コーヒー生産地に想いを馳せる:エチオピア編


皆さんこんにちは。コーヒースペシャリストの若林 茜です。普段はコーヒーを楽しみながら学ぶための社内の教育プログラムの開発や、フードペアリングの開発、社内競技会の運営などを行っています。

このコーヒー生産地に想いを馳せるシリーズは、ちょっと深い生産地のエシカルなストーリーをお届けします。

今日お話しするのは、私が5年前に訪れたアフリカの東側にある内陸国、エチオピア。

柑橘類を思わせるような華やさと優雅な味わいをもつ、スターバックスのコア(常時発売)コーヒー「エチオピア」で、この国を知っている方もいらっしゃるかもしれませんし、その美しい自然や独自の文字や文化などでも多くの人を魅了する国です。

また、この国は、コーヒー発祥の地としても知られています。コーヒーの歴史が始まった、ヤギ使いの少年カルディと野生の実の物語の場所です。

今日は、そんなエチオピアへのショートトリップへ皆さんをお連れしたいと思います。ぜひコーヒーを片手に楽しんでいただけたら幸いです。

日本から、飛行機で約17時間。首都アディスアベバに到着し、そこから更に飛行機で1時間ほどかけ、エチオピア南西部に向かいます。そこから更に車で舗装されていない山道を数時間行くと、コーヒーが生まれた場所、「カファ地方」と呼ばれる地域に到着します。

目の前の色彩の豊かな自然に圧倒されます。普段見慣れた日本の景色の中にある色とは違う、アフリカの土壌の赤、いきいきと育つ木々の緑、そして空の鮮明な青。

赤道に近い国ですが、標高は1,700mを超えているため気候は涼しく、空気もカラッとしています。

コーヒーが生まれた森

では、さっそくコーヒー農園に入っていきましょう。エチオピアにはコーヒープランテーションで栽培をする地域ももちろんありますが、このカファ地方がある南西部には、うっそうと茂る森の中で自生のコーヒーの木がすくすくと育っており、そこからコーヒーチェリーを手摘みで収穫しているエリアも多くあります。

森はコーヒーを育てる環境として、とても重要です。コーヒーに最適な温度と湿度、水分を保つだけでなく、森の木々がコーヒーの木の苦手とする強い日差しから守ってくれます。

雨が上がったばかりのこの日は赤土がぬかるんでおり、その中で自生する木は2mを優に超えるような高さがありました。収穫するのも一苦労ですが、自然のなかで育つコーヒーの木はいきいきとした様子。

コーヒーの森の中で、生産者の皆さんが着ている赤や紫などの原色の布を使った服と、真っ赤に実ったチェリー、それを見せてくれる彼らの満面の笑顔が輝いているのも印象的です。

森の中を歩いていると、不意に木陰からヤギが。まさにコーヒーが発見された物語に出てくるヤギ使いのカルディ少年とヤギのストーリーを思い出させるような光景でした。

「コーヒーセレモニー」で味わうフルーティーなコーヒー

農園から帰る前に、農園の皆さんがコーヒーをふるまってくれました。

そう、エチオピアの人々の日常にとって欠かせないのがコーヒーを入れる儀式、「コーヒーセレモニー」です。

エチオピアでは何百年も前からコーヒーが楽しまれ、1時間以上の時間をかけるこのセレモニーが社交の場として生活に根付いています。

金属製の平たい鍋でコーヒー豆はじっくりと深めに焙煎されていきます。徐々に広がる香ばしくフルーティーなコーヒーの香り。その後コーヒー豆はうすと杵で砕かれ、「ジャバナ」と呼ばれる美しいポットで抽出された後、小さな手書き模様のカップに注がれます。抽出されたコーヒーはとても濃厚でフルーティー、そしてエキゾチックな味わいでした。

コーヒーの森を守るために

最後にこのコーヒーの森をこれからも守り続けるための取り組みについてご紹介します。

コーヒーの栽培に不可欠な森ですが、最近森林伐採が大きな問題の一つになっています。エチオピアにおいても同様です。森林伐採は動植物の住処を奪うだけでなく、木々を失うことで与える気候変動への影響も小さくはありません。

スターバックスでは、森を守っていくために、自然の森林を伐採してコーヒー農園に転換することを固く禁じています。そして、人に危害を与えたり、コーヒーの木と栄養を取り合ったりなどの競合が起きない限りは、自生している木々は撤去しないようにガイドラインで示し、コーヒーの栽培に良い影響をもたらす木の植樹などのサポートをしています。コーヒーの木を育てるために他の木々を撤去するのではなく、一緒に育てることによってコーヒーの栽培に適した土壌や日陰などの環境を整えているのです。

エチオピアにも首都アディスアベバにファーマーサポートセンター(生産者たちを支援する施設)があります。アグロノミスト(農学者)は農園を訪れ、生産者やその家族や子供たちとともに、農園やコーヒーの木、気候変動がもたらす課題について話しあい、よい持続可能なコーヒー栽培の方法についてサポートをしています。

今回はエチオピアの南西部、カファ地方のコーヒーが自生する森を訪れました。ショートトリップはいかがでしたでしょうか?

エチオピアには他にも多くのコーヒーの生産地域があり、それぞれがまた異なった魅力的な味わいとストーリーをもつコーヒーを生み出しています。エチオピアで発見されてから1000年以上たった今もわたしたちを魅了させてくれるコーヒー。今もなお新しいコーヒーの木や風味が発見されつづけるこの国で、また皆さんと次のコーヒーの旅をできることを楽しみにしています。

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伝統的な紋様にロースタリー 東京を重ねた江戸切子グラス