京都BAL店で新鮮な驚きと体験を。35点の新たなアート作品を展示

“アーティストたちの共同アトリエ”をコンセプトに、若手アーティストの作品に囲まれながらコーヒーを楽しめる「京都BAL店」。オープンから6年を迎えるにあたり、初めて大規模な作品の入れ替えを行いました。アート作品が彩る空間や、展示作品の魅力をお届けします。
現代アートを、より身近に。コーヒーとアートの新鮮な体験
美術大学が多く集まり、幅広いアートイベントも開催されているアートの街・京都。この街で、若手アーティストの作品を楽しめる場所として親しまれているのが「京都BAL店」です。「若手アーティストを支援したい」という共通の想いを持った、京都を拠点に国際的に活躍するクリエイティブ・プラットフォーム「Sandwich」のアートディレクションのもと、約70点もの現代アート作品が展示されています。 「ここはカフェの中に、ギャラリーの機能を持たせています。こんなに近くで現代アート作品を見ながらコーヒーを飲める店舗は、京都BAL店以外ありません」と語るのは、ストアバリューエベレーション本部の今村さん。

展示している作品は(一部を除き)購入でき、作品が売れた後は、新たな作品の発表の場所になるという循環を繰り返してきました。オープン当時に展示されていたいくつかの作品はここから羽ばたき、また、それぞれのアーティストも精力的に活躍の場を広げています。
ここまで多彩な若手アーティストの作品を展示しているギャラリーは、京都でも殆どないと言われています。35点におよぶ今回の大規模な作品を入れ替えは、新たな若手アーティストたちに作品発表の場を提供するとともに、お客様にとっても新たな作品やアーティストとの出合いの機会と、と今村さんは喜びを感じています。
「一度に多くの作品を入れ替えたことで、お店の雰囲気がガラリと変わり、新鮮な驚きがありますよね。初めてご来店されるお客様だけでなく、いつも来てくださるお客様にも新しい発見・体験をお届けできます。アーティストにとってもお客様にとってもよい循環ができていると実感しています」
また、京都BAL店ではお客様により豊かな時間を届けたいと、毎月1つの作品をテーマにしたドリンクの「アートカスタマイズ」を実施しています。

作品のイメージやアーティストの想いを深掘りし、店舗のバリスタ全員のアイデアを集めたカスタマイズを、店頭のチョークボードでオファリングしているのでぜひ注目してください。
ちなみに取材をした2月は、岡田祐里奈さんの作品をイメージして、エスプレッソマキアートにココアパウダーとブラウンシュガーをトッピングしていました。
どんなアート作品に出合える!? 一部をご紹介します
コンセプトである「アーティストたちの共同アトリエ」のとおり、筆致や凹凸、素材の質感まで感じられるほど近くで作品を鑑賞できるのも京都BAL店の魅力です。お客様は「あ、この作品、好きだな」「今日はこの席から見てみようかな」など、思い思いに楽しみながら店内での時間を過ごすことができます。さてここからは、展示作品の一部を、「アーティストがどのように考え、作品の中で表現しているのか」、アーティストの想いとともにご紹介しましょう。
品川美香さんの《永遠》。品川さんは、「7つまでは神のうち」という言葉に表現されるように、現実と異界、かわいらしさと恐ろしさにまたがった存在としての子供を描きたいと考え、作品の代表的なモチーフとしているそうです。
「今の時代はいろいろなものの見方や描き方を当たり前に知っている状態で暮らしているので、ひとつ絵の中でいろいろな技法を使うことは自然なことなのではないかなと思い、あえて多様な技法を用いて描いています」

自らの呼吸で、赤い顔料をシャボン玉のように膨らませ、被膜に流れる顔料をキャンバスに定着させた大和美緒さんの《BREATH 20》。
「呼吸をする瞬間、瞬間の痕跡が一枚の作品になっています。赤いドットは同じものが1個もないので、一瞬一瞬の違う時間の連続の中に私たちが生きていることを表現したいと思っています」

藤本純輝(あつき)さん《花瓶の花》。自然や草花をモチーフに、布を重ねたキャンバスを抜き出して下層を露出させる技法で、草花のたたずまい、気配、感触まで表現しています。
「草花は、太陽の光に包まれて、空気の細かな粒、風に包まれながら咲いています。作品は実際にそこに咲いているものとして、物理的な遠近、前後がある絵画空間を作ろうと試みています」

少年時代に親しんだテレビゲームの思考をテーマに作品を制作する、竹内義博さんによる《Cross》。表面に浮き出たバツは、3Dプリンターで作った型紙に絵具を落とすことで緻密に描いています。
「背景は火のイメージをシルクスクリーンでのせ、その上にバツを描いています。これはぷよぷよというゲームの構造でバツを配置しています」

今西真也さんは、幼少期の原体験から“視覚と認識のズレ”を表現することを試みています。作品名《Glimmering 43》は、「きらめいていく」を意味する「Glimmering」シリーズの1作。
「家にいるとスマホ見ながら、隣ではテレビが流れていて…その空間がたくさんあり、すぐに入れ替わっていくことに僕たちは慣れている。それは20年前にはなかったことで、空間が明滅しているなと思いました。その感覚を取り込んで描いています」

写真を絵具で転写している岡田祐里奈さんの《Dream in out 023》。学生時代から京都BAL店に作品を展示することに熱い想いを持ってくださっていました。
「写真しかできなかったことを破壊してペインティングしています。ここの場所に座ってもらって、お客様とこの作品が一体化していくことで、この空間が完成されていく。それがここの魅力でもあり、この作品が完成される意味です」

身近なスターバックスでも、アートを。
京都BAL店はギャラリーという役割を担っていますが、ほかの店舗でもスターバックスとアートはとても密接な関係にあります。
「お店には家具、マテリアルなどいろいろな構成要素がありますが、アートは、スターバックスの想いや価値観を、いちばん素直に伝えてくれるものです」と今村さんは言います。
スターバックスの多くの店舗では、シアトル本部が店舗デザインに合わせたアートをアーティストと共に制作し、設計担当者が空間に合わせてセレクトして使用しています。「その中でもそれぞれのお店のデザインに合わせて印刷して額装したり、地域のアーティストが直接壁に描いたりと、同じアートでも使い方はお店によって異なるんですよ」と今村さん。
京都の店舗で見たアートが、長崎県の店舗で異なる表現方法でデザインされていることもあります。


そして、私たちの想いをしっかり届けていきたい時は、その想いに共感する若手アーティストにオリジナルのアートを依頼することもあります。
「そのお店だけの1点もののアートです。お店のある地域に関連するモチーフが描かれることもあれば、アーティストと会話を重ねアイデアを出し合いながら一緒にアートをつくること、その中でアーティストが新しい表現手法にチャレンジしてくれることもあるんですよ」。

あなたの身近なスターバックスにも、こんなにたくさんのアートが、想いが、あふれています。時にはそんなアートに目を止めて、日常のコーヒータイムに、ちょっとした豊かさを感じていただけたらうれしいです。