スターバックス初のバリスタ世界大会で、日本代表の2人が1位・3位に！
アメリカ・ラスベガスで、6月9日～11日にスターバックス初のバリスタ世界大会「スターバックス グローバルバリスタチャンピオンシップ2025」が開催され、下出伸喜さんがチャンピオン、菅原孝宏さんが３位に輝きました。歓声と拍手が響き渡り、会場に集うパートナー（従業員）たちがひとつになった、熱い戦いの様子をレポートします。
※出場者プロフィールや競技種目など大会の概要はこちら。
世界87か国のバリスタの頂点を決める大会
スターバックスは2025年現在で世界87か国に4万店舗以上を展開しています。その世界の店舗から中国、日本、EMEA（ヨーロッパ・中東・アフリカ）、アジア太平洋地域、北米、ラテンアメリカ・カリブ地域の６地域のバリスタチャンピオンに加え、世界6カ所のスターバックス リザーブ® ロースタリーから選ばれたバリスタチャンピオン計12名が、この大会に集いました。
2日間にわたるセミファイナルを勝ち抜きファイナルへ進む4名のうちの2名に選ばれたのが、日本代表で2024年アジア・パシフィック リージョナル・バリスタチャンピオンでもある下出伸喜さんと、スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京（以下、ロースタリー 東京）代表の菅原孝宏さんです。名前を呼び上げられると、下出さんと菅原さんは自然と手を伸ばし、力強くハイタッチ！ また、出場者同士が、互いの努力と喜びを分かち合う姿が印象的でした。
そして迎えた3日目のファイナル。約14,000人もの北米のパートナーが集う屋内アリーナでは、通常店とロースタリー店舗仕様のそれぞれのバーが中央にセットされ、開始前から熱気に満ちていました。
競技ではミルクとアートを変えて２種類披露する「ラテアート」、競技者が選んだコーヒー豆で行う「コーヒーテイスティング」、創造性あふれる「シグネチャードリンク」の3つを、８分間という限られた時間の中で全編を通して行います。スターバックスのバリスタがお客様とのコネクトを大切していることは、どの国でも変わりません。競技は単にドリンクを作るのではなく、想いを伝え情熱を表現する内容になっています。
そして審査員は、コーヒーの品質と開発担当SM（シニアマネージャー）、米国第13地域（中部大西洋岸）担当VP（バイスプレジデント）、米国ライセンスストアおよびリザーブ担当ＳＶＰ（シニアバイスプレジデント）、グローバル飲料・食品研究開発担当VP（バイスプレジデント）というそうそうたる顔ぶれです。
ファイナルでの２人の日本代表の戦いをご紹介します。
仲間への想いを胸に。ロースタリー 東京代表・菅原さん
ロースタリー 東京の菅原さんは、2番目に登場。「すがっち、がんばれー！」と、日本からかけつけた応援団からの声援に笑顔でこたえ、競技に挑む菅原さん。日本語で語りかけると、通訳担当者が同じ熱量のこもった英語で想いを伝えます。コーヒーを通したつながり、特に仲間とのつながりを大切にしていることを伝える言葉が印象的でした。
ラテアートを描きながら、「生産地に恩返しをするためにコーヒー豆をたくさん販売することを目標に仲間と共にお客様に想いを届けていたら、1年を通してコーヒーの売り上げが日本一になりました」と語ると、観客からはそれを称える大歓声が。
そして、コーヒーテイスティングで「いれたてのコーヒーを一緒に楽しみましょう」と差し出したのは、この大会で絶対に使いたかったのだという「東京 ロースタリー マイクロブレンド」。なぜなら、菅原さんが所属するマニュファクチュアリングチーム（コーヒー豆の管理や焙煎を行うチーム）がプロデュースしたものだから。
「ロースタリーのパートナーとロースター、そしてシアトルのコーヒー開発チームと一緒に作った特別なものです。こうやって一歩踏み出したことで、みなさんとこの素晴らしいコーヒーをシェアできることをとても幸せに感じています」と、プレスで丁寧に抽出したコーヒーを提供。穏やかな笑顔に、「お待ちいただきありがとうございます」と言葉を添え、一杯一杯を丁寧に差し出しました。
菅原さんのシグネチャービバレッジは、「Tokyo Roastery harmony latte」。ロースタリー 東京のメインバー、ティバーナ、アリビアーモの一体感を表現した一杯です。
東京 ロースタリー マイクロブレンドのダブルショットを入れたマグカップに、りんごシロップを加え、オーツミルクを注ぎます。りんごシロップを加える意外性に、会場から「おおおっ」と感嘆の声がもれました。仕上げに、加賀棒ほうじ茶のパウダーを加えたムースフォームをのせ、マイクロブレンドの黒ゴマのような印象をより際立たせました。
バリスタとして大切にする「warm aftertaste」。日本代表・下出さん
続いて登場したのは日本代表の下出さんです。両手を高く上げるパフォーマンスで会場を盛り上げながら登場し、これまで自身が大切にしてきた「warm aftertaste（温かな余韻）」をテーマに構成したプログラムで、全編を英語で挑みました。
下出さんがラテアートを入れながら語った、彼のコーヒーの原点。
「ある朝、学校の重要なテストの前、疲れてナーバスになっていた僕に、母が一杯のコーヒーを持って部屋に入り、笑ってこう言いました。『ここまでよくやってきたわ、あなたを誇りに思う』。そのコーヒーはパーフェクトではないけれど、自分にとっての最高の一杯になりました。なぜなら、僕を温かくしたから。飲んだ後も何かが僕の中に残りました」
これが下出さんにとってのwarm aftertasteです。こんな一杯をお客様に提供できたら、また来てくれるのではないかと思ったそうです。そして、日本のパートナーが両手でカップを差し出すのは、“あなたのために作った”というメッセージだと語りました。
たくさんのパートナーにこのストーリーを理解され、また共感され、会場からは温かな拍手が沸き上がりました。
コーヒーテイスティングでは温かな長い余韻をもたらす「フレンチ ロースト」をチョイス。そして、一つひとつの素材が持つ意味を丁寧に語りながら入れたシグネチャービバレッジも、余韻を大切にした「Blooming Yuzu Espresso」です。
氷が入ったグラスに、トリプルリストレットショットのブロンド エスプレッソを注ぎ、コーヒーの風味を引き立てる要素としてシトラス果肉をソース状にしたものを加え、トップにはゆずはちみつ風味のムースフォームを。そして、「日本では、桜は新しい始まりのシンボルです。私たちの新しい出発を祝って」と、仕上げに桜ソルトパウダーを振りかけると、会場はスタンディングオベーションに包まれました。 そして結果発表の時を迎えてステージに立つ出場者たちの表情は、皆、充足感に満ちたものに。４位から順に名前を呼ばれ、３位に菅原さん、初代チャンピオンに下出さんが輝きました。何か月もの練習の成果を出し切った彼らに全員に、会場のパートナーたちからは惜しみない賞賛の拍手が。この素晴らしい体験は、きっと二人の日本での活躍に、そして周囲のパートナーたちに、ポジティブなパワーを届けてくれるでしょう。
