2020年レポート「Planet(地球環境)」

2021年4月27日

<こちらの文書は、英語の原文より翻訳しました。>

未来に向けて私たちが目指すのは“リソースポジティブ”— 地球から得る量よりも還元する量を増やすことです。これは私たちだけでは実現できません。みんなで取り組むことが必要です。

リソースポジティブカンパニーを目指して

取り組みの報告と最新情報

2030年までの目標:

・CO2:温室効果ガス(GHG)プロトコルのスコープ1、2、および3において、スターバックスの直接的な事業とサプライチェーンにおける排出の絶対量を50%削減する。

・水:直接的な事業とコーヒー生産における使用量を50%節約、または還元する。

・廃棄物:店舗(店から持ち出される容器やパッケージも含む)や直接的な事業で発生する埋め立て廃棄物の量を50%削減し、サーキュラー・エコノミー(循環経済)に大きく舵を切る。

2020年1月、私たちはリソースポジティブカンパニーになるという今後数十年の長期目標を発表しました。地球から得る量よりも還元する量を増やす取り組みです。CO2は排出する量よりも蓄える量を増やし、廃棄物を減らし、使う量よりも多くの真水を還元します。

私たちはまずCO2、水、そして廃棄物の排出量について、2018年を基準として半分に減らすという2030年までの目標を設定しました。その後、私たちのCO2に関する目標はSBTイニシアティブ (SBTi)から科学的根拠に基づくと認証されました。また、その認証プロセスの一環として、3つすべての削減目標の基準年を2019年度に設定し直しました。SBTiからは、私たちのスコープ1と2における2030年までのCO2に関する目標は地球温暖化を1.5℃に抑えることに貢献する、と承認を受けました。これは、SBTiが認証する中でも最も高いレベルです。

2030年までの目標を達成するため、私たちはカギとなる5つの戦略を設定しました。科学的根拠に基づく 、スターバックスのミッション&バリューズに沿ったもので、総合的な市場調査と試算に根差しています。

・植物由来のメニューを増やす

・容器包装を使い捨てから再利用できるものへ転換する

・サプライチェーンにおいて、再生型の農業や森林再生、森林保全、水の還元に投資する

・より良い廃棄物処理・管理に投資する

・より環境に配慮した店舗、運営、製造、配送を開発するための改革を行う。

私たちは社内のGlobal Environmental Councilを通じてサステナビリティへの取り組みを管理しています。そのメンバーは上級管理職で構成され、彼らの報酬は私たちの目標に対する成果と連動しています。また、同じく社内のBoard of Directors Nominating and Corporate Governance Committeeから正式な審査と助言を受け、かつサステナビリティに関して専門の知見と大きな影響力を持つ人々からも非公式に助言を受けています。

2019年度から2020年度まででは、2030年のCO2排出量の目標に対して11%削減、水については4%、廃棄物については2%それぞれ削減できました。2030年に向けたこの段階でこのレベルの年間削減量は予想と異なるものですが、これは主に新型コロナウイルスによって2020年度の事業活動が縮小したことによるものです。今後もこのようなことが続くとは考えられません。また、環境への影響を測定するプロセスの改善により、データの有効性と質が向上したことも要因です。

CO2の排出を減らし、水を還元する新たな試み

取り組みの報告と最新情報

サプライチェーンにおける環境再生型農業、森林再生、森林保全、そして水の還元への投資に取り組む中、私たちは2020年度にグアテマラ、メキシコ、ペルー、ルワンダ、そしてケニアで新たな試みを始めました。グリーンコーヒー(生豆)の栽培において環境に与える負荷を減らすことを目指すものです。これには代替的なコーヒー加工法、水の使用を最大80パーセント減らせるウェットミルの技術革新、そしてCO2排出量を減らす助けとなる土壌や葉の分析といった精密な農学の実践が含まれています。

私たちは、世界自然保護基金(WWF)とのパートナーシップを通じて、WWFのWater Risk Filterというツールを活用し、最もリスクの高い流域の把握、これら流域に含まれる生産地や店舗のある地域の課題に対するより深い理解、そして長期的な真水へのアクセスの保障を目指して活動しています。

