青とオレンジのグラデーションが想いをつなぐ。JIMOTO Made+新作は琉球ガラス


スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京(以下、ロースタリー 東京)が日本の工芸・産業を、地域の文化、職人の情熱や技術と共に全国へ発信する「JIMOTO Made+」に、5月10日(火)から沖縄・糸満発の琉球ガラスが加わりました。その商品を生み出す工房を訪ねました。

沖縄の陽光を表現したグラス

JIMOTO Made+ 糸満 琉球グラス 陽」(右)と「JIMOTO Made+ 糸満 琉球グラス 空」(左)

水色とオレンジの2色が美しいグラデーションに混ざり合う、新商品「JIMOTO Made+ 糸満 琉球グラス 陽」と「JIMOTO Made+ 糸満 琉球グラス 空」。中央にはグラスを包むように琉球ガラスの特徴である気泡が浮かんでいます。飲み口はあえて不均一にした、手作りの風合いのあるデザインです。

この2色は、沖縄とロースタリー 東京をつなぐ色。オレンジ色は沖縄の朝夕の陽光をイメージし、またコーヒー豆の色ようにも感じます。空をイメージした水色は出会いの色とされているそう。沖縄とロースタリー 東京の出会い、お客様と琉球ガラス、ロースタリー 東京での人々の出会いへの願いが込められています。

「この色を表現するのがとても難しく、今日に至るまで色のレシピを検討してきました」とは、この商品を作る琉球ガラスメーカー・株式会社RGCの常務取締役・川上英宏さん。同社は約30年前に8つの工房が合併・設立した協同組合が前進で、工房は「琉球ガラス村」として一般公開するほか、体験教室、ギャラリーなど琉球ガラスの魅力を発信しています。

沖縄の歴史と共に変化する琉球ガラス

沖縄本島最南端、糸満ハーレーが有名な海人の町・糸満市に、琉球ガラス村はあります。中央にガラスを溶かす溶解炉を据えた工房では、7~8人の職人たちが長い吹き竿を持ち、炉からの熱風の中で黙々と作業しています。

琉球ガラスというと青や赤といった鮮やかな色合いと、ガラスにまとう気泡が特徴ですが、それは「時代を生き抜くために変化してきたから」だと川上さんは言います。

沖縄でガラス製造が始まったのは明治時代末期といわれ、昭和初期には島民の生活用品が作られていました。今の琉球ガラスの形となったのは、第二次世界大戦後の物資不足の中、米軍が廃棄する大量の空き瓶を原料としたことがきっかけです。瓶を溶かして作るガラスには気泡が入りやすく、その気泡をデザインとして生かしたのだそうです。

商品としても駐留米軍の婦人たちのオーダーメイドを、本土復帰後は観光客の土産品としての需要を伸ばします。このように沖縄の歴史と共に歩んできたのが、琉球ガラスなのです。

職人のチームプレーで生まれる2色のカラー

琉球ガラス村では、職人育成のために4~5人のチームを編成して商品を制作します。1300℃を超える溶解炉には複数のるつぼがあり、それぞれにガラスと、異なる色の原料が溶かされています。現在の琉球ガラスは廃瓶ではなく、珪砂、ソーダ灰、石灰を原料としたソーダガラス。そこに色の原料を加えています。「JIMOTO Made+ 糸満 琉球グラス」の特徴と共にその工程を見ていきましょう。

まずは琉球ガラスらしい、気泡。

透明のガラスを吹き竿にとり、重曹をかけると気泡ができます(工房によって気泡を生む元は異なります)。

「今回は帯状にデザインされるよう、上下の余分な重曹をふき取っていくというひと手間を加えています」(川上さん)

美しい2色のグラデーションは、異なる色のガラスを合わせることで生まれます。

透明のガラスの上に水色のガラスを巻き取り、別の職人が巻き取ったオレンジのガラスを竿から竿へ、水色のガラスの上に巻き付けるように渡していきます。それを成形炉で熱して溶け合わせながら型吹きをし、U字型の洋ばしなどで成形します。

しかし、成形中のガラスは高熱の光の玉。完成するまでどのように発色するかは分かりません。

「特にオレンジなどの暖色は温度や湿度などの影響を受けやすく、望む色を出すことが難しいんです。炉で溶かす原料の量でも変わってしまうので、1年ほどかけて調整を続け、表現したい色に近づけていくことに職人たちはとても力を入れました」(川上さん)

温かみのある飲み口は、口元をハサミで波状に切って不均一さを表現します。そして、洋ばしなどで全体的な形を整えながら仕上げます。

手で触れられないため、竿ですくい取るガラスの量、グラスの厚みなど、すべてが職人の感覚、手作業です。そうした感覚をひとつにまとめ、商品の均一性を担保するため、商品の仕上げはすべて6代目工場長を務めた我謝良秀さんが行います。我謝さんは、引力や遠心力を利用しながら手作業で行うガラス作りの難しさをこう語ります。

「オーダーメイドは作り手の個性を言い訳にはできません。ハンドメイドのぬくもりは残しつつも、1個の重さや容量、デザインには均一性が求められます。オレンジと水色の濃度や面積のバランスは幾度も検証し、巻き取りや巻き方も均一化を図るために試行錯誤を重ねました」

透明に色を重ね、色に色を重ねて沖縄とロースタリー 東京を結ぶグラデーションは、職人たちの感覚と緻密な技術の融合で生み出されています。

炉の火を絶やさず、技術を継承していくために

工房で赤々と燃える炉は、24時間365日、火を焚き続けます。しかし創業以来、炉の入れ替え以外で初めて途絶えたことがあります。コロナ禍です。観光客が激減し、やむなく休業。火の消えた炉の前には、落胆する職人たちの姿があったそうです。再び火の入った炉と共に息を吹き返す職人たちを見て、「当たり前に作ることができる幸せを、改めて実感しました」と川上さんは振り返ります。

人の流れが戻った今、職人たちは「世界にファンのいるスターバックスのように、このグラスも世界中のファンに広がるように」と、JIMOTO Made +への想いも深いそうです。戦争で島内の工房が焼失した時も、コロナ禍で火が消えた時も、再生できたのは技があったからこそ。

「ガラスはいろいろな形で残っていい。我々はその技、ノウハウを継承していくために、モノ作りを続け、受け入れられる商品を作らなければいけないと思っています」

琉球ガラスとロースタリー 東京がつながって生まれた「JIMOTO Made + 糸満 琉球グラス」。技が継承されるように、竿から竿へガラスが受け渡されるように、琉球の技と想いをあなたのもとへ届けます。

■JIMOTO Made+
https://www.starbucks.co.jp/reserve/roastery/onlinestore/jimoto_made_plus/

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JIMOTO Madeの新作が伝える、備前焼1000年の伝統