“新抹茶”をスターバックス ティー&カフェで。今だけの味わいを楽しむ


ティーに特化したスターバックス ティー&カフェ(以下、ティー&カフェ)に鹿児島県南九州市から、初夏の香りが届きました。初摘みの茶葉からできた、新抹茶です。5月13日(月)より全国14店舗で、抹茶のドリンクすべてが新抹茶に変わります。今だけの贅沢な味わいが、南の大地でどう育まれ私たちのもとに届くのか、生産者の方を訪ねました。

旬の味わいを楽しむ“新抹茶”

鹿児島県の茶葉(荒茶)の生産量は、静岡県に次ぐ日本第2位で、なかでも最も多くの生産量を誇る南九州市産の緑茶は「知覧茶」として有名です。温暖な気候から、4月上旬に初摘みがスタートし、“走りの新茶”ともいわれます。

抹茶の原料である茶葉は、通常、摘採後に碾茶(てんちゃ・抹茶の原料のこと)加工したら保管・熟成し、石臼で挽かれて抹茶になります。熟成することでまろやかな味わいに仕立てられていますが、最近では、初摘みした茶葉をすぐに抹茶に加工して楽しむこともできます。今回、ティー & カフェでは、ファンのお客様が多い抹茶に新たな楽しみ方の提案として、「いつもの抹茶とはまたひと味違う“旬の抹茶を楽しんでいただきたい”という想いから初めて提供することになりました」と、商品開発を担当する商品本部ビバレッジ部の矢野さんは言います。

「新抹茶は、一番茶の力強い風味を楽しんでいただけます。茶人の正月とも言われる“秋の口切の茶事”など、昔ながらの風習もありますが、現在は新鮮なまま輸送する技術があるので、新米、新蕎麦などのように、抹茶でも新茶を楽しんで季節を感じていただきたいと思っています」

温暖な気候とシラス台地が育む南九州の茶葉

この新抹茶の原料となる茶葉の栽培から、荒茶碾茶(最終加工前の茶葉)への加工まで手掛けるのが、南九州市頴娃町にある小磯製茶です。訪ねたのは、4月上旬。青空の下、開聞岳を望む広大な茶畑一面に青々しい茶葉が芽吹き、一番茶の茶摘みが始まっていました。茶農家にとって、一年でいちばんの大仕事です。

「この火山灰土壌が茶の栽培に合っているんです」とは、代表の小磯雅一さん。火山灰を含むシラス台地の土壌は水捌けがよく、また温暖な気候から茶の大敵である霜害のリスクも低いなど、この辺りは茶の栽培に適しているそうです。

特に大切にしているのは、茶の木が持つ力を信じることです。

「植物は意外と強くて、どこかが悪くなってもいい状態に戻る力があります。かわいいけれど手を加えすぎず、その力を信じて、基本は自然に任せたいと思っています」

と言いながらも、「微生物が育つよう、程よく水分も保てないといけません。土壌の成分を分析し、たい肥を与えるなど改良を続けています」と、茶の木が力を十分に発揮できる環境の整備にも力を入れています。

碾茶用の茶葉の栽培では被覆栽培といって、新芽が出ると茶の木を黒いシートで覆い、10~14日間ほど日光を遮断します。抹茶の美しい緑色は、この被覆栽培が理由です。

「シートを2枚被せて85%くらい日光を遮ります。そうすると、茶葉は少ない光の中で光合成しようとするので葉緑素が増し、緑が濃くなります。さらに旨味成分のアミノ酸値も上がります」

その黒いカバーを、従業員の皆さんが長い棒に巻き付けながらはずしています。すると、下から深い緑色をした茶葉が顔を出します。柔らかな、新芽の一番茶です。

そしてすぐに摘採しますが、ここで登場するのが乗用型摘採機です。茶畑の畝と畝の間を、乗用型摘採車がゆっくりと進みながら丁寧に茶葉が刈り取られていきます。これは鹿児島県で開発された茶摘みの機械で、平地での栽培が多い鹿児島県では30年ほど前から広く普及し、茶の生産を支えています。

「この風景を残したい」と小磯さんは言います。

「一番茶の今の時期のために、農家は一年をかけて育てています。頴娃町は、お茶産業と地域がひとつになっているので、地域の事を考えながら生産することを大切にしています」

子どものころから当たり前にあるこの豊かな茶畑を愛情深く見守り、手を入れ、育てています。

今年の味わいを楽しむ、それが新抹茶

摘採した碾茶は、碾茶の荒茶加工のため工場へ運ばれます。茶葉を100~120℃の蒸気で20~30秒という短時間で蒸した後、碾茶炉でゆっくりと乾燥させます。この状態が荒茶です。荒茶は茶問屋に運ばれ、碾茶の仕立茶、そして抹茶へと加工されます。

ポイントは乾燥です。小磯製茶の碾茶炉は煉瓦式です。煉瓦で出来た炉の中は90~100℃に保たれています。

「火や熱風を当てるのではなく、煉瓦の輻射熱で乾燥させることで、香りがふくよかになるんです」と小磯さん。

炉の中は温度帯が異なる4段に分かれ、茶葉をベルトコンベアーで移動させながら、約20分かけてじっくりと乾燥させます。

炉から出てくる茶葉は、熱気と共に青々とした香りをまとっています。手に取って香りを確認し「うん、いいんじゃないかな」と小磯さん。ここで、今年の一番茶の出来がわかるそうです。

「お茶は自然に育まれるものだから、毎年、出来が異なります。それをどのタイミングで摘採し、どう加工するのか、“その年にできる最高のものを作る”という気持ちで取り組んでいます」

特に新茶は、気候などの影響が風味に表れやすいそうです。

「それが新茶を楽しむ面白さだと思います」と小磯さんは言います。今年はどんな味だろう?そんなふうに、毎年その時だけの味わいを楽しめるのが新茶の醍醐味なのです。

「抹茶だけでなく、新茶は渋みや苦みも含めてダイレクトにお茶本来の味が楽しめるものです。ミルクなどと混ぜてもお茶の風味がしっかり残る力強さがあると思います」

ティー&カフェで新抹茶が楽しめるのは、定番ドリンクの「和三蜜 抹茶 ティー ラテ」「和三蜜 抹茶 フラペチーノ®」に加え、4月に登場した初夏限定の「抹茶 & クラッシュ ピスタチオミルク ティーラテ」の3種類です。一年の自然の恵みを感じながら、旬を味わってみませんか。



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桜島を眺めながらコーヒーを。受け継がれるパートナーたちの想い(鹿児島県)前編