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Coffee & Craft

長野のスターバックスで育む、人と街のつながり。「会いに来たよ」が聞こえる場所

2026年10月23日
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  • 10 min read
  • 2026年10月23日

スターバックスの店舗には、地域や立地に合わせたさまざまな工夫が取り入れられています。内外装に使われる素材やアート、家具の配置だけでなく、そこでの過ごし方や、パートナー(従業員)とお客様とのつながりも店舗ごとにさまざまです。

長野県のスターバックスは、2003年、長野県に店舗ができることを願う地元の方々の声をもとに、1号店がオープンしました。それから23年。個性の異なる店舗を訪ね、空間づくりや日々の交流を通して育まれてきた、スターバックスと街や人とのつながりをご紹介します。

地元のお客様の声をもとに誕生した長野のスターバックス

長野県に初めてスターバックスがオープンしたのは2003年のこと。そのきっかけのひとつとなったのは、地元のお客様による署名活動でした。東京でスターバックスを体験して魅力を感じ、店舗ができることでさらに地域がにぎわい、活性化したらと・・・想いを語っていました。まだ県内に店舗がなかった当時、その思いは署名活動となって地域に広がり、出店を望む声が集まっていったのです。

その声に迎えられ、長野駅前に県内1号店が誕生。多くのお客様が訪れ、オープン初日の売り上げは、当時の世界一となりました。翌2004年には松本、上田、軽井沢にも店舗ができました。その後も県内各地へと広がり、現在では34店舗(2026年10月時点)を展開しています。

車での移動が生活に根づく長野県では、ドライブスルーも日常的に利用されています。一方で、スターバックスが大切にしているのは利便性だけではありません。人と人とのつながりや、コーヒーとともに店内でゆったり過ごす時間も、スターバックスならではの体験のひとつです。

では、長野県内の各店舗には、この地域ならではの特色がどのように取り入れられているのでしょうか。

古民家の梁から善光寺の宿坊まで。土地に寄り添う店舗づくり

最初に訪れたのは「スターバックス コーヒー 長野南高田店」。2010年にオープンした、長野県で初めてドライブスルーを備えた店舗です。

スターバックス コーヒー 長野南高田店

外壁の一部には信州カラマツを使用。店内中央の大きなコミュニティテーブルの天板や天井のルーバーには長野県内の古民家を解体した際に出た梁材が再利用されています。このコミュニティテーブルは、ひとりでコーヒーを楽しむときにも、誰かと会話を交わしながら時間を過ごすときにも使える、地域の人が集える場所として設けられています。

スターバックスでは、1店舗1店舗、地域に根ざした店舗づくりを大切にしています。ソファ席もあれば、大きなテーブルや小さなテーブルもあるように、家具の配置や空間づくりも、その店舗を訪れるお客様の過ごし方や利用のされ方をイメージして考えられています。その方向性は、地域を知る営業責任者、本社の設計担当者などが対話を重ねて決めていきます。

そうした考え方が、長野南高田店とはまた違った形で表れているのが、2020年にオープンした「スターバックス コーヒー 信州善光寺仲見世通り店」です。善光寺の仲見世通りに位置し、その土地の文化や歴史を発信する「スターバックス リージョナル ランドマーク ストア」としては甲信越初の店舗です。にぎやかな仲見世通り沿いにある入口をくぐると、店内の空気がすっと変わります。

スターバックス コーヒー 信州善光寺仲見世通り店

店舗デザインは、善光寺周辺に点在する宿坊からインスピレーションを得ています。長野県産の木材を取り入れ、2階には小上がりの掘りごたつ席を設置。もともとの建物の梁も残されています。さらに階段を彩るのは、約4mにわたる大きなタペストリー。コーヒーの実と花、長野の山々のイメージを2枚重ねて表現しています。仲見世通りの「にぎわい」と宿坊の「静寂」。そのコントラストを店内にも取り込んだ空間です。

2階の小上がりにある掘りごたつ席には、この席に座ることを楽しみに訪れるお客様もいらっしゃいます。仲見世通りのにぎわいから少し距離を置き、コーヒーを片手にゆっくりとした時間を過ごせるうえ、冬には床暖房も入り、足元から温まりながらくつろげます。

このほか長野県内には、店内やテラスから白馬の山々を望む「スターバックス コーヒー スノーピークランドステーション白馬店」など、個性豊かな店舗があります。このように、同じ長野県内のスターバックスといっても、各店舗が見せる表情はさまざまなのです。

スターバックス コーヒー スノーピークランドステーション白馬店

「会いに来たよ」がうれしい。人がつくる店の居心地

長野南高田店で話を聞いたのは、パートナーである赤地と鈴木。赤地は長野駅前の店舗で学生パートナーとして働き始め、長野南高田店のオープン時に異動。鈴木も約10年前から同店で働いています。

(写真左から)スターバックス コーヒー 長野南高田店のパートナー 鈴木と赤地

平日の日中の店内には、仕事や作業をする人、友人どうしでコーヒーを楽しむ人、子どもを送ってから立ち寄る人などに加え、決まった時間に来店する常連のお客様もいます。

そんな方々を迎える際に赤地は、お客様一人ひとりがどんな時間を過ごしたいのか想像することを意識しているといいます。

「お客様が入ってこられたときの表情を見て、今日は店内でどんなふうに過ごしたいのだろうと考えます。パートナーと話したい方もいれば、静かに過ごしたい方もいらっしゃるので、お客様一人ひとりに合わせてコミュニケーションを取るようにしています」

