地元のつながりを育む、木材をめぐる物語
地域の文化や伝統を尊重し、店舗で国産木材を建材や家具に活用する
2021年春にオープンした伊勢 内宮前店。地元の皆様から「お伊勢さん」と呼ばれている神宮の内宮への参拝者が行き交うおはらい町通りに面し、歴史的建造物が現存する地域に位置しています。
同店はそんな地域の伝統と景観に寄り添い、木造建築の店舗となっています。使っているのは主に地元・三重県産の木材です。 ほかにも、新宿御苑店(東京)や信州善光寺仲見世通り店(長野)など、全国の店舗で、立地する地域で伐採した木材を建材や店内家具に使用しています。
スターバックスが国産木材にこだわる理由とは
なぜスターバックスは、特に出店地域近隣の木材を積極的に活用しているのでしょうか。根底にあるのは「コミュニティにとって意義のあるお店でありたい」という思いです。
地域の幸せと繁栄なしに、スターバックスの成功はないーー創業以来大切にしてきた企業理念です。地域にとって、そこにあることに意味があるお店になること。それは、パートナーとお客様、店舗と地域社会との間に信頼関係を育むことで初めて実現できます。
例えば、柱の1本、テーブルの板1枚にも、たくさんの地域の人たちが関わっています。山の持ち主、木を伐り出す林業家や木材市場の人たち、製材所の人たち。そして家具職人がテーブルに加工して、今そのテーブルが地域住民の憩いの場を作るーー地元の木材にこだわることで、たくさんの人とつながり、ひとつの地域の物語を紡ぐことができるのです。
国産木材を活用することで、地域の里山を使いながら守る
近隣の木材を活用することは、国内の林業を応援することにもつながっています。
1964年の木材輸入完全自由化以来、日本には海外産木材がたくさん輸入され、主に価格差によって、国産木材に取って代わられてきました。林業が衰退した結果、放置林が増え、土砂災害にもつながるなど、日本の森林環境は厳しい状況下にあります。
適切に管理された国産木材を積極的に活用することは、国内林業に貢献し、里山を守ることにもつなげたいとも考えています。
国産木材の使用は、スターバックスがリソースポジティブカンパニーとして掲げる「2030年までにCO2排出量を50%削減する」という目標に向かう取り組みでもあります。
店舗での使用量はまだまだ少ないですが、輸送の際のCO2排出量は、輸入木材よりも国産木材の方が圧倒的に少なくなるため、環境への貢献にもつなぎたいと考えています。
木材がつなぐ地域の人々の想い
木材が、地域に住まう人々の思いそのものをつないだ店舗もあります。
2020年11月にオープンした西東京新町店は、40年間地域に愛されてきた喫茶店の跡地に出店しました。
店内中央には、閉店した喫茶店「珈琲館くすの樹」を支えてきた大きな丸太柱をそのまま使用。高い三角屋根や壁付けライトなど、かつてあった喫茶店の趣を継承したデザインを随所に採用しています。
これまで私たちは、様々な地域で、地域周辺の木材を通して、地域の方々とあたたかなつながりを育んできました。
木材をめぐる地域の物語の一員に加わり、新たな歴史を紡いでいくために。スターバックスは、国産木材を活用した店舗づくりを通して、その地の方たちとともにできることを考え続けていきます。