みんなで考える、コーヒーと地域の未来。毎日楽しめる「パイクプレイス ロースト」を飲みながら。


「ミッションは、未来に向かって踏み出す時の共通のレンズ」。「地元への愛着が、環境目標を自分ごととして楽しめる理由」―。6月、キリンホールディングス株式会社(本社:東京都中野区、以下、キリン)が主催する「CSVの自分ごと化」をテーマに学び語り合う「CSVチャンネル」のイベントへ、スターバックスで働くパートナー(従業員)3人が参加しました。登壇したのは、サプライチェーン本部から高橋芽衣さん、大阪にある河内長野高向店のストアマネージャーの趙さん、キリン本社近くの店舗で働く池田さん。過去から大切にしている考え方、今まさに地域とともに未来を作る試みについて語り合いました。その様子をご紹介します。

「まずは香りから」。コーヒーテイスティングでスタート。

スターバックスには、コーヒーテイスティングという文化があります。研修やミーティング前、そのコーヒーを選んだ理由やストーリーを語り、感じた味わいを表現する。コーヒーを囲むと不思議と会話がはずみ、あたたかな空気に包まれます。

そして、この日のイベントも池田さんのコーヒーテイスティングから。「まずは香りから楽しんでみてください」。淹れたてのコーヒーを登壇者に手渡すと、少し緊張気味だった顔がほころびます。選んだのは、「パイクプレイス ロースト」。シアトルにあるスターバックス1号店の名を冠したコーヒーを、池田さんは、「私たちにとって特別なコーヒーです。個性の強い力強い味わいで、それまでスターバックスの個性として好まれていた深煎りで力強い風味とは違います。毎日、どなたでも、楽しめるコーヒーを創り、すべての人々に豊かな活力を与えたいと思いが込められています」と説明します。そして、「一緒に休みましょう」という、コーヒーの木の花言葉に触れ、「皆さんリラックスしてくださいね」と、池田さんの優しい呼びかけで、会場はあたたかい雰囲気に。

「パイクプレイス ロースト」でコーヒーテイスティング。優しく語り掛ける池田さん

「めちゃおいしいですね。香りも良くて」。イベントのファシリテーターを務めたキリンのCSV戦略部 グループ企画担当の金田大樹さんがマイクを受け取り、高橋さん、趙さんを中心にカジュアルな語り合いがスタートしました。

地球に資源を還す。サステナブルなアクションをできることから。

前半は、スターバックスが取り組んでいることを高橋さんが発表。その前提として、スターバックスがコーヒーを届け続けていくための根幹となるミッション「人々の心を豊かで活力あるものにするために-ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」に触れます。「この言葉は行動指針であり、判断基準として大切にされていますが、いわゆるパーパス経営やビジネスの世界で使われるミッションという言葉とは違うと感じていて、どちらも会社の存在価値を指し、ミッションは未来視点、パーパスは現在視点だと思いますが、スターバックスのミッションは、これからどうあるべきかの姿を表すもの」と高橋さん。さらに、「新たにサステナビリティのアクションに取り組むときも、未来にありたい姿を目指して、一丸となって何に取り組むかを考えるときに共通のレンズになっている言葉です」と、ミッションをすべての判断の基軸に据えていると語りました。

スターバックスでは、近い将来にサステナビリティのゴールを設定しています。地球の資源を使うよりも還元していく「リソースポジティブカンパニー」になること。具体的には、2030年に向けて、二酸化炭素、廃棄物の排出量、水使用量を2019年比で半減するというもので、全世界のスターバックスができることから取り組みを始め、日本国内では、店舗の電力を再生可能エネルギーに切り替えたり、プラスチック使用量を減らすために素材を変更したり、日々店舗から出る賞味期限切れフードを減らすプログラム、そして、店舗の廃棄物の多くを占めるコーヒー抽出後の豆かすを、たい肥や飼料にリサイクルしています。この豆かすを活用し、趙さんがストアマネージャーを務める大阪の河内長野高向店では地域の方と一緒に、たい肥づくりを進めています。未来に向けて始めていることとはー。趙さんが切り出します。


月に1度の「たい肥の日」。春の芽吹きやたい肥の変化に、手を取り喜ぶ。

「近くの森で拾ってきたどんぐりを植えて観察しているんです。あまり変化がなく皆で見守っていたところ、春に芽吹き始めて皆で手を取り合って喜びました。青々とした芽がたくさん。この活動に参加してくれる人をもっと増やしていきたいです」。河内長野高向店ではオープンした2021年9月から、地域の大阪府森林組合のみなさまとともに、間伐材からできている木材チップと、豆かすを使ったたい肥づくりの取り組みがスタートしています。

https://stories.starbucks.co.jp/ja/stories/2021/community-store-2/

月に一度、たい肥を作ったり、以前に作ったたい肥の観察や攪拌作業、次の目標などを語る「たい肥の日」があります。これまで1年近く続いている活動を振り返りながら、最近感じたやりがいや未来への思いを語る趙さん。さらに、店舗のパートナーがオーナシップを持って取り組める理由は何か。続けます。

「うちのお店は9割が地元のパートナーで、地域に愛着も持ち、これから子どもたちが住むこの地域と未来を良くしたいという強い思いを持っています。その愛着が、環境目標を会社ごとではなく、自分ごととして楽しめる最大の理由だと思います。パートナーのアイデアで活動が生まれることも多く、周辺の店舗も参加して、これからより広い地域でつながりの場を作っていきたいと思っています」(趙さん)。

アイデアや思いを表現する場は、お店。自慢のコミュニティボードを活用。
パートナー発の活動が、店舗に散りばめられています。「全国のスターバックスの中でも日本一大きいと思われる大きなコミュニティボードがあります。このボードを使って活動の情報発信や進捗を報告して、私たちの思いを届けています。私たちからの一方通行ではなく地域のコミュニケーションの場所として、近隣の幼稚園の絵を展示したり、高校生のフィールドワークや障がいのある方が描いたアートを展示しています。お客様からの情報も併せて発信することで、つながりをより感じられる内容にしています」。

また、毎月の「たい肥の日」の夜は、店内の照明を少し落として、省エネや環境のことを考えていただけるきっかけとなる「Delight in the Night」という活動も実施。こうしたパートナー発のアイデアを店舗がハブとなって表現することで、地域とのつながりはより強いものに。「レジではタンブラーやマグのご利用もお勧めしていて、『たい肥の日』は、朝から夜まで一日を通して、パートナーにとってもお客様にとっても、環境のことを考えられる日になればいいと思って活動しています」(趙さん)。

過去を尊重しながら、未来を切り拓いていく

最後に趙さんは「将来は、豆かすのたい肥で育てた苗木を森に帰し、森林の循環に関わっていきたいです。それは50年先、100年先のことになるかもしれないですけど、次の世代につなげていけたらと思います」と未来への抱負を語りました。「サステナビリティ」をテーマにした90分間、そばにあったのは、「パイクプレイス ロースト」。スターバックス1号店の名前がつけられた理由は「過去を大切にしながら、未来を切り拓いていく」。そんな思いが込められています。この時間にぴったりのコーヒーを味わいながら、地域の未来について、そして、これからもコーヒーを届け続けていくためにできることを語り合いました。

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現代アートに出合う“共同アトリエ” のような京都BAL店