コスタリカで見つけたバリスタとしての原点。オリジンエクスペリエンスより


皆さん初めまして。中日本リージョナルアンバサダーの斉藤です。前回の記事に続くオリジンエクスペリエンスの体験をお届けする連載2回目は、コーヒーのオリジン(生産国)であるコスタリカで見つけた、一人のバリスタとしての原点についてお話します。

最初のコーヒーテイスティングで触れた「Pura Vida」の文化

「Pura Vida」は、私が今回初めて習った現地の素敵な言葉です。「Pura Vida」はどんな場面でもEverything is OK!「Hi!」「How are you?」「I'm fine!」「Ok」「Thank you」「No worry」など様々な意味を持つと言います。コスタリカで一般的なこの言葉は、彼らが大切にしている「小さなことも大きなことも楽観的にとらえ、楽しむ」というこの国の文化を一言で表しています。実際に今回何度もこの言葉を耳にし、この言葉が象徴する文化に出合うことができました。

滞在したホテルの敷地内にはたくさん植えられているコーヒーの木。日本では温室で観賞用に育てられた木しか見たことがない私にとって、農作物として剪定されたコーヒーの木が並んでいる光景はとても新鮮でした。

一緒に行ったメンバーと敷地内の散策をしていると突然、ホテルスタッフのフェルナンドさんに、「一緒にコーヒーを飲まない?」と声を掛けられました。他の宿泊客も集まっていて、テーブルの真ん中に靴下のような白い布がぶら下がった木製のスタンド。「どのように使うのだろう?」と眺めていると、フェルナンドさんはグラインドされたコーヒー豆を布の中に入れ、上から一気にお湯を注ぎました。布の先からぽたぽたと落ちる雫をポットで受けたら抽出完了。初めてのユニークな抽出方法に驚くと共に、味わいがとても楽しみに。出来立てのコーヒーをカップに注いでもらって早速テイスティングです。

ビターチョコレートのようなコクと、後味に甘みを感じる優しい味わい。私はブラックでいただきましたが、たっぷりとミルクを注ぐ人や砂糖を入れる人もいました。「コスタリカではどんな飲み方が一般的?」と聞くと「人それぞれだよ。ここではみんな子どものころから、一日に何度も家族とコーヒーを飲むんだ。もちろんブラックでも飲むけど、ミルクや砂糖を入れたり、自分の好きな飲み方で楽しんでいるよ」と教えてくれました。おいしいコーヒーが中心にあって、誰かと一緒にコーヒーを飲み、その時間を楽しむことを何よりも大切にする、まさに「Pura Vida」なコーヒー文化を体験しながら、私は初めてパートナー(従業員)とテイスティングをした時のことを思い出しました。


そのころ、私が働いていた店舗では、発売前のコーヒーをパートナー同士でテイスティングをする会がありました。入社したばかりの私は、味の違いを表現することが苦手で参加するのをためらっていると、「知識なんていらないよ!そんなこと気にせず一緒にコーヒー飲もうよ!」と先輩が声をかけてくれました。仲間とコーヒーを飲みながらおしゃべりをする時間はとても楽しく、皆の表現を真似し、だんだんと自分の言葉で語れるようになりました。そこで学んだことをきっかけに、お客様とコーヒーの話ができるようになっていくことが嬉しかったのを覚えています。

いつしか会に参加する側から、仲間のバリスタにもコーヒーを通した人とのつながりを楽しんでもらいたい、とテイスティングを主催する立場になり、もっと多くの人にそのきっかけを届けたいという想いが生まれ、そしていまここに来ているんだなぁ・・・と、コスタリカでの「Pura Vida」なコーヒー体験は、7年前の自分の原点を思い出す大切な時間になりました。

ハシエンダ アルサシアの最高の景色と味わい

コスタリカで過ごした毎日は、刺激と感動の連続でした。なかでも特に忘れられないのがスターバックスの自社農園「ハシエンダ アルサシア」からの景色と、そこでのコーヒーテイスティングです。

ハシエンダ アルサシアはコスタリカの中心部アラフエラ県の標高約1,400mに位置しています。オリジンエクスペリエンスの初日はここから。私たちの到着を農園のパートナーが一列に並んで出迎えてくれました。

彼らの後ろの扉が一気に開かれると、奥には抜けるような青い空の下、山の斜面に浅緑、若緑、深緑、色々な種類の緑をパレットに並べたような美しい農園が一面に広がりました。自分の目で見るハシエンダ アルサシア農園の圧倒的な美しさと、これまで何度も写真で見た景色の中に自分が身を置いている感動に鳥肌が立ちました。

スターバックスのパートナーは、コーヒー テイスティングをすることから1日を始めます。この日は、ハシエンダ アルサシアのコーヒー豆をブロンド ローストで焙煎したものをテイスティングしました。テイスティングでは、コーヒーの香りをかぎ、すすって口の中に広げ、自分の言葉で表現します。この日感じたのは、鮮やかなシトラス感とほんのり感じる甘み。そして、世界中のパートナーが、こんな風にそれぞれの場所で、毎日同じステップでテイスティングをしていることを、憧れの生産地で仲間と体験しているという感動で、一生忘れられない味になりました。

一粒の種から一杯のコーヒーに至るまでの過程を体験すると同時に、その過程に込められた、人の想いと生産地コスタリカの文化に触れ、改めて気づいた自分自身のバリスタとしての原点。
スターバックスのカルチャーを伝えるコーヒーアンバサダーとして、現地で経験したものを、一人でも多くのお客様、パートナーに届けていきながら、これからも、ひとりのバリスタとして、コーヒーを飲む楽しさと人とのつながりを届けていきたい。そんな想いを、改めて強く感じたかけがえのない経験でした。

次回は2月、西日本リージョナル コーヒーアンバサダーの緒方さんにバトンをつなぎます!

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桜島を眺めながらコーヒーを。受け継がれるパートナーたちの想い(鹿児島県)前編