例えば、何度か来店しているお客様には、前回話した内容にも触れるようにしています。「覚えていますよ」という気持ちを、さりげなく伝えるためです。

一方、鈴木が意識しているのは「会話の入り口」。長野南高田店で働き始めた頃は「今日はお仕事ですか? お休みですか?」などと尋ねていました。

「でも今は、『今日はゆっくりできる日ですか?』と声をかけるようになりました。そうすると、『今、子どもがお昼寝しているから、その隙にドライブスルーに寄ったの』などと気さくに話してくださる方が多いんです」

お客様一人ひとりに合わせたコミュニケーションの積み重ねは、常連の方との関係にも表れています。毎週、お孫さんのために焼き菓子を選びに来る方もいれば、パートナーに会うことを楽しみに訪れる子どももいるそうです。また、赤地が産休に入る際には、お客様から励ましの言葉や手紙をいただいたこともありました。

そして、鈴木が何よりうれしいと感じるのは、「会いに来たよ!」というお客様からの言葉。自身もパートナーになる前に来店していた鈴木は「癒やされに来ていました」と振り返ります。

赤地も、この店舗について「時間を忘れる場所であってほしい」と話します。普段の生活から少し離れ、ひと息つける場所でありたいという思いは、赤地と鈴木に共通しています。

店舗ができる前から始まっていた善光寺とのつながり

信州善光寺仲見世通り店にも、この店舗ならではの物語があります。

実はスターバックスと善光寺周辺の地域との交流は、2020年の店舗オープン以前から始まっていました。長野駅前に県内1号店ができた後、パートナーたちは善光寺へ続く参道でクリーンアップ活動を実施。その縁から、善光寺の「びんずる市」でコーヒーテイスティングを提供する機会が生まれました。

活動を続けるなかで、パートナーたちの間に「長野を代表する善光寺エリアにお客様を迎えられる場所があったら」という思いが大きくなり、2016年頃から出店の可能性を模索してきました。そうした積み重ねを経て、2020年に現在の店舗がオープンしました。

ストアマネージャーの上野は長野県の出身。2002年に東京の井の頭公園店でパートナーとして働き始め、翌年、県内1号店のオープンに合わせて故郷へ戻りました。その後、県内のさまざまな店舗を経験し、2025年に現在の信州善光寺仲見世通り店へ。そんな上野が着任してすぐに驚いたのは、観光客だけでなく地元の常連のお客様が多いことだったといいます。

スターバックス コーヒー 信州善光寺仲見世通り店のストアマネージャー 上野

「善光寺参りの際に立ち寄られる方が多い一方、この店舗そのものを目当てに訪れる方もいます。観光で訪れるお客様が多いので、最初は大変そうだなというイメージがありました。でも、朝と夕方の時間帯は、常連の方がたくさんいらっしゃることに驚きました。特に朝は、近隣で働く人や出勤途中にタンブラーを持って立ち寄る人など、観光客でにぎわう日中とは、また違った顔があるんです」

上野がおすすめするのは、この朝の時間帯です。朝の静けさや凛とした空気感、仲見世通りに漂うお香の香りはこの店舗ならでは。

なかでも夏の早朝は特別。今年は、お朝事の時間が早まる7月末からお盆明けまでの期間、開店時間を30分早めて6時半から営業していました。その時間帯には、差し込む光で暖簾のあたりに虹が現れることがあったといいます。

「朝の6時半から7時くらいの間によく見られるんです。それが私の一押しですね」と上野。この店舗で働く上野だからこそ知る、善光寺の朝の風景です。

また、この店舗では、店内の装飾などを紹介するリーフレットをパートナーたちが手描きで制作しています。オープン時から働くパートナーを中心に、学生パートナーたちのアイデアも取り入れながらつくられたもので、観光で訪れたお客様との会話をきっかけに手渡すこともあるそうです。海外からのお客様にも、手描きならではの温かみが喜ばれています。

店内の装飾などを紹介する手描きのリーフレット

歴史ある仲見世通りでお客様を迎えるなかで、周辺の方々との関係も少しずつ深まってきました。オープン当初は、周囲からさまざまなアドバイスをいただくこともあったそうですが、「ここ数年は、本当に良い関係を築けています」と上野は話します。

「地域行事に関わる方や若者たちが、声をかけてくださったりするようになりました。 今後は、地域の一員としてスターバックスだけでなく、仲見世通りや善光寺の魅力を伝える役割も担えたらいいねと、お隣のつち茂物産店を営むオーナー様とも話しています」

また、信州善光寺仲見世通り店を訪れるお客様との間にも、日々の交流があると上野はいいます。

「あの方はこういう方で、こういうドリンクがお好きだよ」と、常連のお客様のことをパートナーどうしで伝え合うことで、そのお客様が次に来店された際には、新しく働き始めたパートナーも自然と声をかけられるようになります。

そして、出勤前の常連のお客様を「いってらっしゃい!」と送り出したり、ニュースやスポーツの話をしたりするほか、忙しい連休が終わると、逆にお客様から「忙しかったね」と声をかけてもらうこともあるそうです。

「1対1というよりも、お客様と店舗全体とのつながりになっていますね。なかにはオーダーの際、『いつもの』で通じるお客様もいらっしゃるほどです」(上野)

今回、長野のスターバックスを巡って見えてきたのは、各店舗の表情と、その地域で少しずつ育まれてきた人と人とのつながりでした。

あなたが訪れるスターバックスにも、地域ならではの特色があり、お客様とパートナーが日々育んできた関係があります。次回、スターバックスを訪れた際は、いつもより少しだけ店内を見渡してみませんか?

あなたの街のスターバックスでも、そこにしかない物語が見つかるかもしれません。

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