【ハミングバードプログラム】若者たちのより良い未来のために、ひとしずくの想いを重ねて 


12年前、東日本大震災で被災した若者・子どもたちへの支援から始まり、現在は公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンへの寄付を通して、日本全国の経済的に困難な若者・子どもたちに学びの機会を届けている『ハミングバードプログラム』。 

2024年度は、年始に起きた能登半島地震の被災地の若者・子どもたちへの緊急支援を含み、参加方法もカードの発行と利用だけでなく、スターを利用した寄付という新しい寄付方法が増えたことで、より多くのお客様にご協力いただくことができ、2024年3月5日から5月28日の期間中、日本各地の店舗で総額23,848,853円の寄付金が集まりました。 

小さな店舗ながら今年のカード発行枚数全国6位となったららぽーと立川立飛店。このプログラムだけに留まらず、普段から「若者・子ども支援」に取り組んでいる同店のみなさんに、若者・子どもたちへの想いを伺いました。 

パートナー(従業員)みんなが、同じ熱量を持って 

ららぽーと立川立飛店はショッピングモールの一角にあり、家族連れや買い物途中のお客様がちょっと一息つくために訪れる小さな店舗。比較的ゆっくりとくつろぐお客様が多いという点を活かし、ハミングバードプログラムでは、カードの発行を通じてプログラムの認知を広げることに注力していたとストアマネージャーの岩瀬さんは言います。 

「お客様に対する“きっかけを作る店舗”として、今年は、よりこのプログラムを知っていただく機会を私たちのお店から作りたいと思っていました」 

“お客様への周知”に加えて、岩瀬さんには実はもうひとつの想いがありました。それは、このプログラムはパートナーたちの意識を変えるためにもきっと良い機会になるだろうということです。 

「コロナ禍に、スターバックスが大切にしている“お客様と直接コミュニケーションを取る”という活動が制限されていた時期があったので、その頃に入った新しいパートナーたちに、このプログラムを通してスターバックスのカルチャーを伝えたいと思ったんです」 

ストアマネージャーの岩瀬さん

ハミングバードプログラムの取り組みを店舗内に浸透させるため、岩瀬さんは大学2年生のパートナー3人に担当をお願いすることにしました。 

その中で中心的存在として活躍したのが新潟出身の瀬崎さん。年始に帰省した際に、実家が能登半島地震の被害を受けていたことも大きな原動力になったと語ります。 

「実家から東京へ戻ってきた時、すごく温度差を感じたんです。やっぱり実際に経験したこと、その状況を知っているか知らないかというのは全然違うんだなと。その差を埋めるためにもいろいろ学んで、支援が必要な若者の現状を理解するように努めました。 

災害や経済的な問題で教育を受けられない子どもたちに対して、自分がスターバックスで働くことでその支えになれるのであれば、ぜひとも助けになりたいと思ったんです」 

学生パートナーの瀬崎さん 

入社してまだ1年足らずの瀬崎さんは、他の学生パートナーたちと一緒にまずこのプログラムについて学び、みんなで手書きの紹介チラシをつくってお客様一人ひとりに手渡しました。 

「本社から送られてきたパンフレットはすぐに配り切ってしまったので、自分たちで手書きのチラシを作ったんです。僕自身、入社するまでハミングバードのことは知らなかったので、まず知ってもらうことを大事にしたくて。スターバックスのOur Valuesに『思いをかたちにする』という言葉があるのですが、自分の知ってもらいたい気持ちを僕たちなりにかたちにしました」 

学生パートナーたちで作った手書きのチラシ 

本来、立地的には家族連れのお客様の多い店舗ですが、興味を持ってカードを発行してくれたお客様の中には、瀬崎さんと同世代の若い方も多かったと言います。 

「一番印象に残っているのは、僕と同じくらいの年齢のお客様で、最初は単純に何かカードがほしいという話だったのですが、ハミングバードのことを伝えたら、1人で5枚も発行してくれた時です。僕自身は、発行時に100円を寄付していただかなくてはいけないことが少し気がかりでしたが、その方は『たった100円で手助けできるならいいね』とおっしゃってくれました」 