2020年度には、新たにTransform to Net Zeroというイニシアティブに創設メンバーとして参加しました。9企業の創設メンバーで構成されているこのイニシアティブの目的は、企業のゼロ・エミッションを達成するために調査や助言、ロードマップを開発し、提供することによって、2050年までにネットゼロの世界経済への転換を加速させることです。

植物由来のメニューを発売

オーツミルク、代替肉

スターバックスの植物由来メニューを世界的に広げていくことは、CO2の削減目標を達成する方法の一つです。私たちは、お客様に幅広い選択肢を提供することを目指しています。2020年度、世界中のスターバックスの店舗で新たな植物由来メニューの展開を始めました。その代表的な例としては、カナダ、中国、そしてアメリカにおけるオーツミルクの商品化、アメリカでのインポッシブル・フーズ社と提携した朝食用サンドイッチの販売開始、そしてカナダと中国におけるビヨンド・ミート社の製品を使った朝食用サンドイッチの販売開始が挙げられます。

リユーザブルカップ

リユースへのインセンティブを調査、使い捨てカップの有料化を実験

目標:2016年から2022年の間にリユーザブルカップ使用を2倍に増やす。

新型コロナウイルス感染予防対策によってお客様やパートナー(従業員)に持参のカップや店内用の食器を使っていただくことが困難になったため、これらの取り組みを一時中止し、2020年度は市場調査にあてることにしました。再利用できる食器の使用を奨励するにはどんな方法がもっとも有効か、より深い知見を得るためです。2020年度にはカナダ、ヨーロッパ、中東、アフリカ、日本、そしてアメリカで販売されたドリンクの1.3%にお客様が持参したカップないしは店内用の食器が使われました。また、イギリスとドイツでは実験的に使い捨てカップを有料にしました。イギリスでは、およそ6個の使い捨てペーパーカップを原料として作られたリユーザブルカップCircular Cupの商品化もしています。

使い捨てカップ・ストローの削減・管理

新たにアメリカとカナダの5つの地域でリサイクルとストロー不要のリッドでの提供を開始

目標:

2022年までにペーパーカップの材料の20%をリサイクル素材にする。

2022年までにコンポスト化でき、またリサイクル可能なペーパーカップを開発する。

2021年末までにプラスチック製ストローを廃止する。

2020年度には、Closed Loop PartnersとNextGen Consortiumとのパートナーシップを通じて、100%コンポスト化でき、リサイクル可能なペーパーカップの開発という目標に取り組みました。また、2020年度には新たに5つの地域でスターバックスのペーパーカップがリサイクル可能になりました(ミシガン州ケント郡、ミシガン州ランシング、サウスダコタ州スーフォールズ、フロリダ州セントルーシー郡、ジョージア州アセンズ郡)。これまでの13の地域(シアトル、ワシントンDC、デンバー、ニューヨーク、サンフランシスコ、ボストン、ケンタッキー州ルイビル、ダラス、バンクーバー、ロンドン、アムステルダム、テネシー州チャタヌーガ)に加わる形です。カナダでは、リサイクルしやすいごみ箱などの設備に投資しています。

使い捨てプラスチック製品から転換し、容器包装にリサイクル素材を使用することを推進してきた結果、スターバックスのペーパーカップには再生繊維が10%含まれるようになっています。2020年度には、プラスチックが廃棄物にならないサーキュラー・エコノミー(循環経済)のビジョンを提唱するエレン・マッカーサー財団の「新プラスチック経済グローバル・コミットメント」に参画しました。これにより、私たちは以下のことを実行します。

・2025年までに、問題のある、あるいは不必要なプラスチック製の容器包装を廃止するための行動を起こす。

・2025年までに、重要な領域において使い捨てから再利用モデルへ移行する行動を起こす。

・2025年までに、プラスチック製の容器包装の100%を再利用可能、リサイクル可能、あるいはコンポスト化可能なものにするための行動を起こす。

・2025年までに、すべてのプラスチック製の容器包装に5%から10%のリサイクル素材を使用する。

年間10億本を提供しているプラスチック製ストローを廃止する取り組みは、2021年の目標を達成する見通しです。2020年度、アメリカとカナダでストローが要らないリッドの提供を開始しました。これはホットドリンク用のリッドをモデルに作られたもので、これまでアイスビバレッジで使われていたリッドとストローに比べてプラスチックの使用量がおよそ9%少なくなっています。従来のプラスチック製ストローとは違い、ストロー不要のリッドはアメリカとカナダの多くの地域でリサイクルが可能です。また、廃棄物処理のより良いインフラ構築を呼びかけるため、米国プラスチック協定にも加盟しました。

