リユースを楽しむ未来を目指して。ポジティブな循環をスターバックスから


2023年11月、シアトルにあるスターバックスのサポートセンター(本社)で、「サステナビリティ グローバル サミット」が開催されました。世界の各マーケットのスターバックスからサステナビリティ領域の担当者約100人が集まり、活動の進捗や課題などを共有しました。日本から参加したのは、サステナビリティ&資材購買部の古川さん。古川さんがサミットに参加し各国の担当者との交流を通して感じたこと、そして日本のスターバックスのこれまでのサステナビリティの取り組みや目指す未来について話を伺いました。

ShouldからMust、そしてWantへ。楽しんでできる取り組みを

スターバックスは「リソースポジティブカンパニー」を目指し、「2030年までにCO2排出量、水使用量、廃棄物量の50%削減(2019年比)」の目標をグローバルで掲げています。その実現のため、環境配慮型店舗「グリーナーストア」の出店加速、マイタンブラー利用者同士が部活のように楽しむ「タンブラー部」の発足、店内リユースの推進など様々な取り組みを行っています。

サミットでは、各マーケットでのサステナビリティの活動事例、課題や課題解決のためのアイデアを共有。古川さんは、「目標を掲げた2020年よりも店舗数が増え、19年比の50%削減というのはとても野心的な目標です。実現のためには各国で行われている施策をますます加速させる必要があるという共通認識を持ちました」と語ります。

その中で学び合い、気づき合うことがありました。
「環境先進国のヨーロッパのサステナビリティ担当と、環境負荷の少ない素材の情報共有ができました。また、他国でも実施している『借りるカップ』というリユースカップを循環する取り組みは、国によって方法が異なります。その違いから課題やアイデアを共有できたことも大きな価値です」と、意義深いものになったようです。

また、サミットでは、「サステナブルな活動はShould(しなければいけない)からMust(すべき)に」という提言も。古川さんは帰国後、日本のサステナビリティのチームと話し合い、1つのキーワードにたどり着きましたそれは「Want(したい)」です。

「しなければいけない、から、すべき、そして、より自発的に取り組む“したい”が持続的であり、何よりの推進力になるのではないか」と考えたからです。

お客様に楽しんでいただけたからこそ、大きなアクションになった樹脂製グラス

「Want」から、ポジティブな成果につながったのが、2023年3月より全国1,800店舗で順次導入を進めてきた、店内アイスドリンク用の樹脂製グラスでの提供です。この取り組みにより、当初は1年で約100トンの廃棄物削減を見込んでいましたが、それを大きく上回る482トンの廃棄物(使い捨てカップや蓋など)を削減することができました。その理由を古川さんは、「お客様に楽しんでいただけたから」だと言います。

「カップやグラスは、お客様との大切な接点です。グラスの方がおいしく見える、きれいな写真が撮影できると、樹脂製グラスはお客様にとってFun(楽しい)な要素となり、喜んでいただけました。お客様が楽しんでくださることが、パートナー(従業員)にとっての何よりの喜び。するとパートナーはより自分ごととしてリユースを推進し、結果として廃棄物削減につながっていきます」
お客様の喜び、共感がパートナーの「Want」になり、好循環が生まれたと古川さんは考えています。お客様に共感いただいたこの取り組みはサミットでも賞賛され、グローバル共通のプログラムにするというポジティブな影響を与えることができました。

そしてもうひとつ大切な要素が、取り組みに対するパートナーの共感です。

スターバックスは、目指す姿として「OUR PROMISES」の中で、あらゆるステークホルダーへ約束をしています。環境に対しては、「自然のめぐみをポジティブな循環へ」。

「お客様と接するパートナーが取り組みに共感することで、行動につながり、最も持続性があり、大きな影響力を持ちます。なので、アクションの意義をしっかり伝えるようにしています。目的への理解が深まると、しなければいけないことではなく“Want”になり、パートナーの主体的な行動につながっていく。私たちスターバックスの強みです」

全国6万人ものパートナーそれぞれが目的を持ち、自ら行動することがとてもポジティブなインパクトをもたらします。

他企業の共感を得て社会の仕組みに変化を起こす

サステナブルな活動は、他企業の共感が得られるとさらに可能性が広がると、古川さんは語ります。
「サステナビリティは企業にとって“競争”領域ではなく、“共創“領域です。スターバックスだけでできることはどうしても限りがあります。地域、企業、団体と協業することで、共感の輪がより広がり、社会に対する影響力は大きくなります。
例えば一部店舗で実施している『借りるカップ』の場合、スターバックスは全国約1,900店舗を展開していますが、生活のインフラとなっているコンビニエンスストアや鉄道、サービスエリアなどと協業することで、社会により良い変化を起こすこともできるのではないかと思っています」

『借りるカップ』は、容器のリユースサービス「Re&Go(リーアンドゴー)」を活用し、2021年より行っている実証実験です。スターバックスで繰り返し利用できるステンレス製のタンブラーを借りてドリンクを注文し、テイクアウトしても対象店舗で返却できるというシステム。現在は東京都内や愛知県内の約40店舗で行っています。

そこから見えてきたのは、ビジネス街は利用率が高いということ。オフィス、駅、いつも利用する店という行動パターンのなかで返却することができるからです。オフィス街以外でも利用率を高めたいと思うと、お客様の生活の動線に回収拠点を増やし利便性を高めることが重要です。
「そのためには仲間を増やす必要があります。多くの企業の共感を得られれば可能性が広がり、リユースする文化が定着する未来が訪れると信じています」。

「1996年に銀座に日本1号店を出店して以来、カップを片手に、コーヒーやフラペチーノを楽しむスタイルを提案してきました。これから先、次の30年はサステナビリティの領域をリードする存在を目指して、マグやグラス、タンブラーでリユースを楽しみながら、より良いスターバックス体験を届けていきたいです」

ひとりの100歩より、100人の1歩が大きなインパクトを生み出します。お客様やパートナーの「Want」がその一歩につながるように、これからもサステナブルな活動の輪を広げていきます。

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「自分らしく生きる」を応援する。スターバックスのLGBTQ+コミュニティ支援とアライとしての取り組み