こども食堂とのつながりを通じて地域を笑顔に――「Be a Santa ドネーションプログラム」 2025年度のご報告
2022年に始まった「Be a Santa ドネーションプログラム」。スターバックス® リワード会員の皆様から寄せられたStarの寄付と売上の一部で、ホリデーシーズンに全国のこども食堂へお菓子のギフトを届けています。
4年目となる2025年は、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえを通じて11,839,960円相当のホリデーギフトを47都道府県、計790か所のこども食堂へお届けし、約44,000人の子どもたち、そして地域のみなさまへプレゼントすることができました。そのうち50か所にはパートナー(従業員)がサンタに扮し、直接ギフトをお届けするためこども食堂に訪問し、バリスタ体験など地域のみなさまの笑顔につながる体験を行いました。


今回は、茨城県つくば市のこども食堂「筑波大生による、みんなの食堂」に訪問した際の様子をご紹介します。
学生がつくる地域の居場所
「筑波大生による、みんなの食堂」、通称・つくしょくは、筑波大学の学生が主体となって運営されているこども食堂です。会場となっている「ダイニングバー クルーズ(以下、クルーズ)」でアルバイトをする学生たちが地域のためにできることを模索し、バーのオーナー・渡辺さんの協力を得て2023年にスタートしました。毎月第2水曜日に、高校生以下は無料、大人は300円で食事を提供しています。
部活や習い事の帰りに子どもだけで来る子もいれば、上階のカラテ教室の後に親子で立ち寄る人たちもいて、地域の居場所として親しまれています。相席をきっかけに、親世代の新しい交流が生まれるなど、大人にとっても安心できる場所となっています。

扉を開けると、店の小上がりへまっしぐらに向かい、「これこれ!」とオモチャを出す1歳・3歳・5歳のきょうだい。「大学生の方たちが子どもと一緒に遊んでくれるんです。お兄ちゃん、お姉ちゃんと遊べることをみんな喜んでいて」と、きょうだいのお母さんが教えてくれました。
「次は来てねー!」とSNSにメッセージを録音する子どもの姿も。会いたかった大学生のお兄ちゃんがこの日は不在で、ほかの学生を通じてメッセージを送ったのだと、少しむくれながら教えてくれる様子が愛らく映りました。
サンタと一緒に。笑顔がひときわ輝くバリスタ体験
この日は、子どもも大人もグリーンエプロンを身につけ、スターバックス コーヒー 筑波大学附属病院店のパートナーと共にバリスタ体験とコーヒーかすの抽出液でペインティングを楽しみました。
好みのフレーバーのスターバックス ヴィア®を選び、お湯で溶かします。ミルクフォーマーを使って自分で泡立てたミルクを注げば完成です。真剣な顔、ミルクが飛び散って驚いた顔、おいしい~と満足そうな顔――くるくる変わるみんなの表情が印象的でした。

ペインティングでは、小さな画伯たちが雪だるまやツリー、トナカイなどを用紙いっぱいにのびのびと描いていました。これらの作品は、スターバックス コーヒー 筑波大学付属病院店で2026年1月中旬頃(予定)まで飾らせていただいています。(2025年12月29日~2026年1月3日は休業)

体験を終えた人から順に、みんなの大好きなカレーの時間が始まります。店の軒先では大学生たちが餃子を焼き、「3つほしい!」「いっぱい食べてね~!」という元気な声も聞こえてきます。

食事を終えても遊び続ける子どもたちや、会話の弾む親の姿と、イベントらしいにぎやかな時間の締めくくりには、パートナーが一人ひとりにホリデーギフトを手渡しました。
今年のギフトはポテトチップス シーソルト、キャラメルポップコーン&プレッツェルや、活動にご賛同くださったネスレ日本株式会社様から寄付いただいた「キットカット」の詰め合わせでした。

子どもも大人も、大学生もパートナーも笑顔に包まれ、地域の温かな交流が広がった時間に、「幸せな気持ちでいっぱいになりました」と教えてくれたのは、パートナーの吉田さんです。
「最初は何をやるのかなって不安げだった子も、体験を通じて達成感を味わって、カレーを食べて帰るころには表情が変わっていて、その姿がとてもうれしかったです。学生さんたちが力を合わせているのも素敵ですね」と、心を動かされていました。

多様な力が集まれば、支援は彩りを増す
子どもが一人でも行ける無料または低額で食事を提供するこども食堂は全国で1万2,000か所以上あり、今では孤立を防ぎ交流を育む地域住民の居場所として大きな役割を果たしています。全国的に物価高や人手不足が課題ですが、つくしょくでは大学生の力が大きな支えになっています。
クルーズのアルバイトは代々、筑波大生。彼らと共に同じ大学のボランティアサークルも協力し、運営を支えているのだと、つくしょくの運営にスタート当初からかかわっている濱田さんが教えてくれました。濱田さんは今年度卒業を迎えますが、後輩へ活動を引き継ぐ仕組みも整えられ、学生の力が受け継がれているそうです。さらに市の補助金や企業からの食材の寄付、オーナーの人脈を通じた米や野菜の提供も運営を支えています。

ここがみんなの居場所になっていることにやりがいに感じている反面、「本当に支援が必要な人には届いていないのではないか」という想いも抱えているそうです。
「ひとり親世代に食材支援も行っているのですが、ここまで取りに来てもらうこと自体が難しいという方々もいらっしゃることがわかってきました。車がない、電車賃がない、時間がない、子どもが多くて外出できない…そうした想像しきれていない事情もあるのかもしれません。
例えば、物理的な距離の問題だけでも解決できるように『このエリアにはこども食堂が少ないからここにもうひとつつくろう』というように、こうした居場所がもっと広がったらいいなと思います」
また、今回のスターバックスの取り組みを通し、企業が果たす役割の大きさをあらためて感じています。
「つくしょくでは、カレーと餃子が定番メニューです。月1回だから毎回同じメニューでも子どもたちは楽しんでくれていますが、それは食材を寄付してくださる企業が同じであるという背景もあります。もしより多くの企業が協力してくだされば、子どもたちに提供する料理も楽しんでもらう内容も、いっそう多彩になるのではないでしょうか」と、多くの力が重なり合い、彩りがさらに豊かになることを願っていました。
スターバックスの取り組みもそんな彩りの一部となれていたらうれしいと、きっとパートナーたちも感じていることでしょう。今回の取り組みを終えて、ストアマネージャー(店長)の飯田さんにも話を伺いました。

「子どもたち、そして地域のみなさんがここに来ることを本当に楽しんでいることが伝わってきます。自分の子どもに加えて、その友達も一緒に連れてくる親御さんもいて、そんなつながりにこちらも自然と笑顔になります。私たちの店舗は病院内という立地のため、必ずしも楽しい気持ちで訪れる方ばかりではありません。だからこそ、よりいっそう笑顔や温もりを届けることに、大きな意味があるのだと改めて感じました」と、こども食堂のあり方に大きな刺激を受けているようでした。
今年も皆様の一杯に込められた想いが集まり、日本各地にたくさんの笑顔があふれる時間を届けることができました。パートナーも力をもらった大切な一日を胸に、この活動をつないでいきます。