森も人も持続可能に。スターバックスが選んだ「FSC®認証」とは?
カップからデザートボックスまで。幅広く使われている「FSC®認証紙」
白色の紙に緑のインクで描かれた、スターバックスの象徴である「サイレン」の姿。おなじみのスターバックスのペーパーカップです。
みなさんはその背面にある、木をかたどったこんなマークを目にしたことはあるでしょうか?
このマークは、その紙製品が国際的な森林認証制度のひとつ「FSC®認証」を取得したものであることの証です。
2013年、スターバックス コーヒー ジャパンは環境負荷と向き合い、その軽減策を考える中で、「紙の調達方針」を策定。ペーパーカップや持ち帰り用のペーパーバッグ、ペーパーナプキン、ドリンクに使うミルクパックやソイミルクのパックなど、幅広い紙製品にFSC®認証紙の導入を進めてきました。
さまざまな立場のメンバーが集まって確立した、原則と基準
ではそもそもFSC®認証やFSC®認証紙とは、どのようなものなのでしょう。
「まず『FSC®認証』とは、森林の持続可能な活用や保全につながる、国際的な認証制度のことです」
FSCジャパン広報担当の河野 絵美佳さんに聞きました。
FSCの正式名称はForest Stewardship Council®️、日本語では『森林管理協議会』と訳されます。協議会と名付けられているとおり、認証の審査基準はFSC内部ではなく、会員の議決のもと決められます。またその会員は、社会・経済・環境それぞれの立場から参加する個人や法人で構成されているそう。
「『森林の持続可能性を求める』ということだけでなく、幅広い視野での森林管理の評価・認証が行われているのが大きな特徴です。認証の条件には、労働者の権利や地域社会との関係なども含まれているんです」
紙製品が「FSC®認証」を受けるために。求められる2つのステップ
では、「FSC®認証紙」のように、森林そのものではなく製品に与えられる認証とは、どのようなものなのでしょう。
「製品が認証を受けるには、森の認証に加えて、管理から加工、流通といった過程の認証も併せて2つの認証を取得することが必要です」と、河野さん。
ペーパーカップをはじめ「FSC®認証紙」のマークが表示されている紙製品はすべて、この2つの認証のための基準をクリアしたもの、というわけです。
そのためには、森林、製紙、流通など関わる人すべての協力が不可欠です。
とても厳しい基準ですが、だからこそ、世界の環境団体から信頼される認証制度として高い評価を得ています。
今では紙製品の多くがFSC®認証紙と再生紙に。スターバックスが取り組むことの意味
現在の紙の調達状況について、担当する普川 玲さん(エシカルソーシング・サステナビリティチーム)は、 「調達量の多いものからはじめて、今では主な紙製品では切り替えが完了しています」と言います。
一方、FSCの河野さんはスターバックスの取り組みをこのように評価します。
「主な紙製品を認証紙と再生紙に切り替えてくださっていることは、その事業規模から考えても、社会にとって大きなインパクトとなり得ます」
日本でも少しずつ広がっているFSC®認証紙ですが、スターバックスが調達方針を定め、導入を開始したのは2014年のこと。
「スターバックスのような企業に、時代に先んじてFSC®認証紙を選んでいただいたことは、国内の多くの企業にも確実に好影響をもたらしていると思います」(河野さん)
一番は、使用量を減らすこと。「使うならFSC®を」。伝える活動をこれからも
こうして、可能な限りの目標を達成し、紙に関わるスターバックスの取り組みは次へ進む段階に。その方向性について、普川さんは大きく2つあると言います。
まずひとつは、できる限りの工夫で紙の使用そのものを減らすこと。
スターバックスは日本での開店以来、タンブラーなどを利用いただくと資源節約のお礼として20円引きとなるサービスを続けてきました。2019年からは、気軽にリユースをはじめることができるリユーザブルカップの販売も開始。「捨てない容器」の選択肢を広げて、繰り返し使うスタイルの定着をめざしています。
もうひとつは、FSC®認証の存在を伝えるお手伝いをしていくことです。
「FSC®認証紙を使う企業のひとつとして、多くの方がこの認証を知るきっかけとなるよう、まずはパートナー(従業員)が理解することが重要です。パートナー向けのサステナビリティ教育のeラーニングがあるのですが、その中でFSC®認証のしくみや意義を伝えるコンテンツを用意しています。一人ひとりのパートナーから、お客様にFSC®認証の価値が伝わることを目指しています」(普川さん)
今できるより良い選択とは何か考え、選びとること。スターバックスの取り組みは、これからも続いていきます。