アジア太平洋地域のバリスタが情熱の舞台へ。一杯に込めた、それぞれのストーリー
一杯をもっとおいしく、もっと豊かな体験として届けるために、スターバックスのバリスタは日々技術や知識を磨いています。
その成果を発揮する舞台が、アジア太平洋地域のスターバックスのパートナー(従業員)が集う大会「Regional Barista Championship(RBC)」です。日本を含む13の市場を代表するバリスタたちが、最高の一杯を届けるために磨いてきた技術と情熱を披露しました。
バリスタの技術と情熱が交差する舞台
2016年に初開催され、今年10周年を迎えたRBC。今大会は2026年9月30日から10月2日にかけて、フィリピンの首都マニラで開催されました。

大会には、アジア太平洋地域の13市場(日本、オーストラリア、カンボジア、香港・マカオ、インド、インドネシア、韓国、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)から25人のバリスタが参加しました。
RBCでは15分間の競技時間のなかで、プアオーバー(ハンドドリップ)、ラテアート、自身で考案したシグネチャービバレッジをつくり、審査員が評価します。
プアオーバー
評価ポイント:香りや味わい、説明した風味との一致、生産地の知識や伝え方
ラテアート
評価ポイント:ミルクの質、アートのバランス、色のコントラスト、味わい
シグネチャービバレッジ
評価ポイント:素材の組み合わせやコンセプト、エスプレッソの魅力が生かされているか
出場者は黙々とドリンクをつくるだけではありません。コーヒーに関する知識、生産地や生産者など一杯の背景にあるストーリー、スターバックスのバリスタとしてお客様に届けたい価値について英語によるプレゼンテーションを行います。




味わいだけでなく、コーヒーの魅力をどのようなストーリーでお客様に届けるか。RBCは、スターバックスが目指す「最高のコーヒー体験」を追求する舞台です。
日本のトップ4から世界の舞台へ
今回のRBCに日本代表として挑んだのが、山口と渡邉のふたりです。
山口は、日本のパートナーが参加するコーヒーの社内競技会「コーヒー アンバサダー カップ 2025」で優勝し、第19代コーヒーアンバサダーとして活動しています。
渡邉もアンバサダーカップでトップ4に入り、東日本地域のコーヒーアンバサダーを務めています。どちらもその実力が高く評価され、RBC出場を手にしました。


コーヒーの知識や技術を磨いてきた2人にとって、RBCはアジア太平洋地域の代表が集う、さらに大きな舞台でした。
大会に向けた準備が本格化したのは2026年7月。サポートセンター(本社)で週に1回ほど練習を重ねました。コーヒーの味わいを追求するためにレシピを調整し、プレゼンテーションの内容を見直し、器具の配置や動きを何度も確認しました。
目指したのは、ただ上手にコーヒーをいれることではありません。届けたい価値やコーヒーへの情熱をどのように伝えるか。本番に向け、技術と表現の両面を高めていきました。
「おいしい!」を未来へつなぐ
参加者25人のトップバッターとしてステージに立ったのは山口でした。
「Delicious!(おいしい!)」。プレゼンテーションは、この一言から始まりました。
バリスタとして幸せを感じるのは、お客様からこの言葉をいただいた時。そんな「おいしい一杯」に欠かせないものとして、山口は「Quality(品質)」「Discovery(発見)」「Care(思いやり)」を挙げました。

山口はまず、プアオーバーを通じて「Quality(品質)」を表現しました。
コーヒー豆は「コロンビア フィンカ ポトシ ブラック ハニー」。長年にわたり品質向上への挑戦を続けてきた生産者によって育まれたコーヒーです。ブラックベリーやダークチョコレートを思わせる風味や甘さを引き出すため、レシピや注ぎ方を細かく設計し、生産者が追求してきた品質へのこだわりを、味わいとプレゼンテーションの両方で伝えました。

「Discovery(発見)」をテーマにしたシグネチャービバレッジには、コーヒーとの出会いによって世界が広がった自身の体験を込めました。
エスプレッソにルビーチョコレートシロップやエルダーフラワーシロップ、ライムジュース、アップルソーダを組み合わせ、ベリーやマスカット、フローラルな香りが重なり合う複雑な味わいを演出しました。
かつて炭酸入りのコーヒービバレッジに出会い、「コーヒーはこんなにおいしいんだ!」と驚いた自分自身のように、お客様にも新しい発見を届けたい。そんな思いで考案した一杯です。

