「誰よりも優しく生きたい」進化を続ける学習障がいのパートナー(従業員)


スターバックスでは、障がいのあるパートナー(従業員)の活躍も決して特別なことではなく、数多くの店舗で彼らがいきいきと働く姿を目にすることができます。今回お話を伺った学習障がいのある川端さんは、柔らかく丁寧な接客に定評があり、他のパートナーや常連のお客様たちからとても信頼されている存在です。

内定の連絡を受けた時のことを、「二度とないチャンス。ここで頑張っていこうという強い想いがありました」と振り返った川端さん。初めてだらけの接客業に苦労しながらも真摯に向き合い、ひとりのお客様との出会いをきっかけに苦手だった“人とのコミュニケーション”も克服。いつしか彼の気配りとコミュニケーション力の高さは周りのパートナーたちも見習いたいと言うほどになりました。入社して3年半、当初の想いのまま懸命に突き進む中で、彼はどのように成長してきたのでしょうか。

失敗を次に活かし、試行錯誤しながら努力し続ける

川端さんはカスタマーサポートというポジションで、フロア全体をチェックし、店舗を清潔に保ちながら、お客様の質問に答えたり、時にはドリップコーヒーの抽出やドリンクの材料の補充をしたりと、適宜、店舗運営が円滑に進むための手助けをしています。その時々、あらゆる角度からお客様を助け、パートナーたちをサポートする重要な役回り。

混雑時には様々な作業が重なるため、入社した当初は仕事の優先順位が分からず、効率良く業務を進めていくことがとても難しかったそうです。しかし彼はそこで諦めず、何度もストアマネージャー(店長)や他のパートナーにアドバイスをもらいに行きました。試行錯誤しながら色々やっていくうちに「優先順位を決めてやるのが得意」と、自信を持って言えるようにまでなっています。

「最初はお店が混んだ時にうまく回せなくて苦労していましたが、もう少ししたら混む時間帯だから今のうちに洗い物をしておこうとか、時間を逆算して考えて準備できるようになりました。うまく回った時にはすごくやりがいを感じます」

その他にも、新商品が出たら誰よりも早くレシピを学びドリンクを作るパートナーのサポートに入ったり、お客様それぞれの要望に合う商品を的確におすすめできるようにコーヒー豆の勉強に励んだりと、日々新しい挑戦をしながら進化し続ける努力家です。

同店シフトスーパーバイザー(時間帯責任者)の熊崎さんは「日々的確で丁寧なオペレーションをしてくれているので、お客様からの信頼も厚い」と言います。

ひとりのお客様との出会いで変わったコミュニケーション

スターバックスで働き始めてから、一番大きく変わったことは、人とのコミュニケーション。

ストアマネージャーの藤林さんは、「常連さんでも初めてのお客様でも、誰に対してもとても親切で、相手のことを思って役に立とうという姿勢が素晴らしい」と絶賛し、熊崎さんは「私たちを照らしてくれる太陽のような存在」と言います。

今でこそ、一緒に働くパートナーたちからこんな言葉をかけてもらう川端さんですが、実はスターバックスに入る前は人と話すことが大の苦手でした。最初の頃は笑顔を見せる余裕はなく、お客様との会話も一言二言で精一杯。パートナーたちに対しても口数はとても少なかったと言います。そんな中、ひとりのお客様との出会いによって、川端さんのコミュニケーションは180度変わりました。

そのお客様、オープン当初の22年前から通い続けていただいているという常連の樋口さんとは、ドリンクのカスタマイズや新商品の話から音楽の話まで友達のように話が盛り上がるそうです。

いつも愛用のタンブラーを持参して来店してくれる樋口さんと

「最初の頃は本当に緊張で固まっていたんですけど、樋口さんがよく話しかけてくださって、色々話しているうちに、他のお客様とも話すことが多くなっていきました。樋口さんが本当に優しい方で。感謝しています」

「初めて会った頃は“接客大丈夫?頑張れ!”という気持ちで接していました(笑)。でも今ではとてもフレンドリー。言葉遣いもすごく丁寧で気持ちのいい接客をしてくれます。本当にいつもお世話になっています」(樋口さん)

笑顔の少なかった新人の頃から気さくに話しかけてくれた樋口さんのおかげで、川端さんの緊張はほぐれ、どんなお客様にもきめ細やかな接客ができるようになりました。そして、お客様だけなくパートナーとの接し方も変化。今では何も言われなくてもパートナーの気持ちを察して手助けしたり、みんなが楽しく働けるように声をかけたり、自ら積極的にコミュニケーションを取る頼もしさです。

「働いているとそれぞれ大変な時もありますので、そういう時はみんなを元気づけて、“ここにいてよかったな”という気持ちになってもらえるようにいつも声をかけています」

店舗でのコミュニケーションは「優しさのキャッチボールだね」と、樋口さんと川端さんは目を合わせました。常連さんもはじめてのお客様も、パートナー同士も、誰もがそれぞれに“いたわりやねぎらいを交換し合える場所”なのだと言います。フロアに立つ川端さんはそんな大切な場づくりの担い手となっています。

「川端さんには店員さんと客の関係を飛び越える優しさと親しみやすさがあります。どんな時でも、帰りにここへ寄って彼の顔を見て、彼の声を聞いたら落ち着くんです」(樋口さん)

樋口さんの言葉を照れ臭そうに聞いていた川端さん。その柔らかい眼差しが印象的でした。「彼目当てで来てくださるお客様も多い」(熊崎さん)と言うのも納得です。

誰よりも優しく生きるのが目標

「僕は優しい心を持ってお仕事をしたいといつも思っていて、プライベートでも、誰よりも優しく生きるのが目標です」

川端さんは、高校生の頃から“人のために生きたい”と思ってきたと言います。困っている人がいたら力になってあげたくて、いつも周りを観察してきたそうです。スターバックスで働くようになってから、特に「よく気がつくね」と家族や友人にも驚かれるようになったと嬉しそうに語ってくれました。

「スターバックスは一人ひとりのお客様の力になれる仕事だと思っています。大切なお客様に喜んで頂けるように、パートナーと協力し合って、これからも安心して来店してもらえる環境を作っていきたいです」

スターバックスで働き始めてから3年半の間に、苦手だったことが得意になり、緊張で硬い表情だったのがリラックスして楽しく働く姿へと変わりました。そんな川端さんの変化と成長を見守ってきたパートナーたちは、今、彼から勇気をもらっています。

ストアマネージャーの藤林さんと

「川端さんは本当に思いやりに溢れていて、自分らしく働いている姿にとても影響を受け、“私も頑張ろう”と思う瞬間がたくさんあります」(藤林さん)

「ロールモデルとして常に意識高く、お店を支えてくれています」(熊崎さん)

シフトスーパーバイザーの熊崎さんと

最近では新しいパートナーのコーチングも担当し、教える立場として周りのパートナーの成長を助け、店舗を引っ張る存在となっています。

「自信を持つことが一番大事。入社したばかりならもちろん、経験を積んでも自信が持てないことはみんな必ずひとつやふたつはあると思うけど、少しでも自信を持ってやることでうまくいくことが増えます。それが周りを勇気づけることにもなると思っています」

そう答えてくれた川端さんの表情はとても晴れやかに輝いていました。

川端さんも登場する動画「NO FILTER ―あなたがいる。もっと笑顔になれる。―」はこちら

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スターバックスの「品質基準」: おいしさを保ち続けるための積み重ね