棒ほうじ茶で石川の“いいじ”に出合う


「JIMOTOフラペチーノ®」今年は全国の店舗に登場!

2022年夏、「JIMOTOフラペチーノ®」として全国デビューすることになった「石川 いいじ 棒ほうじ茶 フラペチーノ®」。名前にある「いいじ」とは、石川の方言で「いいね」の意。棒ほうじ茶の「いいじ」を探しに、石川県を訪ねました。

「ほうじ茶=棒茶」が石川では当たり前

江戸時代に加賀藩前田家のもと茶の湯の文化が発展した金沢。街を歩くと茶葉や茶器を扱う店を多く見かけ、お茶の文化が深く根付いていることを感じます。
「夏、冷蔵庫を開けると冷やしてあるのは、棒茶です」と言うのは、金沢藤江店ストアマネージャー(店長)の川村さん。
棒茶とは、茶の茎のみを焙煎した「棒ほうじ茶」のことで、金沢を中心とした石川では、ほうじ茶と言えば棒茶のことを指すほど日常的に飲まれています。明治期に金沢の茶商が、捨てる部分だった茎を焙じたことから始まり、当時高価だったお茶が庶民にも親しまれるようなったといいます。

「石川 いいじ 棒ほうじ茶 フラペチーノ®」は、そんな棒ほうじ茶をたっぷり使った一杯。ミルクとともにブレンドしたベースに、ホイップクリームにも棒ほうじ茶のパウダーをかけ、茶の味わいと香りを堪能できます。

石川の棒ほうじ茶を使ったフラペチーノ®は2018年が最初。「47 JIMOTOフラペチーノ®」で県内各店からフラペチーノ®のアイデアを募った際も、棒ほうじ茶を使った案が最も多く寄せられ「石川 いいじ 棒ほうじ茶 フラペチーノ®」が誕生しました。
「2018年の販売の際は、全国で売り切れてしまって飲めなかった方もたくさんいたと聞いています。昨年はさらに、県内のみの販売だったため、今年は全国の店舗で多くの方に楽しんでいただきたいです」と意気込みます。(川村さん)

ほうじ茶とほかの緑茶との最大の違いは、「焙煎」すること。石川では棒ほうじ茶を自家焙煎する茶舗が多く、店ごとに手法や焙煎機に工夫を凝らして茎を焙じ、ほうじ茶特有の芳ばしさや甘さ、まろやかさが生みだしています。
その魅力をさらに深く知るため、今回のフラペチーノ®で使用する加賀棒ほうじ茶の製茶・販売を手掛ける「油谷製茶」と「上林金沢茶舗」を、川村さんとともに訪ねました。

各店が磨く焙煎技術が、加賀の棒ほうじ茶のブランド力をはぐくむ

焙煎には一般的に直火焙煎、遠赤外線焙煎、砂炒りの3つの方法があり、そのうち多くで採用されているのが直火焙煎と遠赤外線焙煎です。直火は鉄製の回転ドラムを直火で加熱して焙煎するので、茎の表面から茶の香りを中に閉じ込めて風味が豊かになるのが特徴。一方、遠赤外線は茎の内側から加熱し、浅煎りを得意とする焙煎方法です。

1918年に創業し、3代目の油谷祐仙さんが取り仕切る「油谷製茶」では、熱を放ちながら3つの焙煎機が稼働しています。遠赤外線と直火で同時に焙煎できるハイブリッドな焙煎機です。茎を入れてぐるぐると回るドラムの中に遠赤外線のヒーターがあり、さらにドラムの下から直火を入れています。

「3つの焙煎機はそれぞれ温度が違うんです。ベースとなる焙煎、コクを出す高温の焙煎、香りを出す低温の焙煎に分け、異なる温度で焙煎した茎を最後にブレンドして最高の味になるよう計算しています」と、油谷さん。3台の焙煎機に1人ずつ、ほぼつきっきりで温度を管理。焙煎機ごとに役割の異なる棒ほうじ茶をつくり、それらをブレンドすることで茶の味や香りのバランスを整えているのです。
焙じたばかりの茎は、焙煎前に比べてふわふわに。驚く川村さんに、「水分が抜けて茎が膨らむからだよ」と油谷さん。

一方、「上林金沢茶舗」が採用しているのは遠赤外線の焙煎。工場内にある1台の焙煎機に、3代目・織田 聡さんがつきっきりで温度管理をしています。
茎は遠赤外線の下のコンベヤーで流しながら焙煎。コンベヤー自体が小刻みに振動して茎を転がし、茎全体に熱が当たります。焙煎後の茎は下段のコンベヤーに流れ、自然な温度で冷ましていきます。

「焙煎していると室内の温度が高くなり品質に影響するので、そういうことも計算しながら随時温度を調整していくんです。10分に1回、ターゲット(焙煎見本)と照らし合わせ、品質が一定になっているかをチェックしています」と織田さん。季節、気温、湿度、時間、さまざまなものが焙煎には影響するそうです。

焙煎後の茎を折ってみると、焙煎前の茎と比べてパキッと軽くなっているのがわかります。
「ふっくらした証拠なんですよ」(織田さん)

遠赤外線の焙煎にこだわる理由は、「上林金沢茶舗の商品として僕が目指すところは、上品な味わいの加賀棒ほうじ茶。その味にこの焙煎機が合っているんです」(織田さん)。

それはほかの茶舗も同様で、それぞれに目指す味があり、その味に合う焙煎機を使い、これまでの気温や温度、湿度などのデータを管理して焙煎技術を磨いています。
油谷さんは「3種類の焙煎を混ぜるのはうち独自のやり方。真似ができないように作るのが私の仕事。そうやって作り手がそれぞれ技術を磨いていくことでおいしいお茶ができ、加賀棒ほうじ茶のブランド力を底上げしていくんだと思う」と、個々の職人が切磋琢磨することの大切さを語ってくれました。

油谷さんも織田さんも「お茶は嗜好品だから」と言います。どの店が良いというのではなく、どこのお茶が好きか。好みは人によって違います。だから自分の店のお茶が好きだと言ってくれるお客様の喜ぶ顔を想像し、茶を作り続けているのです。
「常に満足せずに改善をされているのがすごいですね」と川村さんも感嘆の表情でした。

「フラペチーノ®×棒茶」との出合いで石川に興味を

棒ほうじ茶がフラペチーノ®とともに全国に届けられることへの思いを、織田さんと油谷さんにお伺いしました。

「加賀棒ほうじ茶にかかわる人たちはみな喜ぶと思います。県内の人は加賀棒ほうじ茶ってもう知っていると思うので、新しい楽しみ方として楽しんでほしいです」と、新しい棒ほうじ茶の文化が生まれるのではと期待を寄せます(織田さん)。

油谷さんは、棒ほうじ茶を知らないエリアの人が棒ほうじ茶に出合う機会ができたことを喜んでいます。「楽しみだなと思いますよ。飲んで、おいしいって、ニコッと笑ってほしい。金沢に行ったらおいしいからあれ買って帰ろうって思うきっかけになってくれたらうれしいですね」(油谷さん) 石川県民が愛する棒ほうじ茶が、職人の技術や思いと、スターバックスの地元への思いが掛け合わさり、全国へと届けられます。石川の“いいじ”な一杯をぜひ味わってみてください。

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JIMOTO Madeの新作が伝える、備前焼1000年の伝統