熊本県益城町で5年ぶりの笑顔の再会。地域をつなぐ、くまいるカフェ


2024年2月11日、熊本県益城町にある益城町立飯野小学校の一画から沸き立つ、歓声や拍手。大人から子どもまで地域の人たちが集まっていたのは、5年前に埋めたタイムカプセルを掘り起こすためです。たくさんの笑顔の中には、熊本県内にあるスターバックスのパートナー(従業員)たちの姿がありました。

くまいるカフェで、熊本を笑顔に!

2016年4月に起きた熊本地震で大きな被害に遭った益城町。震災後、飯野小学校のグラウンドには最大で48戸129人が暮らす仮設団地がありました。当時、仮設団地に暮らす方々の「仮設団地の敷地として運動場を利用させてもらっている飯野小学校への恩返しをしたい」という想いを、企業やボランティアが様々な形でサポート。熊本県内にあるスターバックスのパートナーたちも当初からサポートを続け、交流を深めてきました。

この日は、2019年に仮設団地を閉鎖する際、再会を誓ってみんなで埋めたタイムカプセルの開封日。子どもたちが力を合わせて6つのタイムカプセルを発掘。仮設団地に暮らしていた方、ご近所の方、小学生から中学生・高校生へと成長した子どもたち、多くの地域住民が集まって、再会を喜び合っています。

この日集まった11人のパートナーたちは当時から続けてきた「くまいるカフェ」を開き、コーヒーやティーなどをみなさんにサーブ。くまいるカフェは「くまもと+すまいる」を合わせて命名し、“熊本の人たちを笑顔にする活動をしていきたい“という想いで開催してきました。

ともに飯野小仮設団地のサポートを続けてきた三菱地所レジデンスの高瀬さんは、当時を思い返し「自治会長だった草野さんや当時飯野小学校の校長先生だった柴田さんたちの“こうなったら良いな”という話を都度お聞きしており、時間の変化により様々でしたが、お二方の想いの中心には“人と人とのつながり”がありました」と語り、そんな中で、くまいるカフェの役割は大きかったと言います。

「くまいるカフェは、おいしいコーヒーが提供されるだけでなく、コーヒーと食べ物のフードペアリング、コーヒーのおいしいいれ方のレクチャー、キッズバリスタなどのパートナーさんの工夫や、親しみやすいパートナーさんたちの人柄もあって、いつも様々な人が集まり笑顔がありました」

共感し、分かち合い、ほっとしてもらえる場所づくりを

ご近所に暮らすミカリンさんと「久しぶりだね~」と談笑していたのは、北九州市から大分県内の店舗を担当するディストリクトマネージャー(地区担当マネージャー)の佐野さん。当時は熊本地区の担当で、この日は福岡から熊本へ。聞けば、ミカリンさんは、当時くまいるカフェの運営を手伝ってくださっていたそう。

「いつもしていただいているから、できることはしたいと、イベントがある時は毎回お手伝いしていたの。今日は、久しぶりに地元に帰って来る顔にも会えるから嬉しいわ」と笑顔がこぼれます。

佐野さんは、「自分たちに何かできることを」という想いでサポートしていたと当時を振り返ります。

「当時の仮設団地自治会長だった草野さんたちは、学校に対して恩返しをしたいという気持ちを強く持っていらしたので、そのつながりをどう作っていくかというのを考えていました。最初は、仮設住宅の寄り合い所でカフェを開かせていただき、その後も子どもたちにコーヒーや抹茶ドリンクを作ってもらうキッズバリスタをしたり、歩くことが難しい高齢の方々へ子どもからドリンクを届けてもらったり。今日はその時の子どもたちも来ていて、大きくなっていたね(笑)」

熊本ゆめタウン光の森店パートナーの花坂さんは、パートナーたち自身が被災しているからこそ共感できるところがあったと語ります。

「共感し合って、分かち合って、その時だけでもほっとしていただきたいと思ってみなさんと接していました。来るたびに町が新しくなって元気になっていく様子、みなさんが元気になられていく姿を見られて良かったと思っています」

何度も足を運び開催した、くまいるカフェ。スターバックスのイベントと重なる日は九州のほかのエリアのパートナーがお店をサポートしたり、遠く仙台、石巻、東京からイベントに駆け付けたパートナーもいたりと、くまいるカフェは熊本だけでなく各地からの想いも詰まったものに。運動会に招待された時は、地元の方々と応援旗を制作。当日は雨上がりの運動場を教員やPTAの方々と整備したり、応援したり、玉入れに参加もしたそう。こうして交流を深め、5年後のこの日、懐かしい方々と再会。パートナーたちはコーヒーを通し、地域のみなさんと当時の思い出や近況を語らう時間を心から喜んでいました。

~再開を喜べる瞬間になっていますように~5年越しに届いた手紙

この日はタイムカプセルを発掘した後、当時の思い出の写真や描いた絵などが飾られた体育館で、みんなでカレーのランチタイム。BINGO大会を楽しみ、写真のスライドショーで当時を振り返ったら、ついにタイムカプセルの開封です。

中から出てきた自分あての手紙や写真を見て、みなさん当時のことを思い返しているようです。ご近所に住む石金華奈さんは、3人の娘さんと参加。高校生になった娘さんは、「手紙には夢を書いていたけど、何が書いてあったかは内緒です」と照れ笑い。娘さんたちは仮設団地で開催したキッズバリスタに参加してくださっていたそうで、今でも当時のことを覚えていると嬉しい言葉をかけてくださいました。

元仮設団地自治会長の草野圭介さんも、「みなさんに出会えてよかったというのが、いちばんの今日の宝物ですね」と、嬉しそうに見守っています。「子どもたちが、『5年後に成人式になるから、またこういう形で集まろう』と話していたみたいで。自然と継続されていくんだなって思いました」と感慨深げに語りました。

では、パートナーたちは5年後の自分に、どんな言葉をかけたのでしょう。佐野さんの手には、「このつながりを大切にして、再会を喜べる瞬間になっていますように!」と書かれた手紙が。「そうなっているね!」と言い合う、パートナーたちのはじける笑顔が印象的でした。

「仮設住宅があったグラウンドで子どもたちが遊んでいる姿を見ると、感慨深いです」

これはこの日参加したパートナーの言葉です。

熊本のスターバックスは地域の方々に寄り添い、寄り添われ、ともに歩んできました。その関係性が未来へも続いていくように、これからも大切に育んでいきます。

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現代アートに出合う“共同アトリエ” のような京都BAL店