国際コーヒーの日をきっかけに思いを馳せる“コーヒーの未来”


10月1日はコーヒーの新年度を祝う国際的記念日「国際コーヒーの日」。私たちが普段飲んでいる一杯のコーヒーがどこから来るのか、どのように作られているのか…この日をきっかけに少し思いを巡らせてみませんか。今回は、スターバックスのコーヒーを熟知しているコーヒースペシャリストの若林さんと、中日本リージョン コーヒーアンバサダーの斉藤さんに、この日に考えたいコーヒーの未来について話を聞きました。


エシカルな調達のために私たちができること

コーヒーの2050年問題について考えたいと語るのは、コーヒースペシャリストの若林さん。コーヒースペシャリストとは、日本のスターバックスの中でたった5人しかいない、特別な存在。バリスタが挑戦するブラックエプロン試験の作成や、コーヒー アンバサダーカップの運営などを行っています。そして知識を深めるため、コーヒー豆の生産地にも実際に足を運びます。

「世界で1年間にどれくらいのコーヒーが飲まれているかご存じですか? 答えは、約5,000億杯です。そのコーヒーを生産している国は、約70か国。アラビカ種はそのうちの6~7割、ロブスタ種は3~4割といわれています」と若林さん。

スターバックスで利用しているのはすべてアラビカ種のコーヒー豆。

「ラテンアメリカ産ならナッツっぽさ、アフリカ産ならフルーティと、生産地の風味が出やすいのが特徴です」

アラビカ種は昼夜の寒暖差が大きい標高の高い土地で栽培されています。しかしこの栽培に適した土地が気候変動などの影響により現在の50%まで減少するといわれているのが、コーヒーの2050年問題です。

スターバックスはその対策として、コスタリカにある自社農園「ハシエンダ アルサシア」を拠点とし、アグロノミスト(農学者)が気候変動やさび病(コーヒーの葉のかび菌が原因の病気)に耐えうる品種の開発、環境負荷の観点から水を減らした栽培の方法など、日々研究を重ねています。そして、生産者を支援するためにハシエンダ アルサシアをはじめ、世界10か国に設置しているファーマーサポートセンターを通じてその情報を無償で提供しています。

若林さんは昨年12月に現地を訪れた際、「私は2050年問題を悲観的に見ているわけではない」というアグロノミストの言葉が印象に残っていると言います。

「こうした研究などの努力をしっかり続けて、活動を世界中に広げていけるなら、必ず未来につながっていくとおっしゃっていました。ハシエンダ アルサシアの取り組みがファーマーサポートセンターを通じて、その先にいる生産者に届けられ、サステナブルなコーヒーの未来を作っていきたいと強く思いました」

農園を訪ねて気づいた、おいしいコーヒーをいれることの大切さ

コーヒーアンバサダーの斉藤さんは、スターバックスのバリスタとしての役割をあらためて考えたいと言います。コーヒーアンバサダーとは2年に1度開催される社内競技会「コーヒー アンバサダーカップ」を勝ち抜いたブラックエプロンのバリスタに贈られる称号で、約2年間、社内外でコーヒーの啓発活動を行います。斉藤さんは2021年に中日本リージョンのコーヒーアンバサダーに就任。お客様やパートナーにコーヒーの深い知識をわかりやすく楽しく知ってもらいたいという想いで活動してきました。

そして斉藤さんもコーヒーアンバサダーの活動として、ハシエンダ アルサシア農園を訪れています。その経験を通じて、一杯のコーヒーをお客様に提供することの責任の大きさをあらためて実感したと語ります。

「実際にコーヒー農園を見たり話を聞いたりして、生産者の方々がとてもクオリティにこだわっていることが分かりました。なぜなら、おいしい豆ができることが、来年、再来年の生産につながるからです」

そうして育ち収穫された豆はローストされ、私たちのもとに届きます。

「私たちがコーヒーをおいしくいれられなければ、これだけクオリティにこだわって作ってくださってもおいしくないということになってしまいます。そこに、とても責任を感じました」

スターバックスが取引するコーヒー生産者数は約45万人。一杯のコーヒーが“おいしい”という感動体験、それこそが生産者の幸せな未来をつないでいくと斉藤さんは確信しています。

「まずはパートナーがコーヒーをおいしいと思うことで、お客様にもそのおいしさを伝えたいと思ってもらえる。これまで以上に、パートナーにもコーヒーを飲む機会をたくさん作るようになりました。コロナ禍が落ち着いたので、これからはお客様へコーヒーのおいしさを伝える機会も意識して作っていきたいです」

斉藤さんが勤める店舗では、国際コーヒーの日にテイスティングを行い、お客様とお話をする機会になる日にしたいと計画しているそうです。


コーヒー豆の対価を手に「ミルクを買って帰るんだ」と見せた生産者の女性の笑顔を胸に、コーヒースペシャリストとして働く若林さん。

「生産者の方々が10年後、20年後も幸せに暮らしていくために、明日も飲みたいと思ってもらえるコーヒーを」と、今日もお店に立つ斉藤さん。

それぞれがそれぞれのコーヒーへの想いを考えるきっかけとなる国際コーヒーの日。一杯のコーヒーの向こう側にどんな人たちがいるのか、少しだけ想像してみませんか。

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現代アートに出合う“共同アトリエ” のような京都BAL店