どんな子どもにも学びの機会を-ハミングバード プログラムで届ける思い-  


このプログラムの始まりは、13年前の東日本大震災でした。震災で親を亡くした子どもたちの進学支援を目的として2012年にスタート。2020年からは全国に対象を広げ、経済的に困窮する若者や子どもを応援する公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(以下、CFC)への寄付を通じて、若者や子どもたちが自分らしく挑戦し続けられるよう、学びの機会を提供しています。 

スターバックスがお客様と一緒に、寄付を通じて経済的に困難な若者・子どもたちに学びの機会を届ける「ハミングバード プログラム」。今年は5月28日まで、対象カードの発行や利用でご参加いただけます。 

今年度は、年始に起きた能登半島地震の被災地への緊急支援も開始し、全国各地の若者・子どもの支援を続けるCFC代表理事の今井悠介さんに、今年の取り組みについてお話を伺いました。 

学びの格差をなくしたい

CFCは、経済的な理由で塾、予備校、スポーツや音楽のような習い事など、学校外教育を受けることのできない子どもたちを支援するために設立された団体です。対象の子どもたちに「スタディクーポン」を渡すことで、子どもたちは自分の通いたい塾や習い事を選択し、学びの機会を得ることができます。クーポンはCFCと提携を結ぶ塾や習い事、学校外の教育機関で使うことができます。 

写真提供:チャンス・フォー・チルドレン

CFCがこのような取り組みをはじめた背景には、子どもたちの人生の選択が、生まれた地域や家庭に紐付いてしまっているという、経済格差と教育格差がつながっている現状がありました。 

そのような、自分ではどうしようもない環境によって、子どもの学びの機会が左右されてしまうことのひとつが震災です。今井さんは、1月に発災した能登半島地震の被災地の子どもたちへの学習支援も当初から視野に入れ、現地で活動するNPO団体などと連携を取ってきました。 

「私たちが復旧のフェーズで役に立てることは多くありません。むしろ、早すぎると現地に負担を掛けることになります。現地からそろそろ学習ニーズが高まっているという連絡を聞き、石川県を訪れました」 

今井さんが現地入りしたのは震災から1ヶ月ほど経った頃でした。まず被災地がどういった状況なのか、何が課題としてあるのかを知るべく、被災した七尾市や避難者を受け入れている金沢市の避難所や関係団体を訪れ、現場のニーズを収集しました。 

能登の被災地での学習支援の難しさ 

現地で被害の現状を知った今井さんは「これまでの災害と比べ、能登での支援は課題が多い」と感じたそうです。その原因は被害状況の複雑さにあると今井さんは言います。 

「私が現地にお伺いした当時でいうと、被災した子どもたちの状況が多様なんです。例えば、奥能登地方に残るという選択をした人がいます。集団や個別で避難をした人の中にも、都市部の金沢の学校に転校した子もいれば、元の学校のオンライン授業を受けている子もいる。転校したけれど戻る予定の子もいれば、そのまま移住しようと思っている子もいます。子どもたちの状況が多様な上に、流動的なので支援が必要な人たちがどこにいるかも把握しにくいという状況がありました」

写真提供:チャンス・フォー・チルドレン

そして、能登半島特有の地理的な特徴もあるそうです。過疎地の生活環境と、町にいた子どもたちでは学習塾や高校の選択肢などが違います。状況によって支援の仕方を変える必要がある上、状況が刻々と変わっていくことに支援の難しさがあると、今井さんは感じています。 

そんな厳しい状況の中でも、被災した地域の塾などが中心となり、子どもたちに無料で学習の場を提供するという動きが出ているそうです。驚くのは、学習塾の教室が開放される動きは今回の能登半島地震だけでなく、これまでに発生した多くの被災地で自然発生的に起こっていたということです。 

「衣食住が整いはじめると、次に学習のニーズが起きます。しかし、学校などの大きな施設は再開までに時間がかかります。すると、その間どの被災地でも学習塾が一時無料開放などをして、子どもたちに勉強を教えるんです。 

ただ、これまで地域に根ざしてきた小規模の塾が無料で授業をしていては体力が持ちません。そういう時に、スタディクーポンを迅速に提供することができれば、子どもたちも塾に通えます。被災地の塾の先生たちも本業として勉強を教えることが可能ですし、地域の雇用も守ることができます」 

写真提供:チャンス・フォー・チルドレン

諦めず、学習のできる環境を 

「今起きている課題解決というのももちろん大切ですが、地震などの災害は、それまでにあった問題を浮き彫りにし、悪化させる要因になります」根底にある問題からアプローチしていく必要があると今井さんは指摘します。 

「例えば、貧困状態にあった家庭が震災をきっかけにさらに経済状況がダウンすると、その前から存在していた格差の問題が表面化するのです」そして、経済的困窮が常態化すると、子どもたちに“ある変化”が起こるといいます。

「子どもたちがやりたいことを諦めるようになってしまうんです。例えば、学びたいけど家庭の経済状態を考えると言い出せない。進学や学習を諦めてしまう。支援が必要な子どもの手が上がれば、選択肢を提示しやすいのですが、諦めの気持ちが先に出てきてしまうと、手を上げてすらもらえない。そうすると、支援が子どもたちに届かなくなってしまいます。今回の震災でも、時間が経つほど困難な状況が複合的に増えてくると思います。 

苦しい状況が続くとメンタルや体調を崩す親御さんも出るでしょう。当然、子どもたちも影響を受けてしまう。貧困を放置すると、課題がどんどん複合的になっていくように思います」 

写真提供:チャンス・フォー・チルドレン

「スタディクーポンは学習塾も選べますし、通信教育や家庭教師も選ぶことができます。学びは机上だけではなく、いろんな人たちから刺激を受けることです。様々な体験は、本人の中で学びとして蓄積されていきます。スタディクーポンは受験勉強だけではなく、文化や芸術、スポーツを学んだり、体験したりすることにも使えます。本来子どもたちができていた機会が保証されていけたらいいなと思います」 

若者・子どもたちの「学びたい」意欲を支えるために、あなたも一杯のコーヒーでスターバックスと一緒に応援してみませんか。その一杯が、子どもたちの未来を変えるきっかけになるかもしれません。 

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スマトラ島で感じた、一杯のコーヒーの背景にあるもの。