プログラム期間中、“若者が若者に伝える場”となっていたららぽーと立川立飛店ですが、実は普段から岩瀬さんを中心に「未来をつくる子どもたちにフォーカスをした店舗運営」を心がけているそうです。だからこそ、学習機会を作るというハミングバードプログラムと店舗の想いが合致して、パートナー全員で協力し合うことができたのだと言います。 

未来をつくる子どもたちに、知る機会を 

3月にハミングバードプログラムが始まる少し前の2月。店舗では『ららら未来って素敵塾』(以下、未来塾)という、小学生と一緒に社会問題を考えるワークショップを新しく立ち上げていました。 

「未来をつくる子どもたちに“知る機会”を提供する場を作りたいと思ったんです。家庭や環境によって子どもの学ぶ機会は様々ですが、小さい頃に知るきっかけがあったら、自分たちの未来のために何かしたいと思える子が育つんじゃないかなと思うんです」(岩瀬さん) 

この未来塾を担当したのは入社6年目の天神さん。入社前からハミングバードプログラムの取り組みにも関心を持ち、「ソーシャルインパクトをもっと根付かせるために自分も何かしたい」と入社しました。 

子どもの頃から社会問題に興味があったというパートナーの天神さん 

「スターバックスがそういう活動をしていることを知らない人が周りに多くて、もったいないなと思ったんです。自分が中に入って、お客様に広めたいと思いました」 

バリスタに憧れて応募する人が多い中、「そんな志を面接で語ってくれたのは彼女が初めてだったので、とても記憶に残っています」と岩瀬さん。だからこそ、天神さんに未来塾に来る子どもたちを託しました。 

 
「私が社会問題に興味を持ち始めたのは、小学6年生の時。授業で『世界がもし100人の村だったら』という絵本を読んで、世界の現状と自分の知っている世界が全く違うことに衝撃を受けました」 

小学生でも、“きっかけ”さえあれば変われる体験を知っている天神さんは、毎回いろいろな社会問題をテーマに選んでいます。5回目となる6月度のテーマは「環境問題」。『プラスチックのうみ』という絵本をみんなで読み、クイズ形式などで子どもたちが楽しく学べるように工夫していました。 

「恥ずかしくてあんまり発言できない子もいるので、理解できているかなと不安になる時もありますが、家に帰ってからお母さんと話したりするという声をもらうんです。すぐ反応が返ってこなくても、しっかり子どもたちの心の中で自分なりに考えてくれているんだなと思います」 

今回、天神さんに代わってプレゼンターを務めたいと立候補したのは、ハミングバードプログラムを担当していた瀬崎さんでした。 

「レジでは子どもと直接触れ合う機会がないので、子どもたちが考えていることを知れる良い機会だなと思って。実際やってみると最初は全然反応してくれなくて、あれ?と思ったんですけど、興味を持たせるような感じで話しかけるようにしたら、自分から意見も言ってくれるようになりました。 

こちらからちゃんと伝えれば、相手もそれなりに答えようとしてくれる。自分から誠実に働きかけることが大切だなと思えるようになったのは、ハミングバードを通じて成長したところかなと思います」 

スターバックスだからこそのインパクト 

岩瀬さんの想いを受け継ぎ、ハミングバードプログラムを担当した瀬崎さん、未来塾の企画をする天神さん、それぞれが主体的に関わっている姿が印象的でした。 

「店舗の取り組みを通して、自分で“直接伝えられる”ことがやりがいです。そして、スターバックスの強みは世界中、日本中に店舗がたくさんあるところ。他店舗とお互いの取り組みを共有しているので、自分たちもこういう取り組みをやってみようという輪が広まればいいなと思っています」(天神さん) 

未来塾に参加した子どもたちの言葉 

日本国内だけでも1,900店舗以上近く。その中に同じ志を持つ仲間がたくさんいて、その輪は少しずつ、確実に広がっています。 

「一見ビジネスとして効率的ではないことでも社会的良心を追求し真剣に取り組むのが、スターバックスの良さだと思っています。1,900店舗以上で発信できるってすごいこと。この力を大いに活用して、私たちの想いを発信し続けていきたいです」(岩瀬さん) 

ハチドリがひとしずくの水を運ぶように、小さな活動をひとつずつ、未来が良い方へ向かっていくために。今日も全国各地のパートナーたちがそれぞれの想いを重ねながらお客様一人ひとりとつながりを育んでいます。