれています。ハチドリはなぜ、水を運んでいるのでしょう。まずは、このプログラムの元となった『ハチドリの物語』をご紹介しましょう。 

森が燃えています。逃げ惑う動物たちの中、一羽のハチドリだけが、くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んで、火の上に落とします。火を消そうとしていたのです。 

「そんなことをして何になるんだ」と、呆れる動物たちに、ハチドリは言いました。 
「私は、私にできることをしているだけ」 


南米アンデス地方の民話『ハチドリのひとしずく』より

今できることをみんなでやろう

『ハチドリのひとしずく』は、小さな力の大切さを教えてくれる物語です。東日本大震災を機に発足したスターバックスの寄付プログラム「ハミングバード プログラム」は、この物語にちなんで名付けられました。期間中、スターバックス カード「ハミングバード」を発行の際に、お客様から100円の寄付をお預かりします。それに加え、期間中に対象カードで購入いただいた商品代金の1%相当額をスターバックスが寄付します。なぜ、スターバックスはこのプログラムを毎年続けているのでしょう。酒井さんは「小さな力こそ、強い力になる」と話します。 

「スターバックスには『今できることをみんなでやろう』というブランドの思いがあります。『ハチドリのひとしずく』に登場する鳥はとても小さいですよね。運べる水だって少しでしょう。でも、そんなハチドリの話を見たり聞いたりした、森の動物たちはきっと一緒にそれぞれの手の平や口で運べる「ひとしずく」を運んだのでは?と想像できますよね。そんな風に寄付やアクションを、それぞれが日々の中でやり続けるほど、社会に大きなインパクトを与えられると思います」 

大きな災害や困難を前に「自分がやれる程度のことなんて、何にもならないんじゃないか」と感じる人もいるかもしれません。しかし、ひとりではなく10人、100人、1000人とプログラムに参加する人の数が増えれば、それは“大きな力”になることを、スターバックスは10年以上このプログラムを通じて、お客様と一緒に学んできたように思います。 

「一人ひとりの小さなアクションが大きなパワーを持っている。それを私たちスターバックスなら伝えられると、毎日、全国の多くのお客様の日常に寄り添うスターバックスとして、お客様と一緒に取り組んでいます。」と酒井さんは話します。 

新しいカードに込めた思い

寄付プログラムが始まって以来、毎年カードのイラストを変えてきましたが、今回新しいカードを制作するにあたり、酒井さんは「お客様がカードを見て、今年も『ハミングバード プログラム』の季節がやってきたんだ!」と、ひと目でわかるようにハチドリの表現をシンボリックにしたいと考えました。そこで依頼したイラストレーターが、サタケシュンスケさんでした。 

歴代の『ハミングバード プログラム』のカードを並べてみると、いろいろなタッチやトーンで表現されていて、その多くは「物語の一部」を描かれていることが見て取れます。一方で、新しいものはハチドリがカードいっぱいに力強く描かれ、水のしずくもこれまでよりも大きいように思えます。そこに、このプログラムに関わった人たちの強い意志を感じます。絵を担当したサタケさんはどのように想いを受け止め、ハチドリを表現したのでしょうか。 

描くことで人や社会をつなぐ 

イラストレーターとして広告や書籍、そして大学講師と幅広い活動をしているサタケさん。子育てを機に社会と積極的に関わる必要があると感じたそうです。 

「いま、3人の子どもを育てています。育児をする中で、自分の絵をもっと育児や保育という社会のテーマに関わりを持たせたい、という思いが強くなりました。特に、世の中の子どもたちの成長に寄り添えるような仕事にやりがいを感じていますね」(サタケさん) 

プロフィールに「絵を描くことで人や社会をつなぐ仕事をしています」と書いてあるサタケさんにとって、イラストとは改めてどのような存在なのでしょうか。 

「コミュニケーションツールだと思っています。イラストは年齢、国籍、言語を超えても伝わる力があります。その力を使って社会を良くしていけたらという想いは、僕の根本に流れています。人、社会、物事の間にイラストがあり、伝えたいことを伝える手段と捉えた時に、初めてイラストを描くことが意味を成すと思うんです。今回の依頼は、まさに自分が絵を描くことで社会を良くすることができると思いました。決まった時は、本当に嬉しかったですね」 

実は大きな力を持っているひとしずく 

できあがったカードを見て、サタケさんは感慨深げです。カードのイラストを制作するにあたり、サタケさんはハチドリに「シンプルな力強さ」が必要だと感じたと言います。 

「カードは長い時間眺めるものではないでしょう。だから、ひと目で『カードが何を言いたいか』が伝わるようにしなければと思いました。今回、制作の過程でかなりの要素を削ぎ落とし、極限まで表現をシンプルにしているのですが、イラストを描く中でハチドリの気持ちを想像してみました。ハチドリはしずくを運ぶ時、どんな気持ちだったのだろうと。普段の仕事で、自分が主人公になりきって描くということはなかなかないことでしたね(笑)」 

寄付を通じて、経済的に困難な状況にある若者・子どもたちに学びの機会をつくる「ハミングバード プログラム」。この大きな課題に対し、このカードはどのような役割を果たすのでしょう。  

「自分の持っている『ひとしずく』の力が実はすごく大きな力を持っていることを、このカードを通して多くのみなさんと共有できたら嬉しいですね。そして、人それぞれに持っている『ひとしずく』を大切にしてほしいなと思います」(酒井さん) 

「ハミングバード プログラム」は、たった一枚のカードから始まる物語。ひとりの力は小さいものかもしれません。しかし、この物語は参加者が増えれば増えるほど大きな物語を紡いでいくはずです。一枚のカードの先に広がる未来と物語。いったい、どのような物語が始まるのでしょうか。 

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「学び」の翼を、全国の若者に。2024年度 ハミングバードプログラム