スターバックスのロゴの意味と由来。人魚「サイレン」と、4つの時代のロゴの変遷
スターバックスのカップや看板の、グリーンのロゴの中から、いつもこちらを見つめている女性。彼女の名前は「サイレン」、2つの尾をもつ人魚です。1971年、アメリカ・シアトルの小さな店舗から始まったスターバックスの物語に、サイレンは最初から寄り添ってきました。
今回は、サイレンがロゴに選ばれた理由と、現在の姿にいたるまでの4つの時代のロゴの変遷をご紹介します。次にスターバックスを訪れるとき、店先や壁面、カップの上のサイレンを、少しだけ気にして見てみてください。
ロゴに描かれているのは、2つの尾をもつ人魚「サイレン」
スターバックスのロゴの中央で微笑んでいる女性が、サイレンです。星をあしらった冠に、波のように流れる長い髪。顔の両脇に見えているのは、左右に分かれた2つの尾です。
サイレンは、ギリシャ神話に登場する人魚です。美しい歌声で、行き交う船乗りたちを魅了したと伝えられています。日本では「セイレーン」と表記されることも多く、そちらの呼び名で親しんでいる方もいるかもしれません。スターバックスでは、英語の読み方にならって「サイレン」と呼んでいます。
船乗りたちが歌声に引き寄せられたように、コーヒーの香りで、道行く人々を魅了したい。ロゴの中のサイレンは、スターバックスのそんな想いを代弁するように、今日も微笑んでいます。
港町シアトルと、古い海洋書の中の一枚の挿絵
サイレンとスターバックスの出合いは、創業の年、1971年にさかのぼります。
スターバックスが生まれたのは、アメリカ北西部の港町シアトル。パイクプレイス・マーケットの石畳の通りに面した、28坪ほどの小さな店舗が始まりでした。海に面したこの街には、世界中の船が行き交います。コーヒー豆もまた、遠い生産地から海を渡って届きます。「スターバックス」という社名も、小説『白鯨』に登場する一等航海士「スターバック」にちなんで付けられました。

窓には、当時の店名を添えた茶色の初代ロゴが掲げられています。
海にゆかりのある名前は決まりました。次に必要なのは、店の顔となるシンボルです。創業者たちとともに社名を考えたアーティストのテリー・ヘクラー氏は、古い海洋書をくまなく調べていきました。そのなかで目に留まったのが、2つの尾をもつ人魚、サイレンを描いた一枚の挿絵でした。
港町で生まれた、海にまつわる名前の店。そのシンボルとして、これほどふさわしいものはありません。ヘクラー氏は、サイレンについてこう語っています。
「船乗りたちを惹きつけたサイレンの歌声のように、コーヒーは私たちをカップへと誘う。サイレンは、その完璧な象徴だった」
ロゴの変遷 ~茶色から緑へ、そしてサイレンだけのロゴへ~
創業から現在まで、スターバックスのロゴにはいつもサイレンが描かれてきました。そのデザインは、これまでに3回変わっています。4つの時代のロゴを、順に見ていきましょう。
1971年~ サイレンとの出合い

最初のロゴは、コーヒー豆を思わせる茶色でした。古い挿絵の面影を残したサイレンのまわりを、コーヒー、紅茶、スパイスを扱う店であることを示す当時の店名が囲んでいました。この初代のロゴは、今もシアトルの1号店で見ることができます。
1987年~ 茶色から、グリーンへ

転機が訪れたのは、1987年です。ハワード・シュルツが率いるカフェバー「イル・ジョルナーレ」とスターバックスがひとつになり、新しいスターバックスが歩み始めました。ロゴを手がけたのは、再びヘクラー氏です。古風で伝統的なスターバックスのロゴと、現代的なイル・ジョルナーレのロゴを融合させ、色は現在につながるグリーンに変わりました。サイレンを囲む文字も、「STARBUCKS COFFEE」と短くなっています。
1992年~ サイレンの表情を主役に

アメリカのナスダック市場に株式を上場した1992年、ロゴはサイレンの冠と上半身を間近にとらえたデザインになりました。主役になったのは、サイレンの表情です。多くの方が「スターバックスのロゴ」と聞いて思い浮かべる姿に、大きく近づきました。
2011年~ サイレンだけのロゴへ

創業40周年を迎えた2011年、ロゴから「STARBUCKS COFFEE」の文字が外れ、グリーンの円の中にサイレンだけが残りました。スターバックスの歩みは、コーヒーの枠を超えて広がっています。そしてサイレンは、名前を添えなくてもスターバックスだと伝わるほど、世界中で親しまれる存在になりました。現在のロゴには、その2つの変化が表れています。
看板にも、壁にも。店舗ごとに出合えるサイレン
サイレンに出合えるのは、カップの上だけではありません。店舗の看板や外壁、店内の壁にも、サイレンはさまざまな姿で描かれています。
たとえば、山口市中央公園店。木の外壁に、濃い色の大きなサイレンが掲げられています。

松山市駅前店では、石の外壁にモノトーンのサイレンがあしらわれ、街の風景に溶け込んでいます。

色や素材は、店舗によってさまざまです。おなじみのグリーンの看板もあれば、建物や街並みに合わせた、落ち着いた色のサイレンもあります。
店内の壁一面に、サイレンの壁画を描いた店舗もあります。渋谷ストリーム店では、木のパネルに、波や星、船といった海のモチーフに囲まれたサイレンが描かれています。

エキマルシェ大阪店の壁画は、鮮やかな色彩が印象的です。両手を広げたサイレンのまわりに、コーヒーの実や生産地の風景が描かれ、一杯のコーヒーが生まれる旅を思わせます。

スターバックスを訪れたときは、その店舗ならではのサイレンを探してみてください。 時代とともに少しずつ変化しながら、サイレンは今日も、一杯のコーヒーのそばで微笑んでいます。

サイレンについて、よくいただくご質問
Q. スターバックスのロゴの女性は、女神ですか?
A. いいえ、スターバックスのロゴに描かれている女性は、女神ではありません。「サイレン」という名前の人魚で、1971年の創業時から、ずっとロゴに描かれています。
Q. サイレンとセイレーンは同じですか?
A. はい、「サイレン」と「セイレーン」は読み方が違うだけで、どちらもギリシャ神話に登場する人魚のことです。スターバックスのロゴに描かれた人魚は、英語の「Siren」の読み方にならって「サイレン」と呼んでいます。日本では、ギリシャ語の読み方に近い「セイレーン」という表記でも広く知られています。
Q. なぜサイレンの尾は2つあるのですか?
A. スターバックスのロゴは、1971年の創業時に、古い海洋書に描かれていたサイレンの挿絵をもとにデザインされました。その挿絵のサイレンが、2つの尾をもつ人魚の姿をしていたためです。現在のロゴでも、サイレンの顔の両脇に2つの尾が描かれています。
Q. なぜ現在のロゴには「STARBUCKS」の文字がないのですか?
A. スターバックスのロゴから文字が外れたのは、創業40周年を迎えた2011年です。スターバックスの歩みがコーヒーの枠を超えて広がり、サイレンだけでスターバックスだと伝わるようになったためです。
※記事の内容は、2026年10月時点での情報です。