「Care(思いやり)」を表現したラテアートには、チューリップのデザインを選びました。
過去にチューリップのラテアートを提供したお客様から「あなたの思いやりのおかげでコーヒーが好きになりました」という感謝の手紙をもらったエピソードを紹介し、目の前のお客様を思い、行動することの大切さを語りました。
一杯のコーヒーには、人生を変える力がある
渡邉がステージで語ったのは、自身の人生を変えた一杯のコーヒーでした。
高校時代に「将来なりたい自分」が見つからなかったという渡邉。ある朝立ち寄ったスターバックスで、パートナーから笑顔とともにドリンクを受け取りました。その温かな接客に心を動かされ、自分も周囲の人に優しく接することができたと振り返ります。その経験が、「自分も誰かを幸せにできる人になりたい」という想いにつながり、スターバックスのパートナーになるきっかけになったと語りました。
「一杯のコーヒーには、人生を変える力がある」。そう信じる渡邉が大切にするのは、「Tasty Coffee(おいしいコーヒー)」「Personalization(一人ひとりに合わせた一杯)」「Connection(人とのつながり)」という3つの価値です。

まず渡邉は、プアオーバーを通じて「Tasty Coffee(おいしいコーヒー)」を表現しました。
コーヒー豆は、桃のような果実味と華やかな風味が特徴の「ナチュラル エチオピア チェレレクツ」。一杯のコーヒーの背景にある情熱が、おいしさを生み出す大切な要素だと考える渡邊は、「ナチュラル エチオピア チェレレクツ」の輸出業者が生産者を支援し、品質向上にともに取り組んできたストーリーに共感し、このコーヒーを選びました。

「Personalization(一人ひとりに合わせた一杯)」をテーマにしたラテアートでは、一人ひとりに合わせた一杯を提供することの大切さを伝えました。
お似合いのカップルには大きなハート、ラテが好きなお客様にはチューリップ。相手を思いながら描くラテアートは、「あなたを大切に思っています」というメッセージでもあります。そうした心配りが、一杯を特別な体験へと変えるのだと語りました。

シグネチャービバレッジには、「Connection(人とのつながり)」の温かさを感じ、誰かと分かち合いたくなるような一杯を考案しました。
ピーチシロップやピーチティー、柚子の風味を加えたトニックウォーターに、「ナチュラル エチオピア チェレレクツ」のエスプレッソを注ぎました。
「エスプレッソとトニックは別々の存在です。しかし、組み合わせることで新しい魅力が生まれます。それは、人と人とのつながりと同じです」

舞台を終えて見えたもの
渡邉は準決勝に進出し、ファイナリスト8人に選ばれるという結果を残しました。
「今の自分に出せる力は出し切れたと思います」と話す渡邉。大会を次のように振り返りました。
「一杯のコーヒーには人生を変える力がある、という強い思いをアジア太平洋のパートナーの前で伝えることができたことに意義を感じます」

山口の準決勝進出は叶いませんでしたが、優れたプアオーバーを披露した出場者に贈られる「Best Pour Over Coffee Award」を受賞しました。
コーヒーのおいしさを未来へつなぎたい。その一心で挑んだ山口にとって、受賞は大きな喜びとなりました。
「 “最高においしい一杯を届ける”という生産者の想いを受け取り、それをお客様やパートナーに届けたいと思っていたので嬉しいです。支えてくれたチーム全員の受賞だと思っています」

挑戦の先にあるもの
今回、アジア太平洋地域のバリスタチャンピオンに輝いたのは、香港・マカオ代表のセブンでした。RBCへの挑戦は2度目。前回の経験を糧に学びと練習を重ね、頂点へとたどり着きました。


香港・マカオ市場代表として出場し、優勝したセブン
コーヒーの知識、技術、味わい、そして個人的なインスピレーションを織り交ぜたプレゼンテーションで、素晴らしいコーヒー体験の中核にある「人と人とのつながり」を表現したセブン。大会後、日本をはじめ、各地域のパートナーに向けて、こんなメッセージを寄せました。
「Keep going, keep learning, keep practicing. You will do it. Don’t stop.」
(挑戦を続け、学び続け、練習を重ねること。きっとできるから立ち止まらないで)

舞台に立つ意味は、勝利だけではありません。コーヒーに注いできた情熱、練習で重ねた努力、舞台に立つ勇気、一つひとつに大切な価値があります。
一杯のコーヒーを、よりおいしく、より豊かな体験として届けたい。バリスタたちの情熱は、これからもお客様のもとへ届けられていきます。
