今できるより良い選択は何かを考えて。スターバックスの環境配慮型店舗


コーヒーを調達するように。地域に役立つ再生可能エネルギーを選択

自然の恵みであるコーヒーを、いつまでもお客様にお楽しみいただけるように。スターバックスは、コーヒーのエシカルな調達に取り組んできました。店舗づくりにおいても、環境負荷を低減するさまざまな取り組みを行っています。

そのひとつが、スターバックスの店舗で使用する電力の切り替えです。10月末には、直接契できるすべての店舗(路面店を中心に約 350店舗)で使用する電力の再生可能エネルギーへの切り替えが完了します。

再生可能エネルギーの利用を進めようとしたとき、選択肢の中には、店舗の屋根に太陽光パネルを設置し発電する、というものもありました。

しかし、その効果や意義を考え、スターバックスが選んだのは「地域ごとに、その地域の恵みとなっている発電事業を選び、利用することによって地域に貢献すること」。背景にある想いを、プロジェクトの担当である店舗建設部の杉山 容子さんはこう話します。

「どのようなエネルギーを利用すべきかを考えたとき、『スターバックスがコーヒー豆を調達するときと同じ』だと思いに至りました」

大規模なプランテーションからコーヒー豆を購入すれば効率的ですが、スターバックスがこだわるのは、品質と生産地の環境や暮らしへの貢献の両立をかなえる、地域が豊かになるあり方です。

ならば電力も、地域経済と環境の双方が豊かになるものを。そのような考えのもと、まずは各地の発電事業の調査から取り組みを始めました。

地道なリサーチで真に意義ある発電事業との出合いを実現

地域が豊かになる電力を選ぶ。そうひと口に言っても、実現は容易なものではありません。なぜなら、再生可能エネルギーの発電事業は、かえって土地に環境負荷を与えてしまう場合や、地域住民の理解を得られていないまま進められることもあるという現実もあるからです。

そこで杉山さんは、各地域の電力会社を選ぶ前に粘り強くリサーチ。日本各地でどのような再生可能エネルギー事業が行われているかを、くまなく調べたと言います。

「太陽光発電なら、適切な規模や立地なのか。風力なら、渡り鳥や地域住民への影響は考慮されているか。候補となりそうな事業の環境アセスメントには必ず目を通し、時に地元の新聞記事もさかのぼって、住民からの反対がないかどうかなども調べました」(杉山さん)

こうした地道な取り組みの結果、全国で実施されている多様な電力事業の数々と出会うことができました。

たとえば、千葉県匝瑳(そうさ)市の『匝瑳SolaShare5号機発電所』は、農業者の所得向上や休耕地の削減にも役立っている発電。農地の上で太陽光発電を行なっています。

匝瑳SolaShare5号機発電所(千葉県匝瑳市)(写真上)と、供給先の香取佐原店(写真下)

高知県では、これまで有効活用されてこなかった樹皮や伐採枝葉などの未利用木材をエネルギーとした100%国産の木質バイオマス発電で、地域の林業・木材産業振興とともに、地域の雇用維持にも貢献しています。

宿毛バイオマス発電所(高知県宿毛市)(写真上)と供給先の高知あぞの店(写真下)

発電方法もその活用方法も、特色があり魅力的な各地の発電会社と手を結んだことは、地域とのより密接な関係性づくりにもつながっています。

理想は「気づかれないほど快適であること」。日々、新たな視点で改善を

スターバックスの環境配慮型店舗づくりのまなざしは、電力だけに向けられているものではありません。

節水、断熱、空調、ごみ処理などなど幅広い視点で環境への負荷を軽減すべく、新店舗の建設時には環境負荷の少ない設計にするのはもちろん、老朽化等により器具の交換が必要な際には、より効率の良いものに取り替えるなど日々、改善に取り組んでいます。

「環境配慮の取り組みは、一度行って終わりではなく、常に最善を求め、変わり続けるものでなければいけません」と、杉山さん。

そのうえで、目指す店舗の設備の理想は、「私たちの仕事がお客様に気づかれないこと」だと話します。

「リラックスして、一杯のコーヒーを楽しむことができる空間をお客様に提供することが第一。その裏側でいかに、環境に配慮したサードプレイスを整えられるのかが、私たちの腕の見せどころだと思っているんです」(杉山さん)

まだまだ、私たちにやれることはあります。そう言って、明るい笑顔を見せる杉山さん。 一見しただけではわからない、スターバックスの「隠れた進化」にも、思いを馳せていただけたら幸いです。

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スターバックスの「品質基準」: おいしさを保ち続けるための積み重ね