店舗と地域に再生可能エネルギーを

世界全体で72%を再生可能エネルギーで運営

目標:2020年末までに、世界中のオペレーションにおいて電力を再生可能エネルギーに100%転換するべく投資する

アメリカ、カナダ、ヨーロッパでは直営店舗の100%、全世界レベルでは72%の直営店舗をまかなえるだけの再生可能エネルギーを調達しています。中国や日本では市場の制約があり、2020年の目標達成に課題が残りますが、アジアの地域でも再生可能エネルギーへのアクセスは増えつつあり、RE100のメンバーとして、世界全体で100%を目指し続けます。

2020年度の優先課題は、アメリカ国内の再生可能エネルギープロジェクトを拡張していくことでした。そのため、私たちはグリーン電力を使っている店舗付近の送電網に再生可能エネルギーが届くよう支援してきました。スターバックスの事業規模を利用して、電力業界全体の変革を推進し、店舗だけでなく店舗周辺の地域を支援してきました。

・ニューヨーク州では、スターバックスは9,700万ドル近くを最大23地域の太陽光発電プロジェクトに投資しました。これは、太陽光エネルギーを24,000以上の家庭や中小企業、非営利団体、教会、大学、そしてスターバックスの店舗に供給するものです。

・バージニア州では、2022年までにアメリカ国内で私たちが運営する焙煎工場やビバレッジの製造工場の電力消費の50%をオフセットする太陽光発電所との合意に達しました。

・カリフォルニア州では、ソーラーパネルを設置した初の次世代型店舗をオープンしました。また、バーチャル電力購入契約(VPPA)とバーチャル蓄電契約(VSA)を通じて、少なくとも550のスターバックス店舗に太陽光エネルギーと蓄電池を利用した再生可能エネルギーの供給が可能になります。

・本拠地ワシントン州では、風力発電の新たなプロジェクトから再生可能エネルギーを調達、州内140の店舗とケントの焙煎工場、その周辺の広い地域に供給しています。

Greener stores環境配慮型店舗

現在2,317店舗

目標:2025年までに全世界でGreener Storesの枠組みに沿った店舗を10,000店開発、運営する。

世界自然保護基金(WWF)とのパートナーシップとNGO(民間活動団体)との協業によって構築されたオープンソースの枠組みStarbucks Greener Storesを通して、小売業における設計や建築、運営についての新たな基準を作りました。店舗の認証を始めて2年目となる2020年度には、Greener Storesのネットワークに加わる店舗数は3倍となり、アメリカとカナダを合わせて2,317店舗となりました。新型コロナウイルスの影響で遅れている地域もありますが、おかげで初年度からの学びをもとに基準を最適化し、店舗のポートフォリオの多様なニーズを反映させる機会になりました。パートナーの間で高まりつつあるサステナビリティへの関心やモチベーションの向上もあって、エネルギーの効率化やリサイクルなどの面でGreener Storesの基準を定着させ、さらなる改善が見られた店舗もあります。

Greener partners環境にやさしいパートナー

Greener Apronに28,000人のパートナーが参加

目標:2020年末までに10,000人のパートナーがサステナビリティの擁護者となるよう後押しをする。

パートナーの間でサステナビリティへの関心が高まり、全世界で28,000人以上がスターバックス・グローバル・アカデミーのサステナビリティトレーニングプログラムGreener Apronに参加しています。これからもパートナーがサステナビリティに関わる機会を広げていきます。環境にやさしい行動へのパートナーの関心を高め、実践を促していくことが、スターバックスのサステナビリティに関する目標の達成に寄与すると信じているからです。

原文へのリンク(英語)

https://stories.starbucks.com/stories/2021/gesi-report-2020-planet/