「借りるカップ」どう広げる?店長が考えるリユースの未来


スターバックスのサポートセンター(本社)に6月19日、東京都内と名古屋市内の38店舗のストアマネージャー(店長)が集い、「借りるカップ 店長サミット 2024(以下、サミット)」を開催しました。これからもビジネスのコアにあるコーヒーを届け続けるために、コーヒーを育む地球のために、日々の一杯からリユースを楽しむ未来をつくりたい。そんな想いで開かれたサミットの様子をお届けします。

「借りるカップ」、なぜ必要?

スターバックスは2021年から、カップを「借りて・返して・再利用する」循環型プログラム「借りるカップ」の実証実験を行っています。2024年7月現在、丸の内・大手町、渋谷・大崎・目黒エリア、愛知県名古屋市内の計38店舗で実施。繰り返し使える専用のステンレス製タンブラーを借りてドリンクを注文し、スターバックス38店舗を含む計42店舗でどこでも返却できるシステムです。スターバックスは「リソースポジティブカンパニー」を目指し、グローバルで掲げる「2030年までにCO2排出量、水使用量、廃棄物量の50%削減(2019年比)」の目標を達成するため、「借りるカップ」を含むリユースを推進しています。

この日集まったのは、「借りるカップ」を導入している店舗の店長たち。サミットの目的は、各店舗の経験や知見を共有し、それぞれが自信を高め、「借りるカップ」やリユースを楽しむ未来を共に考え、ポジティブな変化を起こしていくことです。冒頭、丸の内三菱ビル店の白石さんによるコーヒー テイスティングでサミットはスタート。白石さんが選んだ豆は「スターバックス® ルワンダ」です。

ルワンダ東部の新しい世代の生産者グループによって栽培されたこのコーヒー豆を選んだ理由は、「未来への一歩を代表するコーヒー豆」だから。「サステナビリティは“今が痛い”わけではない。けれど、だからこそ持続していくことの大切さ、未来を想像すること、こうできたらいいなという“Want”の部分を持つことが大切だと感じています」と、想いを語りました。

水口貴文CEOも登壇し、取り組みの意義をこう話しました。

「リソースポジティブカンパニーを目指して、廃棄物等を削減する上で、『借りるカップ』はとても重要。リユースの文化をスターバックスがリーダーシップをもって日本でさらに広めていくことはとても意味があることなので、ぜひ挑戦していきたいと思っています。自分たちの子どもや孫の時代に住みやすい世の中を作るために、今、一人ひとりがやることがすごく大事です」

では、その「借りるカップ」を広げるために、パートナー(従業員)たちはどのような考えを持ち、取り組んでいるのでしょう。サミットで発表されたベストプラクティス(好事例)からご紹介します。

店舗の特性を生かして「借りるカップ」提案

日ごろのお客様とのコミュニケーションや自身の体験をきっかけに、店舗の特性に合った方法で「借りるカップ」を提案しているのは、多くの企業のオフィスも入る高層ビル内にある大手町プレイス店。華やかな見た目も楽しめるフラペチーノ®をオーダーするお客様、業務中にフラペチーノを飲むことは周囲からの目線が気になるという声にヒントを見出します。「借りるカップで、フラペチーノ®を楽しんでみませんか」。そんな提案を店舗のボードで掲示して、声がけをしていきます。それをきっかけにこの店舗での利用数も増えていき、お客様の声からひらめいたと村山さんは振り返ります。

次に注目したのは、高い「保冷、保温」の機能面です。村山さん自身も使ってみて、お気に入りのビバレッジを長時間楽しめた経験から、お客様へ自分の言葉で利用促進を行います。「フラペチーノ®が溶けずに最後までおいしく飲めました」と保冷効果とともにご提案すると、反響があり、利用者数も増加。カップの利点を自ら体験し、パートナーと共有することで、お客様に自信を持っておすすめできるようになります。

「借りるカップ」はお客様へ使い方のご説明、貸し出しや返却の対応など通常の業務より少し時間を要します。しかしそれを、お客様とパートナー双方にとってポジティブに捉えて、利用を推進しているのが渋谷ストリーム店。「借りるカップ」に対して、ビジョンや利点を整理し、さらにもたらされた変化を明確にパートナーに伝えていきました。「借りるカップ」の提案によって、リユース率が向上し、ポジティブな変化をお客様に伝えることができ、「お客様とスターバックスとのエンゲージメントが向上し、お客様にまた店舗を訪れていただける。そしてそれが、パートナーのやりがい、ここにいる理由につながっていきます。店舗のみんながチャレンジに対して、変化を受け入れて共に前進してくれている」と熱く語りました。

サミットで得た知識を店舗へ。いつもの一杯から未来をつくる

ベストプラクティスの発表を受け、8班に分かれて行ったディスカッションも盛り上がりました。「借りるカップ」にまつわる失敗談や課題を出し合い、その解決方法をさまざまな観点からみんなで積極的にアイデアを出し合いました。その一部をご紹介します。

多く出たのは、お客様に「借りるカップ」の良さを知っていただき、使っていただくきっかけを作ることが大きな一歩になるという声。スターバックスの一部の店舗でしか導入していないこともあり、まだまだ認知が広がっていません。「テイスティングの際に、『借りるカップ』をお勧めしてみる」「(お客様が多く来店する)忙しい時間にこそお勧めしてみる」「カップの体験機会を設ける」という案が次々出てきます。

利用率を拡大するためには、お客様へいかに興味を持ってもらうかも大切。「保冷・保温機能が高いなどカップの性能を伝える」「1人3つまで借りられるので複数人分も持ち帰ることができる」という、サステナビリティ以外にも利点があることをアピールしようという意見が続きました。

システム面では、「借りるカップ」の加盟店ではない店舗へカップが返却されるケースがあるという悩みも。それに対し「アプリで調べられることをきちんと伝える」「スマホとカップを持っているお客様に積極的にお声がけする」と、案内方法の工夫について語られました。

こうしたディスカッションやベストプラクティスの発表を通し、改めて目的を共有したパートナーたち。数時間のサミットの中で得た新たな気づきを店舗に持ち帰り、すぐにできることから取り組みを始めていきます。「借りるカップ」はもちろん、スターバックスでは店内利用のマグカップや樹脂製グラス、マイタンブラーの利用など、持ち帰りでも店内利用でも多様なリユースの選択肢をご提案しています。10年、20年先の未来ために、今日の一杯から、すぐにできる“リユース”という選択を始めてみませんか。

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バリスタの想いが詰まったスターバックス カードが登場